第37話 司令部
ついに司令部。
司令部の入り口にも張り紙があった。
=司令部=
第一から第五までの格納庫を開放し、鍵を入手した者だけが入ることを許される
(大きなお世話だ!)
ジュラルは扉を開けた
(???)
不思議と格納庫で入手した鍵を使っていないにも関わらず入れてしまった。
(もしかして要らない?)
と思いながら中を進んでいくと、受付があった。そこには、制服を着た女性っぽい人のようなものがいた。
(いや・・・あの、頭に生えている角が・・・)
ジュアルは一瞬勘違いしそうになるも、頭に生えた角を見落とすことは無く、目の前にいるのが人間でないことを理解していた。
『第一から第五格納庫の鍵を提出ください』
受付の女性(?)は言った。ジュアルは異次元ポケットから回収したカードを5枚カウンターに並べて見せた。
受付の女性(?)はそれを、目に見えない速さで回収すると、一枚ずつチェックした上で、
『間違いないですね。ジュアル=ラィシカーラクセン。あなたの挑戦を歓迎します』
そう言うと、受付の女性(?)は変形し始めた。それは魔族と呼ぶのが正しいと思われる、異端な者であった。
『司令官は2階にいます。ですが、私を倒さないと2階には上がらせません』
といって、いつの間にか手に持っていた大剣で切り掛かって来た。咄嗟に躱したジュアルは、ショートソードを右手に持った状態で
『ファイヤーボール』
を放ってみた。火の玉は魔族の届いたところで消滅してしまった。
(これくらいでは、効果なしか)
『うふふ・・・かわいい攻撃ねえ・・・そんなの聞くはずないでしょ』
そう言いながら、大剣で薙ぎ払いに来た。これもジュアルは咄嗟に躱すと、
『アイスエリア』
を少し多めに魔力を込めて発動させた。突然、脚が動かなくなる魔族は
『あれ~動かない』
脚が動かなくなったらしいのだが、何かおかしい。とりあえず、ショートソードで切り掛かると
『な、わけないだろうが!』
魔族はそう言って、狙ってましたとばかりに
『サンダーボルト』
ジュアルに向かって雷撃を放ってきた。
(ここは掛けに出ますかね)
ジュアルはそのままショートソードで突きの姿勢を保って突っ込んでいく。魔族の放った雷撃がジュアルに直撃・・・したはずであるが、ジュアルはそのまま魔族の体を突き刺した。
『なんで・・・まさか・・・そんなあ!』
この魔族は、格納庫で与えられる魔導書の中身を知らなかったらしい。が、最後にジュアルの持っている能力を確認したのか、“吸雷”を持っていたことを理解したらしい。
(魔族といえども傷口を凍らせてしまえば)
『アイスエリア』
ジュアルは魔族の体内にアイスエリアを発動させた。魔族の全身が凍っていく。辛うじて頭部は凍ってなかったらしい
『このままじゃ。死んじゃう・・・』
魔族が何かうわごとを言っている。
ジュアルは抜き取ったショートソードで魔族の首を刎ねた。そしてその頭部めがけて、
『サンダーボルト』
を放った結果、魔族の頭部は爆散したのであった。
『ふう・・・』
(相手が油断してくれたから勝つことが出来たけど・・・2階の司令官も魔族なのかな)
ジュアルは、異次元ポケットからポージョンを1本取り出すと、そのまま飲み干し、2階へと上がっていった。
・・・
2階は、どういう訳か広いホールのようになっていた。ジュアルが階段を登りきると、真っ白な制服に身を包んだ軍人が待ち構えるように立っていた。
『よく来た。ジュアル=ラィシカーラクセン。私は、この基地の司令であるシヒコト=ダワラオという。と言っても騎士爵だ』
白い制服を着たシヒコトはそう言ってほほ笑んだ。
(こいつ・・・歴史書で読んだことがあるぞ。昔の戦争で、戦死した少将だったはず)
『あなたは、南方で戦死されたと聞いていましたが?』
ジュアルは自分の知識を信じて話掛けてみた。
『そうだ、私は、ここの司令部か解体されたのち、イワンタ島で撃墜されてしまったよ』
シヒコトはあっけなく、事実を認めた。
『では、何故ここに・・・』
ジュアルが言い掛けたのをシヒコトは遮り
『無念なのだよ。私は・・・なので、こうして蘇った』
シヒコトは被っていた帽子を取って見せた。そこには、魔族の象徴と言える角が生えていた。
『そんなことをしてもあなたの無念は晴れないでしょう・・・』
ジュアルが言い掛けたのをシヒコトは再び遮り、
『もう戻れないのだよ。だが君にはひとつ礼を言っておこう。第五格納庫にいた部下たちを成仏させてくれたね。ありがとう』
シヒコトはそういって頭を下げた
『先に言っておくが、私は魂だけになっていないので、同じ方法では成仏できないのだよ』
魔族になってしまった以上、インライトメントでは成仏出来ないということらしい。
(何で、わざわざ言うのかな?)
ジュアルがそう思ったつぎの瞬間、シヒコトは、自ら服を破り、完全な魔族に変身していた。
(こいつ・・・絶対強い)
ショートソードを構えるジュアルに
『ファイヤーボール』
シヒコトが攻撃を掛けてきた。向かってきた火の玉を躱すジュアルを見て、
『ほう・・・骨のある奴がいたのか』
というと、何か呪文を唱えだした。
(これはヤバイ)
と思ったジュアルは、慌ててファイヤーボールを放ったが、シヒコトにあっさり躱された直後、無数の銃弾がジュアルに飛んできた。咄嗟に跳び上がって避けるジュアルに
『サンダーボルト』
と言って雷撃を放つシヒコトは、顔がにやけていた。恐らく勝利を確信していたのだろう。
『ウインドカッター』
ジュアルは、魔力のほとんどを込めて、ウインドカッターを放った。その直後、サンダーボルトがジュアルに直撃する。威力が高いせいか、多少の痛みが走った。
一方、渾身のウインドカッターを放たれたシヒコトは、持っていた剣でその威力を弱めることに成功したが、小さくないダメージを負っていた。それでも
『思ったより強かった。だが、あの雷撃を受けては助かるはずもない』
そう言って、その場にへたり込んだのだった。そして、顔を見上げたシヒコトは、己の予想が外れていたことに驚愕する
『何故・・・どうして・・・まさか!』
どうやら、シヒコトも第二格納庫で提供された魔導書(吸雷の魔導書)のことを失念していたらしい。ほぼ無傷で彼の目の前に立っているジュアルを見て、言葉を失った。
『成敗』
ジュアルは、ショートソードでシヒコトの首を刎ねた。
登場人物は全て架空の人です。




