第77話 司令部
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メモを読み終わった途端、草原とブラックパンサーたちは消え、格納庫に戻っていた。
(司令部・・・さっき入れなかった建物だろう)
東の格納庫を出たのち、先ほど入れなかった緑色の建物に戻ると、まるで迎え入れるかのように、扉が勝手に開いたのである。
(ギンガタイの怨霊ってなんだろうな)
ジュアルは右手のショートソードを握りしめながら、建物に入った。
・・・
気配を感じて、その気配を躱し、気配が飛んで行った方を見ると、そこには、スライムのようなものがいた。何故か銀色の体をしており、ジュアルが知っているスライムとは、比較にならないほど早い。
どうやら入り口を守っているつもりらしく、ジュアルが先に行かないように飛び掛かってる
(くそ・・・なんて速さだ。躱すのが精一杯だ)
ジュアルは辛うじて銀色のスライムが体当たりしてくるのを躱していた。
『ファイヤーボール』
『ウインドカッター』
『サンダーボルト』
ジュアルが攻撃魔法を放つも、難なく躱してくる銀色のスライムにジュアルは困惑していた。
(ないか手がないか・・・)
と言っても、この速さに対抗するものはジュアルになにも無かった。
(こうなったら)
ジュアルは、銀色のスライムに、異次元ポケットに収納していたシルバーウルフの肉を投げた。
(???)
銀色のスライムは、シルバーウルフの肉が見えた途端、肉に向かって移動した。そして、肉を丸ごと飲み込むとその場に止まってしまったのである。
『ウインドカッター』
ジュアルは動きの止まったスライムに三日月の刃を放った。が、銀色のスライムに当たった瞬間、ダメージを与えることなく消滅してしまったのである。銀色のスライムは何故か動かないままである。
(これは手に負えないな。放置しておくか)
ジュアルが先に進んでいっても、銀色のスライムは動かなかった。
その後、2階に昇る階段を見つけるまで2匹の銀色のスライムに遭遇したが、どちらもシルバーウルフの肉を投げた途端、ジュアルを襲うことを止めて肉を呑み込み始めた。
・・・
2階に行くと、何か爆発音のようなものがした。
(あっちか)
ジュアルはショートソードを握りしめ、爆発のあったらしい方に向かう。通路の角を曲がると、広い部屋になっていた。
そこには、飛行服とでも言うのだろうか、ノヤカであった英霊たちとそっくりな服をきた15人が、高級そうな執務机に座る軍服をきた将校を取り囲むようにしている姿であった。
(これは・・・何があった?)
ジュアルがよく見ると、執務机に座っている将校の周りには結界があるようで、15人は、結界に阻まれているらしかった。
『一体どうしたのですか?』
ジュアルが声を上げると、飛行服を着た15人と執務机に座っている将校がジュラルの方を向いた。
(怖!)
飛行服を着た15人の目は虚ろであり、思考をしているように見えない。一方、将校のほうが、驚きながらも冷静に防備しているということらしい
飛行服を着た15人は、ジュアルに興味が無いのか、直ぐに将校の方に向き直り、結界を叩いている。そこに理性が残っている様子はなかった。
一方、将校の方は、言葉こそ発しないが、救援を求めているように感じたジュアルは
(そう言えば、“ギンガタイの怨霊と戦う司令を助けてほしい” と書かれたメモをさっき受け取ったばかりだったな)
『あなた達が“ギンガタイ”なのか?』
ジュアルが飛行服を着た15人に向かって叫ぶと、一斉にジュアルに向いた後
『ギュアー』
謎の雄たけびを上げ始めた。
(どうやら間違いないらしい。そして、残念ながら話ができる状態ではないらしい)
『インライトメント』
ジュアルが魔力を込めて叫ぶと、飛行服を着た15人は何か悲鳴のような声を上げた後、消えてしまった。
(結構、魔力を持っていかれたな)
かなり抵抗されたらしく、ジュアルは魔力切れ寸前になったことを自覚していた
(最近では全く無かったのだけどな・・・)
・・・
執務机に座ってした男は、ジュアルに近づくと、
『私は、ここの司令をしているセイマと言うものだ。怨霊から助けてくれてありがとう』
と頭を下げた。
(???)
ジュアルは混乱していた。今まで、この世界の人は、飛行場の結界があるうちは、中に入れなかった。例外は、九千防の配下や狐稲荷たちくらいである。結界が解かれる前に、飛行場に人間はいなかった。だが、ここには、どう見ても人間と思われる人が目の前にいる。
『ははは・・・驚いたのかな』
人間だと思っていた司令の姿が変わりだした。なんと、河童になったのである。
『私が九千防だ』
そう言うと右手を差し出して来た
『えっ?ついさっき“司令をしているセイマ”って言ったでしょ』
ジュアルは思わず叫んでしまった。
『そうだね。いつもはルメクの街にある水天宮に住んでいるだが、神様の命令で、ここを守るように言われてね。同時に指示されたヤザキミ飛行場には配下を送って対応していたので、ここでは、ブラックパンサーたちに手伝ってもらっていたんだ』
『スイテングウ?』
河童の説明に変な声で反応してしまったジュアルに
『ここのすぐ北にあるタキュウキ飛行場と、クオカフ飛行場にいるにいるソウアの軍勢を倒さないといけない』
(???)
河童の説明に首を傾げるジュエルに
『ソウアは今の王妃の父だよ・・・君の母であるボナ様を王宮から追い出し、殺害させ、黄色い依頼書で “ジュアル=ラィシカーラクセン”を手配、殺害しようとしている張本人だよ』
河童・・・九千防の言葉にジュアル。
(母は王宮を追い出されてラィシカーラクセン家にいた・・・いや匿われていたのだろう。そして、私が生まれた直後、追われて亡くなった)
『ゴマシカ軍とは・・』
ジュアルはゴマシカ軍からも追われていることを思い出したジュアルが聞きただそうするのを遮るように
『ゴマシカは、魔族と結託して、王国を支配するつもりだったからだ。ソウアとは敵対関係だ』
九千防はジュアルの言葉を遮って付け加えた。
『君は、ゴマシカの野望を打ち砕いたのだよ。もう、ゴマシカ軍に王国を征服する力はない。君の敵は、王国の宰相であるソウア・・・ソウア=シダヨだよ』
何と、九千防はここの司令に化けていた・・・でも本物なのかな?




