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第52話 マクサア冒険者ギルド

コチュカに連れられて冒険者ギルドに向かった模様・・・

『あいーた』

左目の部分に眼帯をした大男が叫んだ。大男の手には1枚の黄色い手配書が握られていた。



=手配書=

王都の冒険者、ボナを見つけ次第、捕らえること。生死は問わない



冒険者ギルドの正式な手配書であるにも関わらず、何故か、手配書にはそれしか書いてなかった。普通、罪状とか理由とか、命令者なりが書かれているのが普通なのである。

(こいつ、本物なのか?)


そんな思考をぶち破る音がした。

『今戻ったわ!』

コチュカの声が冒険者ギルドに響いた。


・・・


『・・・でしたわ』

ジュアルを連れて、2階にあるギルドマスター執務室に入ったコチュカは、戸惑う大男に対して、マクサアターミナルについて報告した・・・いや、一方的に話したのであった。


『・・・よくわからねえが、マクサアのターミナルは入れるようになったんだな』

コチュカの説明はおかしくは無かったのだが、クラザキマと繋がっていた謎の兵器の存在が抜けているため、肝心な所が全て謎であったのである。


『魔族がいたのか?』

ターミナル2階にいた魔族の話はしたので、その部分が気になったらしい大男は、ジュアルに問いただした。


『その前に・・・あなたはどなたですか』

大男にジュアルは質問した。なんとなく偉い人らしいとは思ったのだが・・・。その言葉を聞いて大男も気が付いたらしい


『おお・・・俺は、ここのギルトマスターをしているショウジというものだ』

そう言うと右手で頭を掻きだした


『知らなかったのか?』

コチュカが不思議そうにジュアルを見ている。


『さっき来たばかりだからね』

(こいつら・・・)

田舎によくある、自分のことは知っていて当然という勘違いをしているらしい。


『私は、マクサア地方の固有事情は存じません。たまたまやって来た旅のものです』

そう言ってジュアルは腕を組み、黙り込んだ。


・・・


『魔族は・・・』

『・・・』


『大王って名乗った鳥はどんな・・・』

『・・・』


ショウジとコチュカがジュアルに質問するが、全て無言で睨み返すジュアル。


『なんか答えろ!』

しびれを切らして、ショウジが叫んだ


(こいつらには話したくないな)

『・・・』

ジュアルは無言で出口に向おうとすると


背後から、雷撃が飛んできた。避けることなくジュアルに当たった雷撃は・・・そのまま消えてしまったである。

『えっ?』

『どうして』

その様子に驚くショウジとコチュカに


『あなた方にお話することはありません。これ以上攻撃するのであれば反撃します』

ジュアルは振り向きもせずにそう言うと冒険者ギルドを後にした。

1階にも数人の職員と冒険者がいたが、2階で発生した雷撃が消滅したのに気が付いたのか、誰も声を掛けることも無かったのである。


冒険者ギルドの前には、コチュカに乗せられてきた馬がいた。そのまま放置されていたのに、大人しく、その場に待機していたらしい。ジュアルはそのまま飛び乗ると、飛行場に向かって走り出した。


・・・


マクアサの飛行場に戻った後、ターミナルの2階、魔族のいた事務所をもう一度確認すると、そこには見覚えのある姿があること発見した。


『げっ!戻ってきやがった』

そこには、先ほど逃亡した魔族がいたのである。


ジュアルは事務所にいる魔族を睨みながら

『ここは、お前たちのいる場所じゃない。さっさと消えろ』

そう言うと、魔族の足元に


『サンダーボルト』

を放ったのであった。


魔族は、雷撃が届く前にまたしても消えてしまった。

(また、逃げられた)

冒険者ギルドにいる間に、何か嫌な予感がしたジュアルは、その理由が単なる直感だったこともあり、説明できないので黙って飛び出して来たのであった。

(それにしても、何となくいるような気がしたのはなぜなのだろう・・・)

あまりに謎な感覚に、ジュアルは首を傾げたのだった。


・・・


魔族のいた所に何か本が落ちているのを発見したジュアルは、手に取ってみてみた。

“ヒーリングの魔導書”

と書かれた表紙にジュアルのほほが緩んだ

(これはよい物を拾った)

恐らく、慌てて逃げた魔族の忘れ物であろう魔導書を、ジュアルは1頁づつめくり、最後の頁を開いたところで、魔導書は熱くない炎で燃えだした。


(やっぱり)

『ヒーリング』

ジュアルは、ここまで馬を走らせたことで痛くなっていた自分の尻に対して呪文を唱えると、痛みはたちまち引いていったのである。


・・・


(ここにいても仕方がない。次に行こう)

駐機場に出たジュアルは、異次元ポケットに収納していたセスナ172を取り出して、外部点検を始めた。今回も何故か燃料は満タンに戻っている。

特に異常がないことを確認して、からエンジンスタートさせ、滑走路の西端から離陸滑走を始めた、機体が浮いた次の瞬間、謎の振動が走った。それでもかまわず離陸すると、飛行場のすぐ外に来ていた馬に乗ったショウジが何か怒鳴っている。早々に左旋回して、距離とったジュアルであった。


とりあえず、海に出たのち、進路を東に取った。

(離島では逃げ場がなくなる)

逃げ道を考えると、陸続きで移動できる方が安全である。

(できれば、遠くに行ったほうが・・・)

何気なく燃料計を見たジュアル、異常な速さで燃料が減っていること気が付いた。慌てて燃料タンクのある主翼を見ると、右側から燃料が漏れだしているのが見える。

(離陸時の衝撃か)落雷でも受けたかの如く、右側の主翼に穴が開いている。幸い、位置的にエンジンに引火する可能性は低いと思われるが、このまま飛行をするのは危険そうである。セスナ172の燃料タンクは、左右の主翼にそれぞれあるので、左側だけでも3時間は飛行できるのだが・・・。

ジュアルはVORを112.8MHzにセットすると、計器を見ながらホーミングを始めた。

(近くの飛行場に降りるしかない)


20分後、07と書かれた滑走路目掛けて、セスナ172は降下を開始していた。

セスナ172は高翼機であるため、落雷で主翼に穴が空いた場合、貫通していない限り見えません。ですが、地上から雷撃を受けたため、主翼の下に穴が開いてしまい、操縦席から見えたということです。こうなると、穴の開いたタンクからは、燃料が漏れてしまうということになります。

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