第76話 ブラックパンサー
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どうやら南側に突き出た部分に飛行場の建物があるらしい。入り口を探していくと、西側にゲートがあることを発見した。
ジュアルは、ツギアの飛行場にもあったゲートを見ながら、ボナの小箱を渡してくれたコバージュ、ギルドの売店にいたセベスティンを思い出していた。
(あの2人が母であるボナの命に従ってマトヤで待っていてくれたから、このカードがあるんだ。何も記憶にないけど、母さん、コバージュそしてセベスティン・・・ありがとう)
ジュアルは、入り口で門にカードをかざすと、門全体が光出し、強い光が周囲を包んだ。そして気が付くと、ボナは門の中に入っていたのである。
(ツギアのときと同じ・・・)
そう思ったとき、ここまで一緒に来た河童のことを思い出した。周囲を探すと、河童は門の外にいた。門の外が透けて見えるのまで、ツギアと同じである。河童は役目が終わったというのか、右手を振ったのち、門から離れていった。どうやら、あの河童はジュアルをイキツ飛行場まで連れてくることだったらしい。
(せめて、礼くらい言いたかったな)
去っていく河童を見送りながらジュアルは思っていた。
・・・
歩いていくと、集合住宅のような建物がいくつかあることに気が付いた。だが、中には誰もいない。飛行場に入れないように結界が作られているから当然なのだが、誰もいない集合住宅は不気味さすら感じる状態である。
(ダンジョンではないらしいな)
開放するように書いてあった張り紙から考えると、何処かにダンジョンが有るはずなのだが、どういう訳か、誰もいない集合住宅ばかりが続いていた。
『あれは・・・』
緑色の大きな建物が見えてきた。どう見ても集合住宅ではないそれは、異様な魔力を放っていた。
(きっとあれが、この飛行場のターミナル・・・ダンジョンだろう)
ジュアルは、緑色の建物に向かって走っていた。
・・・
(どういうこと?)
緑色の建物には入り口があるものの、何故か入れなかった。
『ファイヤーボール』
『ウインドカッター』
『サンダーボルト』
魔法で、入り口を攻撃してみたが、結界が貼ってあるようで、傷一つつけることが出来なかった。
(もしかして、どこか別のところを先に攻略しないといけないのでは?!)
ジュアルは滑走路のある方向に向かって歩きだしたのだった。
・・・
滑走路の手前には駐機スペースがあり、更に手前には、格納庫と思われる建物が2つあった。とりあえずその1つに近づいて見ると
“西の格納庫”
と入り口に掛かれた張り紙があった。そして、ジュアルが近づくと、まるで待っていたかのように、扉が勝手に開いたのである。
(入れということなんだよな)
ジュアルはショートソードを右手に握りしめ、格納庫に入った。
『うそ!』
格納庫の中は、何故か草原になっていた。
(ノヤカの格納庫でもこんな感じだったなあ)
ジュアルはノヤカでの出来事を思い出していた。だが、周囲には襲ってきそうな何かはいない。ジュアルがしばらく草原を歩いていくと、石と出来ていると思われるテーブルに何か動物の彫刻のようなものが見えてきた。ジュアルが近づくと、それは、豹の姿をしていた。
(それにしても、リアルだなあ・・・本物の豹みたいだ)
その彫刻の精工さにジュアルが感心していると
『肉をくれ・・・』
(???)
ジュアルにどこからか声が聞こえてきた。
(肉?・・・あっ!あったぞ)
ジュアルは異次元ポケットに収納していたシルバーウルフの肉を1匹分、彫刻の前に出してみた。
(まさかな・・・)
念のため、少し彫刻から距離をとって振り返ると
彫刻の豹が消え、数匹の真っ黒い豹がシルバーウルフの肉を奪い合うように食べていた。
その様子を、驚きながらも周辺を警戒しながら見ているジュアルに
『我らは敵対する気はない』
ジュアルにどこからか再び声が聞こえてきた。
真っ黒い豹・・・ブラックパンサーたちは、肉を食べ終わると、ジュアルに対峙するように一列にならんだ。
(どういうこと?)
不思議と敵意は感じない。だが、ブラックパンサーたちは強力な魔力を持っていた
(きっと強いに違いない)
ブラックパンサーたちは一斉に遠吠えのような鳴き声を上げた
(豹って鳴き声を出すんだっけ?)
ジュアルが首を傾げると、次の瞬間、草原は消え、なにも無い格納庫になっていた。並んでいたブラックパンサーたちも消えている。
『東の格納庫にも行ってくれ』
ジュアルにどこからか声が聞こえてきた。
・・・
西の格納庫を出ると、直ぐ東側にも格納庫と思われる建物があった。
(“東の格納庫にも行ってくれ”ってさっき言われたような・・・)
ジュアルが、東の格納庫の前まで来ると、こちらも扉が勝手に開いたのであった。ジュアルが中に入ると、こちらも、草原になっていた。
(ということは・・・たぶん彫刻が・・・)
ジュアルが草原を見渡すと、予想通り豹の彫刻があった。
(さっきと同じならば)
ジュアルは、異次元ポケットに収納していたシルバーウルフの肉を1匹分出して、すこし晴れてみると、彫刻から溶け出すように、数匹のブラックパンサーが現れ、先ほどと同様、奪い合うように肉を食べ始めた。
(さっきと同じ展開だな)
その様子を眺めているジュアル、念のため、ショートソードは右手に握りしめていた。
・・・
ブラックパンサーたちは肉を食べ終わると、一列に並んだが、真ん中にいた1匹が何かを加えて、ジュアルの前に来ると、咥えていたものをジュアルの前に置いて戻っていった。それは、封筒に入った手紙のようだった
ジュアルはブラックパンサーが置いていった封筒を拾い、中を確認すると、予想通り手紙が入っていた。
ジュアル=ラィシカーラクセン殿
肉をありがとう。ブラックパンサー一同、感謝する。貴君は、司令部に行って、ギンガタイの怨霊と戦う司令を助けてほしい
黒豹一同
手紙というより、メモであった。
今回は倒さなないでクリアしたようです。




