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第45話 ランチ村(その2)

あっけなくオークをやっつけてしまったジュアルですが・・・

 ジュアルは、オークの死体は、魔石を抜き取った後に異次元ポケットに収納し、放心状態の案内をしてきた村民を無理矢理歩かせて、村に戻った。村の入り口では、帰ってきたジュアルを、おっかなびっくり見ている村民たちの姿があった。村に入ったジュアルは、案内をしてきた村民を調度見つけたチェロに任せ、村長のところに行くと

『オークを解体できる奴はいるか』

とだけ言った。村長は首を縦に振りながら、

『いる・・・・儂が出来る。これでもゴマシカでギルドの解体作業をしていたことがあるのじゃ』

その言葉を聞いてジュアルは頬を緩めた

『では、今日はオークパーティーだ』

ジュアルはそう言って、先ほど倒したオーク達を異次元ポケットから取り出した。


・・・


村長が必死に解体したオーク達は、村民総出で串焼きにされていった。だが、その量はあまりに多く、残りは、保存食として干し肉に加工されることになり、村長の家に保管されることになった。かなり貧しいらしく、大量のオーク肉以外には、各自が持参した僅かなパンと水くらいしかない宴会となったが、それでも、村民の顔には笑みが溢れていた。

(恐らく、腹いっぱい食べる・・・ましては肉を食べるなどできなかったのだろう)

ジュアルは村民の様子を見ながら思っていた。


(ん・・・?)

ジュアルのズボンを引っ張る感触に、思わず目を向けると、串焼きを手にした小さい子たちがジュアルの前に集まっていた。

(なんだ?)

不思議そうに子供たちをみると


『『オークをやっつけてくれてありがとう』』

子どもたちの声が揃った。

その様子に思わず頷くジュアルであった。


・・・


その日は、村長の家に止めさせてもらい、翌朝起きてみると、村民たちは既に起きていて、オーク肉の残りを干し肉にするべく作業をしていた。どうやら茶葉どころではないらしい。

そんな様子を眺めていると、村長が近寄って来た


『昨日は、ちゃんと話も出来ず申し訳なかったのじゃ』

いきなり村長は謝っていた。村長は、オークを6匹も解体し、ヘトヘトでそのまま、倒れるように休んでしまったらしい。ジュアルもそれを知っていたので、黙って頷いている。


『あれだけあれば、この村の食料としてはしばらく持つだろう』

ジュアルは何気なく言ったのだが


『えっ!まさかいただけるので』

村長は予想外だったらしい。


『あの肉は全て差し上げます。この村の食料にされるとよいでしょう』

村長は討伐代替わりに干し肉にして加工するように指示されたと思い込んでいたらしい。


(ここの民は搾取されているのだな)

ジュアルがそんなことを思っていると、


『食事の準備が出来ました』

村長家から女性が出ていて言った

ジュアルが振り向くと、そこには昨日、オークから助けた女性が立っていたのである


『昨日は助けていただき、ありがとうございました』

女性は深々と頭を下げた。


・・・


用意されていた食事は、パンと野菜の入ったスープであった。この村ではこれが普通らしい。

食事が終わると、村長は

『ジュアル様。儂らは見ての通り貧乏なので、何もお礼ができないのじゃ。そこで、先ほどの娘を差し出すことにしたいのだが・・・』

(???)

村長の言葉は、ジュアルの予想外であった。この村が貧乏であることは解っていたが、お礼に女性を差し出すという考えはジュアルには無かったのである。

『要りません。礼など不要です』

冷たく言い放つジュアルに、村長のみならず、差し出されるはずの女性まで驚いている。


『私は、旅をしているだけ・・連れは要らないし、面倒も見ることが出来ない』

『しかし・・・それでは・・・』

ジュアルの言葉に何か言い返そうする村長に


『この地方には、カタパルトで飛行機を発進させる秘密基地があったらしいのですが、何かご存知ないでしょうか』

ジュアルは船頭に言われた話を思い出し、試しに聞いてみたのだが・・・。それを聞いた村長の様子がおかしくなった。急に周囲を確認するように見まわし、他の人を部屋から追い出したのち


『どうしてご存知なので?』

村長は言葉使いまで変わっていた。


・・・


『・・・こちらです』

村長は、ジュアルを村長宅の床にあった隠し通路から中に案内され、長い通路を歩いていた。かなり深いところまで降りているらしい。30分くらい歩いた先はかなり広くなっていた。


『これは!』

ジュラルは思わず声を上げた。広い空間には、カタパルトに載せられた飛行機・・・低翼のプロペラ単発機が20機ほど並んでいたのである。


『これは、敵が攻め込んできたとき、その背後から襲う目的で作られたそうです。この村の村長は、代々、この施設を守ってきました・・・ですが・・・』

村長は言葉を濁した。


『ここにある飛行機・・・戦闘機と言うそうですが・・・には保存魔法が駆けられていて、いつでも飛び立てる状態です。そして、この上の茶畑・・・。これが作られたときは、滑走路というところだったそうですが、この施設の動作ボタンを押すことで、カタパルトを上空に向けて外に出せるようになっています』

『今でもですか?』

村長の説明に、思わず質問してしまったジュアルに


『はい。ですが、これは私以外誰も知りません。これを作った昔の軍の方々は皆、戦死してしまったそうで・・・。今の人たちには場所も知らないそうで、この施設は既に無くなったと思われています。そして、この基地は役目を果たすことはありません。何故なら、飛行機はあっても操縦する人もいないのです。もはや意味はないもの・・・いや、この村を危険にさせるものだと思っています』


(飛行機はあっても操縦するパイロットが居なければこの戦闘機は役に立たない。そう言われれば、自分以外にパイロットがこの世界にいるのだろうか?)

ジュアルは、ここまで、自分の操縦する飛行機以外を見ていないし、他のパイロットの存在も聞いたことが無い。このような施設があっても、パイロットが居なければ、ただの飾り物でしかないはずである。

(一体この世界はどうなっているのだろうか・・・?)

明らかに、場違いな飛行場と飛行機。しかし、航空技術は伝わっておらず、遺跡扱いである。

(とにかく、ここは封印したほうがいいな)

ジュアルは村長に、ここの入り口を塞ぐように言った。

秘密基地があったようです。

でも


いくら整備された飛行機があっても、パイロットが居なければ意味がありません


この世界では、必要のない遺跡となっていたのでした。

いくら飛行機を購入できる国力があっても、パイロットが居なければ飛行機は飛べません。

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