第62話 ヤコノジョウミ救援
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『ヤザキミ飛行場は、九千防様の手のものである我々がターミナルと結界を守っておりやすので、安全でやす!』
(ここもガサ飛行場と同じか・・・)
ジュアルは、ターミナルではなく、管理棟に来たことが正解だったと改めて感じていた。ターミナルで河童たちと戦って解放してしまったら、後が大変だったと理解したのである。
(開放してしまったノヤカの飛行場はどうなったのだろうか・・・)
ジュアルはふと思い出してしまったのだが、事態はゆっくりとしていられない。
『今から、ヤコノジョウミの街上空まで行ってみる』
河童にそう言うと、ジュアルは先ほど来た階段を駆け下り、駐機場に戻ると、異次元ポケットに収納していたBE36を取り出した。
外部点検をしてから、操縦席に乗り込む。エンジンをかけようとしたところ、BE36の前に河童たちが何やらもって現れた。
『ヤコノジョウミの街では米が不足しているそうです。なんとかしたいのですが・・・』
河童の1匹が話しかけてきた5㎏くらいに小分けされた袋の中身は米なのだろう・・・河童たち持ってきた荷車に20袋ほど載っていた。
(BE36は貨物ドアを外して飛行できる。・・・河童たちに上空で投下させれば何とか)
ジュアルは、操縦席から降りて、貨物ドアを取り外し始めた。一方、河童たちには、上空から投下させるので、落下傘のように笠を袋につけるよう指示したところ、
『そう言ってくれると思って、既に準備済みでやす!』
そういって、袋を一つ見せてくれた。よく見ると、袋の先には布で出来た落下傘が付いており、上空に投げれば、米の袋を下にして落下傘が開くようになっていたのである。
『・・・解かった。誰か、投下作業の手伝いをしてほしい』
ジュアルの言葉に一瞬の沈黙があったが、最初に話しかけてきた河童が
『私がしやす!』
答えてくれた。
・・・
貨物ドアを取り外し、後部座席を前後反転させ、固定する。20袋の米を積み込み。準備は完了した。
R/W09 T3から離陸したBE36は、右旋回してから、VOR1を115.7MHzにセット、VOR2を112.4MHzにセット、RMIが250°を指すように飛行していく。ヤザキミ飛行場からゴマシカ飛行場にいくコースよりも南にヤコノジョウミの街はあるとのことで、ジュアルにインストールされている知識では250°の方位くらいという漠然とした記憶が出てきたのである。周囲の山に注意しながら、高度4500ftまで上昇、水平飛行に移行した途端、前方に街壁に囲われた街を発見した。周囲に街壁で囲った街はないそうなので、間違いないだろう。
目標に向かって降下していく。
街壁の西側で大きな音と共に何かが舞い上がった。ジュアルが驚いて、降下を止め、一旦右旋回して街の右側に外れると、
『あれが投石機の攻撃でやす!』
後部座席の河童から声がした。しばらくすると、視界を遮っていたものは消え街壁の一部が損傷しているのが見えた。
(あれヤバイいんじゃないのか)
ジュアルが思っていると、損傷した街壁付近が大きく光だした、
『えっ!』
思わず声を上げるジュエルに
『あれが、修復魔法でやす!』
またまた後部座席の河童から声がした。
光が消えると、見た目、街壁は元に戻っていた。
(すげえ・・・修復している)
ジュアルが驚いていると、
『投石機は一度打つと、最低3分は飛んできやせん。もうちょっと様子を見るでやす!』
後部座席の河童から提案があった。
『そうしよう』
ジュアルは高度を上げながら、街壁の西側に移動してみた。2000人と言っていたクブコの軍勢が見える。数えたわけではないが、どう見ても2000人より多い。そして、投石機はその中央に守られるよう存在した。その構造は、巨大なパチンコである。大きな石を、ゴムのようなものにセット。大勢の人がそのゴムを引っ張っていく、パチンコの下は、カタパルトのようになっていて、それで方角を定めているらしかった。
(あんなのに狙われたら面倒だな)
ジュアルがそんなことを思いながら眺めていると、投石機に再び石をセットして引き始めた。それを見たジュエルは、BE36の方位を反転、左旋回しながら降下しながらヤコノジョウミの街の街に向ける。BE36が旋回を終えた直後、投石機から石が発射された。
その直後、BE36は、投石機の真上を通過して街に向かったのである。
(このまま、石が当たるのは不快だな)
ジュアルは、操縦席の小窓を開けると、右旋回し、石が真横に見えたところで、
『サンダーボルト』
を放った。
BE36の操縦席から放たれた雷撃は、石を直撃し、街壁に当たる前に粉々になって落下した・・・そう、クブコの軍勢に落下したのである。
その結果、地上はパニックになっていた。何せ、飛んで行くはずの石が降ってきたのである。クブコの軍勢は混乱し始めた。
(今がチャンス)
ジュアルは街壁のちょっと上くらいまで高度を下げ、街壁を過ぎて街の上空にはいると
『今だ。投下しろ!』
と叫んだ。河童も理解していたのだろう、一斉に20袋をBE36から外に放り出した。
地上には、その様子を驚きながら見ている兵士、街民が見える。ジュアルは20袋が全て放出されたのを確認したのち、主翼を左右に2回振ってから東の上空に移動。
『今度は投石機をやる』
そう言うと、左旋回しながら、投石機の真上に向かった。
クブコの軍勢の上空に来ると、無数の矢が飛んできた
(ここまで届くとは思えないけど・・・)
念のため、高度を3000ftとっていたジュアルは余裕であった。実際、飛んでくる矢は1本も無かったのである。
そして、投石機を確認すると、フラップを降ろし、左旋回で60°傾け、
『サンダーボルト』
を投石機に向かって放った。
ファイヤーボールでは、ダメージが少なそうだったからである。直後にジュアルは機体を水平に戻し、上昇しながら今度は僅かに右旋回させた。すると
『投石機が燃えてやす!』
後部座席の河童が叫んだ
(これでよし)
ジュアルは、VOR1を112.4MHzにセットすると、北東に向けてホーミングを始めたのだった。
BE36の貨物室扉は外れます。そして、後部座席は反転して後ろ向きにセットすることが出来ます。
但し、現実の世界では、許可なく物を投下させてはいけません(危ないですから)。
これが出来たら、熊本地震のとき阿蘇に食料を投下出来たのに・・・(そんな訓練していないからいきなりは出来ないけど・・ね)。




