フィリアの書『ラブドリーム』~中学生編②~
私はルイと一緒に学校を散策している。
なにか面白いことでもあるのかと最初は少し期待をしていたものだが、特にはそういったこともなく、普通に学校の教室案内などをしている。
「で、ここが音楽室で」
「夢菜はさーどうしてあんなに人気なの?俺は転校生で今までのみんなとか夢菜の事詳しくはないけどさー。学校も割と始まったばっかだし、同じ小学校じゃない子もいっぱいいるでしょ?なんでー?」
彼は私の目の前に顔を近づけて、ふざけた口調ながら真顔でそう聞いてきた。
「だって、私は特別なんだもの。私は全ての人に愛され、全ての人を愛す。だからきっと自然の摂理なのよ。」
「うおー。面白いねえ。嘘は言っていないようだし、実際そのくらいの熱量みんな持ってるからあながち間違いでもないのかな。」
「あら、疑ってる?」
ルイは首を振ってから答える。
「疑ってはいないけど、面白がってはいるかな。本気で自分のことに対してそこまで自信を持てる人ってなかなか居ないじゃん。俺だけかと思ってた。」
「あなたも同じ?」
「ああ、そうだよ。昔から好かれまくるし、幸せな生活してるのかなってたまに疑問に思うこともあるけど、ただ当たり前っていう風に考えている自分もいるんだよねえ。」
確かに私と彼は同じなのかもしれない。私も彼が言ったように幸せを享受しているが、それを当り前だと認識している。
ただ今はどうしたらいいか分からない。私は今までみんなと違って、私一人がこの世界で全てから愛されているという風に認識していた。妙にもやもやする。
「でも残念だ。せっかく楽しめるのかと思ったのに。」
「どういうこと?」
「君は恋を知らない。愛情というモノ自体は認識しているけど、恋愛を知らないし、本当の意味で愛したこともない。まあせいぜい好きくらいはあるのだろうね。それに愛することの裏返しであり人に向けた感情の差はほとんどない嫌うということは知っているのだろうけども。」
ルイはそう言って私に近づいてきた。私は怖くなって、後ろに下がったが廊下の壁があって、それ以上下がれなくなった。
すると彼は片手を壁に付けて私の退路を塞いでしまった。所謂壁ドンだ。お父さんとお母さんが気になる人にやってみなと言っていたものだ。なーんだ。彼も私のことを愛したのか。
「可哀そうだねえ。夢菜ちゃんは。でもそれはそれで見物だ。世界に愛されそれを愛していると誤解している君は非常に憐れだ。俺はその様子を見ている方が楽しいな。うん。決めた。俺は君を愛さないし、君を特別にしない。せいぜい君の言っている愛がどれだけ子供っぽいままごとなのか、そしてこれから君のしてきたことの一部が崩れていく様を観ているといい。俺が全部愛してあげるさ。」
彼はそう言って私に背を向けて歩いて行った。
私はとても悔しい気持ちになった。
なんで出会ったばかりの人間にそんなことを言われなくちゃいけないのか。
私のやっていることがままごとですって⁉
なら私と相思相愛の連中は総じてしょうもない連中じゃない!
確かに私はまだ恋心という感情を知らないし、そういった意味ではまだ愛を語るにはまだまだ浅いのかもしれない。
ただ、妙に惹かれたあの自信たっぷりのあの男に言われてはいそうですかとそのまま思い通りにせたくはない!
それに、私のしてきたことの一部を壊すですって!
私自身でさえもうそんなことは出来ないのに、あの男ならできる?そんなの許せない。私より上ってことじゃない!すごく妬ましいわ!
とにかく、私が今すべきことは黙ってこの状況を享受するのではなく、あの男を止めないといけないわ。
一体何をするのか、そして何が目的なのか、どういう人間なのか。
それらを全部理解して、その上で自分自身の力に変えてやるわ!
最初はそう息巻いていた。
ただ、ルイは私が警戒しているのもよそにただ単に、友人としてクラス、学年、ひいては学校全体といったように増やしていっていた。
私も私で同じようなことをしていたため、学園の女王と王が同時君臨しているというか、男子と女子両方からの人気がどちらも頂点と言った風に噂されている程度のもので、特に奪われたということは一年生の時点では味あわなかった。
ルイが失敗したのかと思って声をかけてみたが
「ん~?いやまだまだだよ。王が忙しなく動いていても仕方がないさ。俺の目的も果たせやしない。まあゆ~っくり、すこしず~つやっていくからさ。まあ長いこと観てなよ。」
そう言っていたが、負け惜しみにしか感じなかった。
しかし二年生になってから、状況は変化した。
今まで友人としての人気で並んでいたルイが恋愛の方に偏っていったのだ。
一人の上級生が発端だった。
ルイと結ばれたくなった上級生とルイがセックスをした。なおかつ二人は付き合っていないという。
そこからは早かった。
今まで、そういった感情と発散方法を知らなかった人たちが興味を持ち、次々とルイのところに寄っていき、体の関係を持ち始めた。
気づいたときにはもう私だけがルイと肉体関係を持っていない唯一の女子生徒となった。
友人たちとの会話の輪に入ってもそういった話が話題に上がることが多く、私は会話についていけなくなることが増えていった。
ルイは
「友情なんてすぐ崩れるよ~。人は甘いのとか初めてのとか好きだからねえ。新しい衝撃とそれがよいものだと認識させた後の中毒性を含ませたら、噂ですぐ広まるし、彼女がいないっていう話だったら遠慮しなくて良いってなって来ちゃうよねえ。夢菜も俺とヤルかい?」
悔しいと妬ましいを素直に感じていたが、それだけで終わるようなことはなかった。
女子側はルイが今の空気感を作り上げた。そしてそれは学校全体に広がっている。
なら男子側はどうだ?
男子達はそれを私に求めてきた。
ルイと同じように学園の人気者として振る舞っていた私は男子達にルイと同じ役割を求めてきた。
それに、私だけがこの学園でルイとヤっていない処女だ。
ルイはその男子達を触発するように学園の色んな男子達にこう話したという。
「夢菜ちゃんはちょっと恥ずかしがっているんだよ~。だけど、女子たちみんな楽しそうで嫉妬もしているのさあ。でも彼女自身がどうしたいのか分かっていない。みんなで協力して彼女に愛を伝えてあげようよ!」
そういう流れがあって、私は弄ばれたされた。
男子達複数が私を求めてくる、それも同時に。
したくもないと思っていたことをいくらでもされ、尊厳を踏みにじられた。
愛憎を感じる者、自分以外のモノで感じている様に嫉妬する者、ただ欲のままに私を欲する者、遊びの延長で暇つぶしに弄ぶ者、ただただ貪る者、ただただ私が目立っていたことに対しての怒りを発散する者。
色んな獣が私の身体を弄び、浸食してきた。
でも、不思議と悪い気持ちはしなかった。今までは私はただ肯定されてきた。
でも今は求められている。とても幸せだった。ルイが先にこれを知っていて私に上から目線で教えてきたのが非常に妬ましいが。
そうして私はルイの手によって恋愛の愛を知れた。友愛を犠牲にして。
自分で書いててうわあ、ってなってる。
恋愛漫画とは?まあその回答は次回だすのですけど。
次回はラブドリームの高校生編で一回ここでフィリアの書は切ろうかなって感じですねえ。
夢菜の人格形成に大きく関わってくるのでよろしくお願いします。
レビューや感想も励みになるのでできれば~。
それではまた次の夢で。




