第82話 クオカフ飛行場へ
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『ほっほっほっ・・・』
ジュアルの目の前が突然、光り始めた。そして、その光は発散することなく、何故か収束して人の形を作った。
『出たな!』
『出ましたわ!』
ジュアルとコチュカが叫ぶ。それは見覚えのある自称“神”であった。
『儂は魔族ではないぞ!』
光の塊から声が聞こえてきた。ジュアルはその姿を、目を細めて見ていた。
『クエフの飛行場では魔族と仲良しだったらしいな!』
ジュアルが光るものを見ながら言った。
『・・・ああ・・あれは、魔族に油断させるために・・・』
『そんな訳あるか!』
言い訳を始めた“神”の言葉を遮って怒鳴るジュアルに
『まあ・・・結果として雑魚であったろうが・・・今のお前に敵う魔族はほとんどいないぞ』
『へえっ?』
“神”の言葉に思わず声が出るジュアルの目の前に水晶が現れた。
『確かめてみるがよい』
“神”の言葉に
(そう言えば、最近見ていない・・・最後に確認したのは、ノヤカの冒険者ギルドだった)
ジュアルは水晶に冒険者カードをかざしてみると
登録名:ジュアル
レベル:D
HP 3200/3500 MP13500/14000
STR(力) : 2000
VIT(体力) : 2000
INT(知力) : 2700
MID(精神力): 4000
AGI(俊敏性): 4500
DEX(器用度): 2500
スキル
操縦(固定翼)
真名:ジュアル=ラィシカーラクセン
備考
異界からの訪問者、異世界のパイロット、異次元ポケット持ち、カーサ元帥討伐者、ビックういろう討伐者、フーさん討伐者、白くま討伐者、シヒコト=ダワラオ討伐者、マクサア大王討伐者、巨大狸討伐者、魔族討伐者、サキチ討伐者、“マーくん”討伐者
各のパラメータが、全て1桁増えていた。どう考えても異常である。
(レベルは上がらないんだな・・・)
ジュアルがパラメータを見て耽っていると、
『解かったであろう・・・お前の力は既に人外になっている。儂がそうしたからな・・・はっはっはっ・・・』
面倒になった”神”はジュアルのパラメータを全て1桁増やしてしまったのである。
『コチュカには、結界を作る能力も持たせておる。それ以外にも、一反木綿、九千防、狐稲荷とも通信が可能じゃ。凄いじゃろう』
“神”は自慢げに言い切った
『どうやって?』
思わず呟いたジュアルに
『“神”に不可能はない!』
そう言いながら、胸を反らせるような姿に変形させた。自慢のポーズであるらしい。
(こいつなんでもありかよ・・・)
心の中で舌打ちしたジュアルであったが、
『俺に討伐などさせずに、さっさとソウア=シダヨとイツカイ城を何とかすればいいいだろ!』
ジュアルが光の塊に向かって言うと
『まあ・・・それでは、この世界を治めるものがいなくなってしまうのでな・・・。この世界にいるもので対処したことにしないと不都合なのだ』
光の塊は、動揺したのか、何故か光量が安定しなくなった
(こいつ・・・単なる道楽なんじゃ・・・)
ジュアルが目を細めて光の塊を見ていると、それを察したのか
『よいか。儂には深い考えがあってしているのだ。さっさとクオカフ飛行場を開放して来い!』
そう言うと、光の塊は消えてしまった。
(逃げたな)
・・・
『コチュカ・・・』
自称“神”こと、光の塊が消えた後、コチュカを見ると、動作停止したロボットのように微動だにせず立っていた。ジュアルが声を掛けた途端、動作が再開されたらしく
『では、早速、いってらっしゃいですわ!』
と叫びだした。
(どうやら、コチュカには“神”との会話は聞こえていなかったらしい)
ジュアルは、駐機場に移動し始めた。
・・・
駐機場にBE36を異次元ポケットから出して外部点検をした後、
『では行ってくる』
とだけコチュカに行って操縦席に移動した。コチュカは何故か微動だにしない。
各チェック後、ブースターポンプで燃料を送り、エンジンをスタートさせた。
(異常なし)
念のために、マグネトーチェック、ミクスチャーカット、アイドルチェック、アクセラレーションを確認、フラップの動作に問題ないことを確認してから誘導路経由でT4へ。そのまま、滑走路に入って、R/W07から離陸滑走を開始、コチュカが手を振っているのが横目に見えたが、そのまま離陸上昇していった。
脚を収納してから、レフトターンして進路を北西へ。VOR1を114.5MHzにセット。高度4500ftでレベルオフ。カウルフラップを閉じて、水平飛行に移行すると、340°の方向にHSIが示し始めた。そのまま、まっすぐホーミングしていく。距離にして50マイル・・・約80kmの距離しかないので、15分もしないうちにクオカフ飛行場が見えてきた。滑走路に右側に3つのターミナル。左側に1つのターミナルがある飛行場である。右側のターミナルは中で繋がっているので、実質左右にターミナル・・・ダンジョンがある。34と書かれている滑走路に軸線を合わせ、高度を下げながら、着陸態勢を取っていく。
(さて、どっちから行くかな)
ジュアルが、脚を降ろし、フラップを降ろし、カウルフラップを開けたときターミナルの右側から緑の光が放たれた。
(降りてよいという訳か)
ジュアルは滑走路に接地したのち、そのまま誘導路経由で右側のターミナルの南端にBE36を停止させた。何故か、何も出てこない。
(中でお待ちかねということなのかな)
ジュアルは異次元ポケットにBE36を収納した後、ショートソードを右手に握りしめ、ターミナルの入り口に向かうのだった。
結局、自称“神”の都合どおり、クオカフ飛行場に乗り込むことに・・・。




