第48話 カツオン
何か変なものが・・・
ある程度魔力が回復したところで2階に続く階段を登り始めた。
(恐らく、ここのボスは2階だろう)
2階は1階よりも更に狭かった。そして、ジュアルが階段を登り切って、前を見たとき、どう見てもおかしな何か目の前にいたのである。
『我はカツオン。この廃飛行場を守る守護者だ』
おかしな何かがしゃべったのである。全体としては。巨大化したカツオ。何故か空中を自在に泳いでいる。気になるのは、同じように空中に浮いているオレンジ色の物体。果物のようにも見えるが、巨大化したカツオの周囲をゆっくりと回っている。
『我は侵入者を許さない』
そう言って、エラを広げると、何か茶色いものがジュアルに飛んできた。攻撃のつもりらしいのだが、あまりに遅いため、ジュアルは思わず出て掴んでしまった。
(ひょっとして・・・)
ジュアルは、慌てて異次元ポケットに収納した。
(やっぱり)
これが開始の合図だったのか、カツオンは空中を突進してきた。時折、エラから茶色の塊を放ってくる。
(巨大カツオが、鰹節ミサイルを打ちながら突撃してくるとは・・・)
『ファイヤーボール』
『ウインドカッター』
立て続けに2発、カツオンに放ってみるが、あっけなく避けられてしまった。こちらへの突撃は、何とか躱している。
(面倒だな)
放置していたらどうなるのか変わらないが、異次元ポケットに収納しまうと、ただの鰹節になってしまうらしい。ジュアルは思わぬ食材を確保しながら攻撃するが、ショートソードの攻撃は勿論、魔法も全て躱されてしまっている。
(何かカツオンの気を逸らさないと・・・)
ジュアルは先ほどこの建物に入るときに拾った、黒い何かを取り出し、カツオンに投げつけた。すると、いままで余裕で避けていたカツオンが、避けた先である黒い何かを見つめている。
(隙あり!)
『サンダーボルト』
を魔力を込めて放つと、カツオンに直撃させることに成功した。
『ギャー』
カツオンは謎の奇声を出した。明らかに動きが遅くなっている
『ファイヤーボール』
を放つと、今まで掠りもしなかった攻撃がカツオンに直撃した。
『ギャー』
カツオンが放つ奇声の後、どうしても、動きが遅くなった・・・というより辛うじて動いている程度になったのである。
『ウインドカッター』
カツオンのエラの部分目掛けて放った三日月の刃は見事にエラを直撃、カツオンは頭部と胴体が分離した。
直後、閃光が全体を覆ったかと思うとカツオンはいなくなった。
(逃げたか?)
ジュアルはショートソードを右手に周囲を警戒したが、特に気配はない。が、部屋の隅に白い壁のようなものが出来ていた。
(ん?)
ジュアルは周囲に脅威がないことを確認してから、白い壁に近づき、
”コンコン”
軽く叩いてみた。
(これは・・・セラミック?)
よく見ると、壁ではなく、箱のように周囲が覆われている。どうやらカツオンはこの中に逃げ込んだらしい。
(どうして、この世界にセラミックがあるのかな?)
この世界にセラミックの焼成炉のあるとは思えなかった。
この中に逃げ込んだカツオンを倒さなければ、ここのエリアは開放されない。恐らく、ここを開放されたくない何者かが、カツオンを守るため、セラミックの箱をよういしたのだろうと思われた。
(誰が?)
疑問は尽きないが、耐熱性に優れたセラミックでは、破壊は困難である。中にカツオンがいるので、異次元ポケットに収納することも出来ない。
(セラミックが溶けるのは融鉄くらいしか・・・)
カツオンが逃げ込んだ箱をよく観察すると、小さな魔方陣が見つかった。何故か2つ書いてある。
とりあえず、出と書いてある魔方陣に魔力を送り込んでみると、箱が震えだした。
(ひょっとして・・・)
ジュアルは魔方陣に込める魔力をアップさせていく、そして、ジュアルが渾身の力を込めて魔力を注入した直後、ジュアルの目の前にカツオンが現れたのである。先ほど切断したはずの頭部と胴体は何故か繋がっていた。
ジュアルはエラの部分にショートソードを差し込んだ。ショートソードはカツオンの頭部を貫き、剣の先が頭から突き出した。直後、カツオンの姿は消え、魔石が床に落ちたのである。
(今度こそ勝った)
何となくであるが、結界内にいるという圧迫感から解放されている。多分、結界が無くなったのだろう。
ジュアルは、建物内を捜索し始めた。すると、1階の奥、昔の飛行場事務所あったあたりに、大きな魔方陣があった。その近くにあった書類を見ると、
“マクサアと魔方陣を繋ぎ、魔物の搬送に成功した”
と書かれたメモを発見した
(どこからか、魔方陣で魔物を転送して来たというのか)
そして、魔方陣をよく見ると、何やら太いケーブルは魔方陣の中に繋がっている。ケーブルの先を追っていくと、電力コントローラであった。どうやら
ここで発電した電気をどこかに送っているらしい
(これは破壊すべきか・・・)
ジュアルは悩み始めた。そして、魔方陣の方を振り向くと、そこには、頭に角の生えた、人のようなものが魔方陣から出てくるところであった。
『お前は誰だ』
ジュアルはショートソードを構えながら言った。
その言葉に驚いたらしく、角の生えた人間のような何かは、何も答えないまま、魔方陣の先に消えた。
魔方陣に飛びこもうとジュアルが跳躍した直後、ケーブルのようなものがジュアルに飛んできた。ショートソードで薙ぎ払った直後、魔方陣は消えてしまったのであった。
(逃げられたか・・・)
・・・
ターミナルの結界は無くなっていた。使えない状態であるが滑走路にも出ること可能になった。
(念のため、ここの電気は使えないようにしておこう)
ジュアルは、電力コントローラとソーラーパネルを繋ぐケーブルを遮断したのだった。
この世界では、当然ながら電気は使われません(電撃:雷とだけ認識されてます)。
なので、角の生えた人間みたいなもの・・・が何をこの世界で企んでいるのかは不明です。
何故、カツオンの最終避難先がセラミックの箱だったのかは・・・ご想像にお任せします。




