第33話 第一格納庫
ノヤカダンジョン開放作戦開始!
(なんじゃこりゃー)
中は広い草原になっていた。どう考えても格納庫の大きさと合わない広大な草原である。よく見ると、遥か先に何か建物があり、その周辺になにか植物と思われるものが見えた。
(まずは行ってみるしかないか)
ショートソードを手にもち、周囲を警戒しながら近づいていくと、建物の周囲には、バラのような植物が生い茂り、その手前に人のような形をしたものが2体いた。慎重120㎝くらい、緑の髪の毛の頭には、黄色とピンクの大きな花が咲いていた。
『侵入者よ!』
『侵入者よ!』
2体の人のようなものが、ジュアルに話掛けてきた。思わず、ショートソードを握る手に力が入る。
『英霊への館の鍵は5個、ここには1つ目の鍵が保管されている』
黄色の花が咲いた人のようなものが言った。
(面倒な予感・・・)
『ここを開放して外に出たいのだけど・・・鍵を渡してくれないかな』
ジュアルはダメもとで言ってみた。
すると、2体は、ジュアルの予想に反して、左右に位置をずらし、建物へ招き入れるように道を開けた。
(あれ?)
ジュアルは警戒しながらも、空けてもらった道を歩いていく、建物の周囲にあった植物はバラであった。が、何故か皆黒い花を咲かしている。
(不気味だな)
建物の近くにくると、実際には建物ではなく、大きな碑であった。碑には大きく文字が彫ってあった
“恋人たちの整地”
(なんだこりゃ)
碑の中央くらいに1枚のカードのようなものが札のように碑に駆けてある。ジュアルはこのカードをとった瞬間、碑は黒い何かを出しながら変形を始めた。思わず身構えたジュアル
であったが、何かの気配を感じ碑から距離をとった。と、次の瞬間、周囲から何かが大量に飛んできた。ジュアルは跳び上がって元いた場所付近に
『ファイヤーボール』
を打ち込んだ。見ると、碑の周辺にあったバラたちが動き出し、自身の棘をジュアルに見向けて発射したものだと解った。
(げっ!バラのトレントなんて聞いたことがない!!)
ジュアルはバラに攻撃されたことを驚きながらもバラに向かって、
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
と体を回転させながら飛ばしていった。
・・・
(痛たいなあ・・・)
バラの棘攻撃を受けながらも、ジュラルは何とかバラを焼き尽くすことに成功していた。範囲魔法でないファイヤーボールでは、かなり効率が悪いため、体中にバラの棘が刺さってしまったのである。
そして、いつの間にか、入り口にいたはずの2体は消えていた。
(どこにいったのだろう?)
ジュラルの疑問は、直ぐに解消されることになった。
『侵入者よ。よくも大事なバラを・・・許さん!』
何と、碑は入り口にいた2体にそっくりな、真っ黒な人形のようなものになっていた。何故か、頭に大きな黒いバラが咲いている。
(こいつらが攻撃してきたんだろうが・・・)
ジュラルは思いながらも、黒い人形に
『ファイヤーボール』
を打ち込んだ。だが、人形に飲み込まれるようにファイヤーボールは消えてしまい、ダメージを与えられた感じではない。
『効かないよ。バラの恨み思い知れ!』
人形から蔓のような枝がジュアルに向かって何本か伸びてきた。ショートソードで切り落としてみると、直ぐに脇から別の枝が伸びてくる。ジュラルは必死に枝を切り落としていたが
(これじゃ、きりがない・・・あいつの弱点は・・・)
『ファイヤーボール』
を頭に咲いているバラに打ち込んだ。と、次の瞬間、蔓のように伸びてきた枝の攻撃がとまる、人形は、頭のバラを守るように、ファイヤーボールを避けたのである。
(なるほど・・・あの頭に咲いたバラは弱点か)
ジュアルは人形の左右と頭部より僅かに上を狙って
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
『ファイヤーボール』
を3連発で打ち込んだと同時に、ショートソードを握りしめ、突進。枝を払った後、頭部に飛んできたファイヤーボールを躱そうとした人形目掛けて、剣を振り降ろした。ショートソードがバラの花を切り裂いた結果、
『ギャー』
人形は、奇声をい上げながら、溶けるように消えていった。
(勝った!)
ジュアルがそう思った直後、草原は消え、何もない倉庫の中にジュラルは立っていた。よく見ると格納庫の内部である。そして、ジュアルの足元には、先ほど碑から獲ろうとしたカードと1冊の本が落ちていた。ジュアルはカードを拾ってよく見ると
“第一格納庫のカード”
と刻印されていた。
(多分、これが鍵なのだろう)
ジュラルはカードを異次元ポケットに収納したのだった。そして、本を拾って表紙を見ると
“アイスエリアの魔導書”
と書いてある。
(聞いたことがないな)
ジュアルは本を開いてみる。魔導書の頁を全てめくった結果、魔導書は謎の炎を上げて燃え、消滅した。
(うん。使えそうだ)
どうやら、周囲を凍らせることが出来るらしい。
『アイスエリア』
ジュアルが唱えると、周囲3mくらいの床が凍り付いた。
・・・
格納庫の出入り口の脇には人が一人通れるだけの小さな扉があった。ジュラルが扉のノブに手を掛けて押すと、簡単に開いたのである。その先には見覚えのあるノヤカの飛行場の光景が広がっていた。
(1つクリアだな)
ジュアルは次の格納に向かうことにしたのだった。
何とか植物の攻撃を撃破!




