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第44話 ランチ村(その1)

ランチ村・・・決して昼食村ではありません。

翌朝、パンをチェロと食べたあと、チェロの引く荷車と一緒に移動していくと、前方に開けた緑の敷地が見えてきた。


『村に着いたぞ』

チェロそう言って緑を指さし・・・いや、正確にはその先にかすかに見える集落を指さしたのだった。


歩いていくと、緑の敷地は全て茶の木であった。均一に刈り込まれたその姿は、遠目には緑の敷地に見えたのである。尤も、近寄ってみると茶の木は列になって植えられており、作業するためか、列と列の間には人が十分通れる幅の空きスペースがあった。そんな姿を珍しそうに眺めているジュアルに


『本当に茶の木を見たかったのか?』

チェロは不思議そういった


『最初にそう言ったろう』

ジュアルの言葉に


『こんなものの何が珍しいのだか・・・』

チェロは呟くように言った。


その時、背後か気配を感じたジュアルが振り向くと街道を走ってくるものがあった

(オーク!)

この村の村民と思われる女性を追いかけているオークの姿が目に入った。追われている女性は村に逃げ込もうとして考えているのか街道を村に向かって走っている。


ジュアルはショートソードを異次元ポケットから取り出すと、オークに向かって走っていった。もう少しで、ジュアルが追われている女性にたどり着こうしていたとき、女性は躓いて転んでしまった・・・いや、村の方から飛んできた矢が走っていた女性の足元に刺さったのを見て、女性は走るのをやめてしまったのである。

(あれは、村に来るなということか)

ジュアルは女性の脇を通り抜けてそのままオークに向い、オークの足元目掛けて

『ファイヤーボール』

を放った。目の間に炸裂した火の玉を見て、オークの脚が止まる。

それを確認したジュアルは


『ウインドカッター』

を首めがけて放った。どうやら、オークはファイヤーボールを見たことが無かったらしく、思考停止していたらしい。風の刃はオークの首と胴体を切断していた。

(ショートソードは要らなかったな)

倒したオークから魔石を取りだした後、とりあえず、そのまま異次元ポケットにしまい、立ち尽くす女性の元に着いてから、

『村に行きましょう』

ジュアルが言うと、女性は首を縦に振った。


・・・


『この度はオークから守っていただき、ありがとうございました』

チェロの思惑とは恐らく違うと思われるが、ジュアルはそのまま村長の家に連れてかれ、上座に座らされた後、村長以下、ほぼ全員ではないかと思われるものの挨拶を受けていた。正確には土下座に近い。

 

『この村では、オークが現れるとどうしていたのですか?』

ジュアルは聞かずにはいられなかった。その言葉を聞いて、村民たちは一様に青ざめている。


『私は、この村の村長をしているルキヌと申しますじゃ。見ての通り、この村にはオークと戦うような力ないのじゃ・・・なので・・・』

口を濁す村長をジュアルは睨むように

『なので、何だ!』

と声を張り上げた。


『茶畑で作業している者を生贄に・・・』

村長(ルキヌ)の消えそうな言葉を遮り


『オークの巣は何処だ!』

ジュアルは怒鳴っていた。


・・・


『・・・この先にあるはずだて』

村人の中から、オークの巣を知っているという村民に案内をさせ、茶畑の隣にある森に入ってしばらく行くと、森の中に開けたところがあった。ジュアルはその規模を確認してみると、数体のオークによる、まだ出来たばかりの集落らしいことが判る。


『オークの集落はここだけか』

ジュアルの問いに


『おらが知っているのはここだけだて』

案内をしてきた村民の声は震えていた。


『お前はここで待っていろ』

ジュアルは案内をしてきた村民に言うと


『ファイヤーボール』

『ファイヤーボール』

『ファイヤーボール』

『ファイヤーボール』

『ファイヤーボール』

5つ有った集落の建物全てに放った。全て、木造であったそれらは、ファイヤーボールが当たった途端、勢いよく燃え上がった。それを確認したジュアルは、ショートソードを取り出し、突撃していく。燃え上がった建物からオークが4匹飛び出して来た


『ウインドカッター』

『ウインドカッター』

『ウインドカッター』

近くにいないオークに風の刃を放ったジュアルは、近くに現れた、オークの首をショートソードで刎ねた。オーク達は、急に襲われて理解できていなかったらしい。ジュアルが風の刃を送った先を見ると、オークの胴体が上下に切断されていた。

(ウインドカッターってすごい威力だな・・・)

ジュアルは、ノヤカで取得した魔法の力に感心するのであった。


ジュアルが火をつけた建物は、30分とせずに全焼してしまった。ジュアルは、他に何かいないか警戒してはいたのだが、火が消えるまでの間、新たに現れるオークはいなかった。

『おい。もう出てきていいぞ』

ジュアルは案内をしてきた村民に呼びかけた。しばらくすると、唖然としたまま・・・放心状態に近い状態で現れた。

『すげえ~。やっつけちまっただて』


(こいつは役に立ちそうにないな)

燃え残った建物からは、白骨死体が2体見つかったが、建物の隅に穴を掘って捨ててあったらしく、ジュアルから見て身元の判るものは見当たらなかった。

(恐らく、襲われた村民だろう)

ジュアルは白骨死体に手を合わせた。

何故か出てくるオーク・・・。ジュアルには、美味しいお肉にしか見えていないように思います。

そのことが、一般住民とかなり乖離していることに、何故か気が付いていません。

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