第66話 狐vs狸
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2階に入ると、狸と狐人間が多数倒れていた。奥の方で何やら剣が当たるような音がしている。ジュアルは、右手にショートソードを構えて、慎重に音のする方にいくと
『狐稲荷。今日こそお前を倒して、ここを開放してやる』
『出来るもんならやってみな。お前も先代のように返り討ちにしてやるわ』
ジュアルの目の前には、体長2mはあるかと思われる巨大狸と、真っ白なこちらも体長2mはありそうな巨大狐が片刃の刃物を振り回しながら戦っていた。
(ひょっとしてあれは、刀という武器か)
ジュアルにインストールされた知識からジュアルが導き出した武器の名前であった。
次の瞬間、巨大狐に向かって、何かが突進していくのが見えた、巨大狐は刀を左右に振り回し、突進してくる何かを倒している。
(すげえ・・・)
思わず見惚れるジュアルであったが、巨大狸がその隙を狙って巨大狐に切り掛かっているのが見えた。
『サンダーボルト』
思わず放った雷撃は、巨大タ狸の刀を直撃、刀は溶けて鉄の塊になってしまった。
巨大狸と巨大狐がジュアルを見る。刀を溶かされた巨大狸の顔は引き攣り、援軍だと思ったのだろう、巨大狐の顔はにやけていた。
『ジュアル殿。来てくれると信じていた!』
巨大狐が叫んだ。見た目がかなり違うが、狐稲荷らしい。
ジュアルに向かって10匹を超えるが狸たちが突進してきた、巨大狐よりジュアルの方が危険と見たのだろう、
(面倒だな)
『アイスエリア』
突進してくる狸たちにむかった放った結果、冷凍狸が出来上がった。これには、巨大狸は勿論、巨大狐・・・狐稲荷も顔を引き攣らせている。
『ウインドカッター』
三日月の刃が冷凍狸たちを上下に切り裂いた。
ジュアルは、巨大狸に向かって
『まだやるか?』
とショートソードを右手に構えて言った。
一瞬、ためらう様子が見えた巨大狸であったが、
『くそ。箕島に退却だ!』
そう言うと、1階に駆けだした。
追いかけようとしたジュアルの視界に、崩れ落ちる巨大狐の姿が見えた。ジュアルは追うのを止め、巨大狐のところに駆け寄ると、巨大狐は、体長50㎝程度に縮小していたのであった。
『大丈夫ですか!』
ジュアルが声を掛けると
『ああ・・何とかな』
とだけ言うと、その場に倒れてしまった。ジュアルがよく見ると、全身に無数の傷跡がある。かなり危険な状態だったらしい。
『ヒーリング』
ジュアルは目の前の狐に回復魔法を掛けると、狐の全身にあった傷は消えていき、苦しそうな顔を穏やかになっていくのを見てほっとしていると、しばらくして、1階にいたのであろう、狐人間たちがやって来た。
『狐稲荷様!』
『狐稲荷様!』
『狐稲荷様!』
『狐稲荷様!』
『狐稲荷様!』
どうやら、狐稲荷の様子が心配だったらしい。無事であることをジュアルが伝えると、狐人間たちはその場にへたり込んでしまった。
・・・
『ターミナルの東に格納庫がある。誰もいないはずだったのだが、ガサキナ飛行場と繋げた阿呆が現れた・・・あの狸じゃ』
しばらくして回復した狐稲荷が語りだした。
『あいつ等は、ガサキナ飛行場に生息していた先住民の子孫。それが、ガサキナ飛行場のターミナルを占領し、飛行場の結界を張ってしまった。東にある格納庫は元々、ガサキナ飛行場にいた連中の一部が引っ越してきて住み着いたものだったのを忘れていたよ。まさか、ガサキナ飛行場を襲撃する基地にしていたとはな・・・』
そう言うと、狐稲荷はガックリと首をもたげた。
『どうしたらいい?』
ジュアルが問うと
『東の格納庫を制圧し、転移の魔方陣を破壊するしかない・・・じゃが、今の我々では不可能じゃ』
狐稲荷は寂しそうに言った。
『どういう事?』
ジュアルが問うと
『転移の魔方陣は、魔族しか使えんはず・・・つまり、あいつらは、魔族と手を組んだということだ。とても勝ち目はない・・・』
狐稲荷は残念そうに言った。
(クエフ飛行場も、結局、魔族に乗っ取られていたな・・・)
『今から東にある格納庫に行ってくる』
ジュアルはそう言うと、一人ターミナルを出たのであった。
・・・
東にある格納庫は、イーストエプロンの脇にあった。2階建てのかなり大きな建物であったが、入り口は閉まっており、そのままでは入れそうにない。
(どうせ、制圧しないといけないのなら・・・)
『ファイヤーボール』
魔力を込めて放った火の玉が入り口の扉を直撃した。火の玉は扉に大きな穴をあけ、その先を火の海にしたのである。
(ちょっと威力があり過ぎたか・・・)
ジュアルはそう思ったが、しばらくすると、火だるまになった狸たちが飛び出して来た。どうやら、襲撃されてパニックになっているらしい。近寄られても困るので、近づいてくる狸には
『ウインドカッター』
で切り裂いていった。5分もすると、火の海も収まり、手てくる狸もいなくなったので、
『アイスエリア』
ジュアルは内部を冷やしてから中に入っていった。中には、逃げ遅れたと思われる狸の焼死体が多数転がっていた。どうやら、本気でガサ飛行場に攻め込むつもりだったらしい。
(さっき逃げた、巨大狸がどこかにいるかもしれない)
転移魔方陣があれば、既にいなくなっている可能性もあるが、最低でも、転移魔方陣を破壊し、ここを制圧しなければならない。ジュアルは中央の奥に2階に上がる階段を見つけ駆け上がっていった。
狐と狸の戦い・・・




