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第50話 マクサアへ

いよいよ次の章へ向かいます

 ツマサ島にある飛行場は滑走路が600mしかない。子供に教えてもらった穴を抜けると、簡単に滑走路に入ることが出来た。


『あまり状態がよくないな』

今まで結界に守られていた飛行場は、滑走路などは雑草もなく、非常に良好であったのだが、ここでは簡単に外部から入れるせいか、滑走路の端には雑草が生えていた。

(まあ、離陸には支障はないレベルだが)

念のため、滑走路の状況を歩いて調べてみたが、とくに問題になるようなものは無かった。ジュアルは、見つけた小石を滑走路の外に投げ込むと、結界に当たったのかガラスに当たったような音がした。


(さて、さっさと片付けますか)

ジュアルは平屋のターミナルにある扉に手を掛けた。


・・・


中に入ると、何故か魔物はいなかった。

『魔物はいないが、魔族はいるぞ』

そう、何故か、頭に角を生やした自称魔族が暮らしていたのである。


何故か戦闘する気にもならなかったので、いろいろ聞いてみると、ゴマシカの地方から、魔族への援軍要請があり、クラザキマの街の東にある飛行場を使って新たな兵器を研究しているという。そして、この魔族は、研究員だったのだがあまりに無能だったので追い出されてしまったそうだ。


『いきなり追い出されてもよ。帰るところも無いわけよ。だから、誰も来ないここに居候することにしたさ』

魔族はあっけなく言った。なんでも、この結界の中には色々入ってくるらしく、食料には困らないそうだ。人間が来たら、透明になって隠れているから大丈夫らしい。ターミナルの中に魔物がいるように幻影を掛けているので、この建物の中にあれば大丈夫らしい。


『だからよ。ここにいるのを見逃してくれよ』

この魔族は敵対する気はないらしい。


『本当だろうな』

ジュアルは怪訝な顔で言うと


『あんたに敵わないことは、直ぐに判ったよ。俺は平和主義なんだ』

そう言って両手を上にあげて見せた。


『そうか?』

不思議そうにするジュアルに

『おいおい。あんたみたいなMPを持った人間をおれは初めて見たよ。魔族よりMP多いぞ』

魔族は呆れるように言った。


『俺たちは。MPの量で強さを計る。あんたは人間だが、魔王様に匹敵する魔力を持っている。何故か、リミッターが掛かっているか・・・』

『リミッター?』

魔族の言葉に思わず反応してしまうジュアル。


『MPの非常に多い奴にたまにいるのだがな。体の他の能力が追い付くまで、MPにリミッターが掛かることがある。体を鍛えていけば、勝手にリミッターが解除されていくから心配は要らないよ』

本当なのかはさっぱりわからないが、MPが他よりやたら多いのは事実である。

(おれの体が耐えられるMPが増えれば、その分だけMPが増えるのか)


『体の何を鍛えればリミッターが解除されるんだ?』

ジュアルは思わず聞いてしまった。


『それはよくわからねえ。心の器だと言われているがな』

魔族はそう言うと一冊の本を取り出した。その本を見ながら、何か確認してから


『クラザキマの街の東にある発電所を使用不能にしたんだろ』

魔族の言葉に思わず息をのむジュアル。


『これで、魔族もマクサアの秘密基地にいる理由が無くなったはずだ。もうすぐ、帰還できるだろうな』

『どういうことだ』

魔族の言葉に何か引っ掛かったジュアルだったが、

『魔族は、ゴマシカに協力する気は実はねえってこと。電気を使った兵器の研究をしたかっただけさ。それが出来なくなったら、引き上げるはずだということだ』


(恐らく、クラザキマの街の東にある飛行場は、ゴマシカ軍では理解できないはず。ということは、今頃、破壊されているはず・・・魔族にとって居る理由がない・・・ということか。だとしたら、ゴマシカの連中の馬鹿さ加減に結果救われたわけだ)


『マクサアの飛行場に行けばわかるよ』


・・・


魔族には、結界の穴の部分にから人が入ってこないように、その外側を破壊して穴を塞ぐように伝えたあと


駐機スペースで、セスナ172を取り出した。


『ほう・・・いいもん持ってるな』

魔族はセスナ172が何をするものか解るらしい。


『今からマクサアの飛行場に行ってくるよ。お前も来るか?』

ジュアルの言葉に


『面白そうだが、面倒なことになっちまうから、今はやめとく』

魔族はそう言うとターミナルに入り口まで移動し、


『じゃあな。また、どこかで会おうや』

と言うとターミナルの中に入ってしまった。


・・・


外部点検をして、念のためオイルも確認する

(不思議だな、何故か10コートに戻っている)


主翼に入っている燃料も満タンである。

左席に座って、計器をチェックした後、周囲を確認してエンジンをかける。音に驚いて、魔族が出てくると思ったのだが、実際には出てこなかった。

マグネトーチェックなどランナップをした後、僅かな北風なので、滑走路の南端に移動した。

ブレーキをめい一杯踏んだ後、フラップを20°まで下げ、エンジンの回転数をMaxまで上げる(セスナ172のパーキングブレーキはほとんど聞かないからな)。

それでも、パーキングブレーキが解除されているのを確認した後、フットブレーキを解除、右脚を踏みながらまっすぐ滑走するように調整していると、機体が浮き上がった。速度が60㏏を超えるまでは、上昇せずに水平飛行を続けていく。滑走路端」まで来た時、やっと60㏏を超えた。

(あれ、何故か力がないな)

その後は機体を上昇させながら、ゴマシカの海岸線を目指していく、基本、海岸線に沿って行けば問題なくマモトク地方まで行ける。今回は手前で、マクサアの飛行場に行くのだが・・・。

まだ入らないが、VORを113.45MHzに合わせておく、今回は拾えたところで、ホーミングしようと考えているからだ。高度4500ftまで上昇。ここまで上がれは周辺にぶつかる山はない。


・・・


1時間後、VORをホーミングしながら、マクサア飛行場の上空まで来た。特に着陸に支障はなさそうである。60㏏を切らないように気をつけながら、フラップを最大まで下ろしたセスナ172は滑走路に接地した。


西の端にあるターミナル手前の駐機場に駐機させる。降りてすぐ、何となく視線を感じたので慌てて機体を異次元ポケットに収納した直後、セスナ172のいた場所に閃光が走った。閃光が収まった後には、大きな穴が駐機場に空いていた。

第2章 ゴマシカ地方 はここまでです。


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