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ラブドリーム  作者: 白いシロ
第一章

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17/20

今は会えぬ海色の君。

アルバから呼ばれて出てきた青年は見た目こそ同年代のように見えるが、その中身は異常に歪に見えた。

ただ一言怪しいとでも言ってしまえばそれで終わらすことも出来るのだろう。

ただ、雰囲気がおかしすぎるのだ。

幼いようにも感じたり、中年のような年齢の佇まいを感じたり、またどこか懐かしい気配も感じる。

しかもそれが聞いたこともない【ベーレト・バビリ】の管理人という役職なのだから怪しさは満点だ。

フィリア家の関係者、つまりは敵。信じようと考えていたアルバが連れてきた。つまりはアルバも敵?

などと思考が堂々巡りになりながらも登場した相手がこちらの方に向かって歩く足が止まることなどない。

黒一色で染められた服装と暗い青色の髪は怪しさと物々しさを強調させる。


「あ、勘違いなさらないでください。彼は心から貴方の協力者ですですし、私も同様です。初めまして。

私の名前はノアと言います。と言っても名乗っているが正しいですね。フィリア家において私の立ち位置は部下の一人のようなものなので名前は与えてもらってないんですよ。」

不思議な雰囲気を纏いながらも微笑を交えてその青年「ノア」は夢菜に対して語り掛けてくる。


彼もアルバも同じだ。そう直感的に感じる。懐かしさと、何故か彼ならば信用できるのではと感じてくる。

何よりも彼も初対面という感じがしなくてどこかで会った気がした。

でもあった記憶は一切ない。私は「藤枝依蔓」のように自身の本来の名前を覚えておらず、「秋桜夢菜」という憧れになることしか思考できなくなっていた。と今なら思える。そう思えるようになったのもアルバに出会ってからだったけど。幼少期のことを思い出そうと思っても、ただただ辛かったていうのと糞みたいな両親との思い出しかない。

つまりは幼少期の記憶というのはほぼ無いに等しい。それ以降の記録というのも夢菜と自身を重ねる行動をずっと行ってきたため、漫画と私の記憶が混じるような感覚でどうにも記録としてしか思い出すことが出来ない。

もしその時に出会っていたとしたら覚えてないのも当然なのかもしれないわ。

でもとりあえずは今目の前に居る得体のしれない相手を対応するしかないわね。

「それで、フィリア家の関係者が何の用なの?この前フィリアが最大の障害だとアルバと話したばかりのはずだけど、本当にあなたたちは私の敵ではないの?」


夢菜が二人を睨みつける。


その対応に一旦は二人はオドオドした。二人とも美形なので正直ちょっとかわいいと思ってしまったが状況が状況。しっかり説明してもらいたいわね。


「分かりました。順を追って説明しますね。まずは「ちょっと待って。」

ノアが説明しようとして夢菜が一度止める。


「説明してくれそうなところ申し訳ないけど、その口調やめてくれない?とって作ったような笑顔も。私そういうの分かってしまう上で無理なのよ。能力使われている最中の両親を思い出してしまってムカムカするわ。貴方、本来そのしゃべり方ではないのでしょう?」


そう言って夢菜はノアに促す。

それを受けてノアは先ほどまでの怪しげな雰囲気は消え、どこか気怠そうな態度に切り替わった。

「はあ~。初めての役回りだったから、こうミステリアスキャラ的な感じで行こうかなと思っていたんだがなあ。まあ下手に刺激し続けるよりかはマシか、正直ちょっとヒヤヒヤしたしな。夢菜さんと完全な決別してしまうのかと思ったからなあ。」

うわあ。絶対この人ロクな人ではないわ。見た目と中身の絶望的に最悪なギャップを見てしまった。

詐欺師っぽい感じで接されて騙されるとか、フィリア家だからと警戒していたけど、するだけ無駄に感じてしまった。


「お、少し警戒といてくれたか。ありがたいねえ。それじゃあ俺はデフォのこの態度で行くかあ。サラリーマン時代に培った営業スマイル昔から怪しいとしか言われなかったからなあ。まあそれはいいかあ。

とりあえず、順を追って説明するぞ。まず俺とアルバは兄弟だが別に血も繋がっていなければアルバはフィリアに関連する人間ではない。まあ俺と繋がっているからある種フィリア家と関連あるって言われてもしょうがない気はするがな。あ、あれな心で繋がっている兄弟的な奴な。」

そう言ってノアは大笑いする。おっさんくさい言動と様子に美形の青年のビジュアルで正直やめてほしいわね。嫌悪感とは少し違うけどこう関わったとしても深入りはしたくないというか、多分悪い人ではなさそうだからきっと良い人止まり扱いを受けるような人なんだろうなあ。


「なんか凄い酷い評価を受けた気がするが、まあいいだろう。よくある話だからな。とほほ。まあとにかく俺らは敵ではねえんだ。でもまあフィリア家を名乗る俺が警戒する嬢ちゃんへなんで近づいたのか、っていう所だよな。本来なら監督官として今回特に干渉するつもりはなかったんだが、状況が変わったのさ。それはな。嬢ちゃんび存在と【ベーレト・バビリ】の内容変更だ。」


え、私?そして【ベーレト・バビリ】の内容変更?なんの関連性があるの?

「私はただの秋桜夢菜よ?それとなんの関連性があるの?」


「はっきり言ってなあ。嬢ちゃん。フィリア家でもないのに強すぎるんだ。本来ならフィリアの人間以外は勝てるような大会になってねえんだよ。それでも無謀な戦いに挑み続ける連中。そういう構図だったんだが、嬢ちゃんはこの前暴食のフィリアと戦ったよな?あの時、奴の力と拮抗できた。それの時点で規格外だ。でもよ、さっきも言った通り勝てる仕組みになっていない以上はどちらにせよ勝ち目はない。流石にな。」


私ははっきりと勝てないと言われて衝撃を受けた。

だけど言いたいことは分かる。実際にフィリア家がずっと勝ち続けていると聞いている。それにフィリア以外に活躍や奮闘した人もいない。

更に言えばそれなのにも関わらず、私も他の人間も負債を取り返そうとするギャンブラーのように挑む気概を持ち続けていた。誰もやる気のないとかそれ以外への興味を失っているようなレベルで。

まあ、私は挑む以外に選択肢がないと思ってはいるのだけれど。


「だがまあ、()()()()の監督官としてそのような蛮行は許しがたい。夢を追う者を蹴落とす行為を私は許せない。夢とただの酔狂として談じさせることなどさせたくはないんだよ。まあそんなところでね。嬢ちゃんを勝たせたいんだ。」

そう言い放った彼の顔は一瞬だが増悪にまみれた恐ろしい顔をしていた。一体どんな経験を積んだらあのような顔と感情を持つことができるのだろう。

夢に向かっている私の熱量と彼の憎悪の熱量は同じかそれ以上のものに感じた。


「あ、あとあれかあ内容変更に関してなんだけど、チーム戦だからねえ。君とアルバだけでも彼らと拮抗は出来るかもだけどさ、彼らもチームを組みし、場合によっては最悪さ。捨て駒とか盾とかにも使えるし、彼らならそれに躊躇はしないし、実際使ってくるだろうね。人を。って考えたら戦力は居た方が居た方が良いでしょ?報酬はどんな形であれ嬢ちゃんの好きなようにしてもらえばいいしさ。俺が監督官だから、ある程度好きにしていいって許可も降りてるしね。どう?」


確かに魅力的ではあるわ。さっきまでの会話とアルバの存在。きっとここで断ってしまったら彼はアルバごとどこかへ行ってしまいそうだし。

それにどうやら私の状況は他の人間ほどではないけど結構追い詰められているらしい。

フィリア家の一人相手にあの体たらくでは他もどう転ぶか分からないものね。

「分かったわ。選ぶ道はなさそうだもの。それに今の夢菜は誰かを信じて行動するって決めたばかりだもの。とことんまで信じてやり切ってみせようじゃない!」


夢菜は啖呵を切って宣言した。

その返答に安堵の域を吐いたアルバとノアは顔を合わせて喜んでいた。

「そうかあ。よかったなあ~。それじゃあ俺たちは仲間だな。じゃあ監督官としてではなく、仲間であるノアとして嬢ちゃんにいくつか情報を渡そうかな。嬢ちゃんが能力と呼んでいるそれは『フィリア』と呼ばれている。フィリア家の能力者たちだって、そうだなそれこそ藤枝依蔓だって『暴食のフィリア』と呼称されていただろう?アルバが前言っていたようにこの街の思春期にある人間。特に高校生が適正を持っている。まあ【ベーレト・バビリ】に出る人間は少なくとも『フィリア』を持っているだろうさ。その能力は個人の願望や生き様を重ねて内容が出来上がる。言ってしまえば肉体の欲望から魂の処理が行われて欲求に沿った能力が出来上がるわけだな。」

「フィリア」ってただ別に家名だけのことではなかったんだ。

夢を追うモノって中々なネーミングよね。私もあんまり人のこと言えないかもだけれども。

それに最後の話に関しては全く理解できなかったわ。肉体の欲望から魂の処理?まああんまり考えなくてもよさそうだからいいわ。アルバと同じで彼もたまに全然訳の分からない話しているわね。

「『フィリア』は別に一人一つなんて決まりはねえ。夢の大きさや能力の範囲とかには差はあれど、夢を一つしか持ってはいけないなんてルールはないだろ?だからレアケースだが2以上持っているやつもいるぜ。基本夢を複数持ってると夢に向かう道が増えて対外中途半端になって諦めてしまうから一つのケースが多いんだけどな。」

まあ、それはそうよね。どんな人でも複数の夢を持とうとすると何かが疎かになってしまう。やりたいことがあっても他のやらなければいけないことで出来なくなってしまったり、新しく興味を持って増えたり減ったりするわよね。夢って。大人にもなれば夢すら持てなくなる人もいるっていうし。

「そして今回の最後にだ。どうせまた会えるし、チームとしてやり始める初顔合わせだからな。一度これだけ言って今日は締めだ。俺は正式なフィリア家の人間ではないけども、しっかり「フィリア」を持っている。まあ能力隠して行方不明扱いなんだけどな。『怠惰のフィリア』というフィリア家に連なる7滞在の一柱だ。」

それを言われて驚いている夢菜を尻目にいたずらが成功したかのような笑みをノアは夢菜に見せた。

いつ【ベーレト・バビリ】に行くのだろうか。

プロローグが終わらないちゃむよお。文章能力のフィリアとかないかな???

とりあえず本番行くまで見守ってください。

必ず夢菜をシアワセにするので。

それではまた次の夢で。

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