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第70話 愚痴を聞いたから帰ります

毎朝6時更新予定です

縛られていた狸の縄を持っていた短剣で切ってやると、狸は、どういう訳か、ジュアルを睨みつけた。


『あんたは何者!』

さっさまで縛られていた狸が叫ぶ。

(おいおい。縄切ってやって、礼も言わずにこれかよ)

ジュアルは怒りを通り越して呆れていた。

 そこに武装した狸たちがなだれ込む。


『お嬢!』

『お嬢!』

『お嬢!』

『ご無事で!』


武装した狸たちが口々に縛られていた狸に何か言っている。どうやら、縛られていた狸は、中心的狸だったらしい。


そして何故か、武装した狸たちが、ジュアルを取り囲んで威嚇している。その後ろには、さっきまで縛られていた狸が何やら偉そうにしていた。


『大人しく降参しろ!』

『そうだ!』

『そうだ!』

『そうだ!』

『そうだ!』

『そうだ!』

どうやら、身の程知らずらしい。ジュアルは、ショートソードを鞘から抜かずに構えたかと思うと、武装した狸たちを打倒していった。


武装した狸たちを気絶させた後、ジュアルが縛られていた狸を睨むと

『なによ。殺しなさいよ!』

なにやら勝手に叫んでいる。ジュアルがどうしたものかと困っていると、大量の足音が近づいてきた。


『あっ!』

なんと、沢山の狸たちの先頭にいたのは、管理棟にいた幽霊であった。


『先代!』

縛られていた狸が叫ぶ。


『ここにいるジュアル様は、魔族から我々を助けてくれた恩人じゃぞ。新しいリーダーよ』

幽霊は、縛られていた狸にそう言うと、ジュアルの方を向き


『魔族を討伐していただき、ありがとうございます。我々を洗脳していた水晶を破壊してくれたようで、儂もここにくることが出来たのです。ここにいるのは、私の最後、たった1匹残った娘。まだまだ至らない奴ですが、儂が支援してここのリーダーに成長させますので、どうか寛大な処置をお願いします』


『俺は、ガサ飛行場に攻め込んで来ないと約束してくれれば、それ以外、何も望まない』

ジュアルはそう言って、立ち去ろうとすると、


『待って!』

先程まで縛られていた狸が叫んだ。


・・・


(どうしてこうなる?)

狸たちに請われるまま、ターミナルないに用意された宴会場で宴会が始まった。狸たちは、ようやく魔族の支配から解放されたことを理解したのである。一体、この島のどこにあったのかと思うような料理が並び、色々な酒が酌み交わされていた。


そして、ジュアルは、幽霊と新しくリーダーになった娘から、散々愚痴を聞かされたのである。そのほとんどが、ムラオオの領主の悪口であった。幸い、魔族が橋を破壊したままである上、結界まで張ったままなので、ムラオオの領主がここにくることは出来ないだろうと思われるが・・・。結局、この日は、狸たちに付き合って、ガサキナターミナルに宿泊することになったジュアルであった。


・・・


翌朝、ジュアルは駐機場に戻ると、BE36を異次元ポケットから取り出した。見送りに来ていた狸たちは申しわせたように驚いていた。ジュアルはそれらを無視するように、外部点検をし、それが終わると、操縦席に移動した。各チェックの後、エンジンスタート。今度はどういう訳か狸たちは驚かなかった。


移動開始前に、見送りに来ていた狸たちに手を振ると、一斉に狸たちも手を振った。T2からR/W34に入り、最終チェックの後、スロットルを押し込むと、BE36は地上滑走を開始した。73㏏を超えたところで操縦桿を引くと、機体が浮き上がる。脚を収納させてからジュアルは機体を左右に2回振った後、右旋回していく。


・・・


右に見える山注意しながら、山の北側を通過すると、ガサ飛行場が見えてきた。R/W11のファイナルコースに合わせる、今回はあまりに短いフライトだったので、カウルフラップをクローズすることなく、降下を始めた。脚を出して、離陸から10分もしないうちにガサ飛行場に着陸、ウエストエプロンのスポット21にBE36を止めると、念のため、異次元ポケットに収納した。


ターミナルに入ると、何と、狐人間が整列して出迎えてくれていた。


『ガサキナ飛行場を、魔族から解放していただきありがとうございます。狐稲荷様が3階でお待ちです』

ジュアルに近寄って来た狐人間はそう言うと、ジュアルを先導するように歩き始めた。そして、出迎えた狐人間たちがジュアルの後をつけるように歩いてくる。


(まさかここでも・・・)


3階につくと、真っ白な姿をした体長50㎝くらいの狐が待っていた。


『この度は、魔族を倒し、狸たちまで救っていただき、ありがとうございます』

どうやら狐稲荷には、ガサキナ飛行場での出来事が把握できているらしい。


『ささ、こちらに宴会の準備が出来ておりますので・・・』

ジュアルは有無を言わさず、狐稲荷と狐人間たちによって宴会場に連れていかれ、まだ昼前だというのに、宴会が始まってしまったのである。

(俺は早く休みたい・・・)

ここでも、狐稲荷や狐人間たちの沢山の愚痴を聞かされながら、ひたすら宴会が終わるのを待つジュアルであった。

早く休みたいジュアルでした・・・。

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