第61話 ヤザキミ飛行場
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いつも通りのチェックの後、エンジンをスタートさせ、アビオニクスパワーを入れて、各種チェック。誰か聞いているかもしれないということで、無線は、112.8MHzと123.85MHzにセットしておく。周囲を見渡すが、他の飛行機に動きはない。もっともここ以外に駐機している飛行機自体が見当たらないから、きっとこの世界にはないのだろう。
R/W07 から離陸するとして、念のためT3からにする。出来るだけ早く上昇して、コチュカからの万一の攻撃を避けるのが目的である。
誘導路とT3で右に外れ、滑走路に入る。念のためファイナルコースを確認するが、飛行機らしきものはない。
(では行きますかね)
ジュアルはBE36のスロットルを押し込んだ。80㏏まで操縦桿を引くのを待って、その後、脚の収納し、84㏏を保つように上昇していく。5500ftまで上昇したところでレベルオフして水平飛行に移行。カウルフラップをクローズにして、ミクスチャーを絞っていく。プロップも2200rpm程度に絞ってから、目の前の活火山を右旋回で避けるようにして進んでいく。
(攻撃された形跡はないな)
心配したコチュカによる雷撃もなく、BE36が活火山を左に見ながら南東に飛行、その後は川沿いに飛行をしていくと、15分としないうちに、海が見えてきた。
(セスナ172より速いな・・・)
上空で追い風に乗ったことも影響したようなのだが、BE36はセスナ172より早かった。150㏏近く出ていたようである。その後、海岸沿いをひたすら南下していくと、前方に2つの飛行場が見えてきた。手前がタバルニュウ飛行場、奥にあるのがヤザキミ飛行場である。どちらも海に向かって滑走路が出来ていが、10㎞以上離れているので平行滑走路とは言えない距離である。タバルニュウ飛行場を右に見たところで、高度を下げていく。海に見える白波の様子から地上付近は東の風であるらしい。ヤザキミ飛行場の手前にある川に沿って西にターン。滑走路と並行に飛行して滑走路端から30秒後にベースターン。フラップをアプローチに降ろし、脚を降ろして、パワーを絞りながら、速度を落としていく。ファイナルターンをすると、ここもPAPIが消えているが、特に気にしない。フラップをMaxにして、カウルフラップをOPEN、ミクスチャーとプロップがMaxになっていることを確認。80㏏を切らないように調整して・・・R/W29に無事役陸した。
(ヤザキミの街は特になんでもなかったな)
着陸直前に、街の上空を飛んでいるのだが、特に異常は見られなかった。
・・・
この飛行場は、飛行場の管理棟とターミナルがかなり離れている。いつもであれば、ターミナルに行くのであるが、昨日のガサ飛行場のこともあり、いきなりターミナルに行かず、飛行場の管理棟に向かうことにした。
小型機の駐機スポットである2-αにBE36を停止させたジュアルは、機体の確認(攻撃されていないことを確認)した後、異次元ポケットに収納した。ガサ飛行場の狸のようなのが現れる可能性を感じたからである。
ジュアルが管理棟の入り口にある扉のノブを捻ると、施錠もされておらず、扉は簡単に開いた。ショートソードを右手に構え、警戒しながら進んで行くと、直ぐに2階に上がる階段があった。他に通路は見つからない。2階に上がると左右に扉があった。右には情報官事務所、左には気象観測所との札が見える。ジュアルが右側の扉を開けた。
・・・
『やっと来てくれましたん!』
部屋の中には、1匹の河童がいきなり話しかけてきた。
『お前は誰だ!』
ジュアルは警戒を解かずに言葉を返すと
『おいは、九千防様の手のもので、ヤザキミ地方に赴任中のものでやす。一反木綿様からの情報を受けた九千防様の命を受け、クブコの軍勢の様子を仲間と調べておりやした!』
(どうやら、狐稲荷の話と辻褄が合うな・・・どうやって連絡を取り合っているのかが謎だけど・・・)
『解かった。どういう状況なのか教えてくれ』
ジュアルはショートソードを鞘に納めながら言った。
・・・
『えっと。ここから約40㎞南西にあるヤコノジョウミの街が、クブコの軍勢に襲われておりやす!』
(ここからゴマシカ飛行場までは69kmある。ということは、大雑把考えて、ヤザキミとの中間地点にある街だろう)
『辛うじて、街は持ちこたえておりやすが、今のままではあと数日持つかどうかでありやす!』
河童は自信たっぷりに説明を始める。
『攻めているクブコの軍勢はどれくらい?』
ジュアルが河童に問うと
『それが、何故か2000人近くの兵がおりやして・・・ほぼ、全軍で攻め込んでいるようなのでありやす。投石機を使って、街の壁を攻撃しておりやして、守っているヤコノジョウミの街が魔法で応急修理をしているのですが・・・あと数日で破られやす!』
『投石機さえ、どうにかしてしまえば大丈夫なのかな?』
ジュアルが河童に問いただすと
『投石機が無くなってもヤコノジョウミの街に2000人の軍勢を追い返す力はないでやす!なので、籠城することになるでしょうが、クブコの軍勢が撤退するまで持つかは何とも言えないでやす!』
(ということは、ユウの村の時のように、ファイヤーボールを打ち込む必要があるかな?)
BE36は低翼機であるため、上空から地上に向かって操縦席から攻撃するのは難しかったのである。




