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第59話 狐稲荷

毎朝6時更新予定です

 狐人間に案内されるまま、ターミナル内を進んで行くジュアル。他と違うのは、中にいる狐人間が、誰もジュアルに襲い掛かってこないことである。

(他とは事情が違うらしい)


ターミナルの3階に設けられていた部屋に通されると、ジュアルはその光景に驚いた。


部屋の中は、神舎のような建物が置かれており、その中に真っ白な何かがいるのが判る。ジュアルには見たころことが無い建物であったが、これが、特別な何かであることを疑わなかった。


『ジュアル=ラィシカーラクセン殿。よくぞ見えられた』

建物の中から声がした。


いつの間にか、ジュアルのすぐ脇に椅子が用意されていた。どうやら座れということらしい。ジュアルが椅子に座ると

『我は狐稲荷。このあたりのアゼバシリ達を束ねている。この国の王家は、どういう訳か、お主、ジュアル=ラィシカーラクセンを抹殺したいらしい』


ジュアルは建物の中から聞こえてくる狐稲荷の言葉に驚き、衝撃を受けていた。うすうす感じてはいたものの、はっきりと王家が抹殺したいと言われたからである。

(そうじゃないかと思っていたけど・・・)


『我は、神との盟約によりジュアル=ラィシカーラクセンを支援する』

(えっ・・・ あの神様と何か約束したの?)


『お前は、今の国王の子、それも長男だ。だが、お前の母は、王妃ではなかったのだ。それで、国王は、お前の母諸共、いなかったものとして抹殺することにしたそうだ。なんでも、お前が生まれた直後に決めたらしい・・・』

(どうしてそんなことを知っているんだ!)

『ラィシカーラクセン家はどうすることも出来ず、お前の母は、お前を抱えて屋敷を脱出した。側近と直ぐに別れて一人で逃げたらしい。いざという時のため、話をつけていた孤児院にお前を置いて、東の森の先にある施設に行く途中、魔物に襲われたそうな』


建物の中から聞こえてくる声を聞きながら、ジュアルは疑問を口にした

『どうしてそんなことを知っている』


『・・・・神から聞いた』

しばらくの沈黙のあと、建物の中から声がした。


『冒険者ギルドの記録では、ゾベミのターミナルで白くまと相打ちで死亡したことになっているのだがな・・・』

(それは知っている)


『残念ながら、私ができることはここの飛行場を守ることだけだ。どうすればいいのかは、マモトク飛行場にいる神に聞いてくれ。この飛行場は、このあと、お前にとって必要になるから、開放しないつもりらしいぞ』


ジュアルは、建物の中からの声に返事が出来ずにいると


『ジュアルよ。困ったら九千防を頼るとよい。ここから東、ルメクの街に住んでおる。一反木綿同様、盟友なのでな』

狐稲荷は諭すように言った。


『今日は、一旦、ここで撤収させていただきます。今後、またここに来るかもしれませんが、その時はよろしくお願いします』

ジュアルはそう言うと椅子から立ち上がった。


『達者でのう・・・』

建物から聞こえてくる声に会釈した後、ここまで連れてきてもらった狐人間に、駐機場まで連れてきてもらった。


・・・


『ジュアル様。いつでもお越しください。歓迎いたします』

狐人間はそう言うと深々を頭を下げた。


『ありがとう。ここをよろしくお願いします』

ジュアルはそう言うと、異次元ポケットに収納していたBE36を取り出した。


外部点検を行いジュアル。燃料コックを確認すると、燃料は満タンになっていた

(いつもながら、謎なんだよ)

エンジンのオイルも同様、減った形跡がない状態まで入っている。

(よくわからん)


異常がないことを確認した後、操縦席に移動してチェックをする。ブースターポンプをONに圧が上昇することを確認した後、エンジンをかけようとしたところで、ターミナルに向かって移動してくる一軍を発見した。イーストエプロンから、こちらに向かっている。どうやら、狸人間のようなのだが、全員が剣を持ってターミナルに向かっている。いつの間にか狐人間はいなくなっていた。


(あれは、放っておくわけにはいかないな)

ジュアルはBE36の外に出ると、異次元ポケットにBE36を収納し、ショートソードを右手に握りしめた。


・・・


ジュアルが一軍の前までやってくると、何故か、一軍は停止した。先頭いたものが

『我は、狸王様の軍です。我が主の仇である狐稲荷討伐に向かっているところです。道をお開けください』


その言葉を聞いたジュアルは

(こいつら実体があるのか?)


『インライトメント』

ジュアルは咄嗟に唱えた。が、目の前の一軍には何も起きなかった。どうやら、実体があるらしい。ジュアルの呪文が宣戦布告とみなされたようで、狸たちは、ジュアルに向かって一斉に抜刀、襲い掛かって来た。


『ウインドカッター』

三日月の刃が一軍に襲い掛かる。狸たちは避ける間もないまま、全員体が上下に分断された。しばらく様子を見ていたが、ここはダンジョンではないので、狸たちは消えることがなかった。


(このままって訳にはいかないよな)

ジュアルは狸たちの死骸を窪地になっていた場所に投げ込み集めると、


『ファイヤーボール』

を打ち込んだ。狸たちの死骸はファイヤーボールの火によって激しく燃えだしたのを確認すると、ジュアルはその場に座り込んだ。


『この火が消えたら、マモトク飛行場に戻ろう』

ジュアルは誰に云う訳でもなく呟いた。

まだ帰れません。狸たちはどこから来たのでしょう・・・。

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