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ヒロインは私

とある転生ヒロインのお話。

「生徒会長だからって、偉そうに命令しない

で!」

 そして私は、イケメン生徒会長の手を振り

払った。



 先の私の態度で気付く人は気付くでしょう。

 ああ、アレか…と。

 そうです。アレです。

 私はなんと、ゲームの世界にヒロイン転生

してしまったのです!


 今は昔の一月前、家の階段から落ちて前世

の記憶が戻りました。

 そこで気付きました。親の都合で転校する

事になった高校がゲームの舞台で、私はヒロ

イン。

 夢のシチュエーションに、狂喜乱舞しまし

た。

 目指すは勿論、逆ハーヒロインの座。

 早速攻略開始です。



 先ずはテンプレ、潔癖症の副会長。

 笑顔で拒絶する副会長に、可憐なヒロイン

は、そっと微笑み言うのです。

「無理に笑わなくていいよ?」

「……」

 じっと、私の顔を見て副会長は、

「無理になんて、嗤ってませんよ?」

 素晴らしい笑顔で言いました。

 アレ?



 気を取り直して、双子の庶務。

 此方も定番のどっちどっちクイズ。

 勿論、連続正解!

「「へ~。君も僕らが分かるんだね~」」

 じゃあね~と、手を振り去っていく双子。

 アレ?

 ハグは?

 ココは、私の手を引いて行くとこでしょ?

 ああ、はい。

 私は行かなくていいんですね。



 え~と、次はチャラ男の会計。

 今の時間帯なら、女子を侍らして中庭にい

る筈。

 アレ?いない?

 おかしいなぁ…。



 ホストな担任。

「希望者がないので、クラス委員は平等にく

じ引きとする」

 アレ?担任が決めるんじゃなかったっけ?

 内気なヒロインが大抜擢される筈なのに。

 ま、いいか。くじに当たるの私だし。

 え?ハズレ?

 ウソ!



 本命、生徒会長。

 命令に逆らうヒロインに、興味を持つの。

 だから私は思いっきり反論したわ。

 ちょっと惜しかったけど、肩に添えられた

手も振り払う。

 会長は振り払われた手を見て、溜め息をつ

いた。

「何を言っている?

 命令?いつ、俺がそんなものをした?

 ぶつかってきたから諫めただけだ。

そもそも、廊下を走らないのは常識だ」

 そのまま背を向け歩きだす。

 アレ?

 面白いヤツって言って、私のクチビル奪うん

じゃないの?



 アレレ?





???side


「今日、また転校生が来ましたが、皆さん会

われましたか?」

「「僕達のところは来たよ~」」

「俺のところにも来た。お決まりの台詞を言

われたぞ」

「僕は顧問に言われて、今日一日様子を見てい

たけど、間違いないね。彼女もアレだよ」

「アレが、また増えたのか…」


「「「「……」」」」


「どうなってるんでしょうね」

「「今年に入って十三人目だよ~」」

「厄年か?」

「夢見る乙女達は可愛いけど、ゲームの攻略対

象扱いされるのはイヤだね。妄想と現実が区別

できない困ったちゃん達は、ちょっと」

「私なんて十三人全員が同じようなセリフで話

しかけてくるんですよ。気持ち悪いです」

「「分かる分かる~。その上、舐めるように見

てくるしね~」」

「毎回喧嘩売られるし。ったく、何なんだアイ

ツ等。生徒会業務で只でさえ忙しいってのに、

茶番に付き合わされるのは真っ平だ」

「顧問に相談してみましょう。彼も他人事じゃ

ないですし」

「そうだな」

「「うん」」

「父(理事長)の耳にも入れておくよ」

「頼む」



 ヒロインは知らないが、この学園には現在十

三人転校生がいた。

 その転校生すべてが先ほどのヒロインと同じ

行動をして、生徒会役員に付きまとっていた。


 ヒロインの知らないところで事態は進む。


 転校生に付きまとわれた生徒会役員が、業務

執行を妨害されていると生徒会顧問に相談し、

顧問によって、職員会議にかけられた。

 十三人の転校生(全員が女生徒)達は、親族

を呼び出されての面談後、全員が姉妹校の女子

校に転入させられた。


 また、事態を重く見た学園関係者は、以降

受け入れる転校生の人数を制限するとともに、

素行調査を行うようになった。



 これは、ヒロイン乗っ取りを目指した転生者

達によってゲームが崩壊し、学園から強制退去

させられた転生ヒロインのお話。






「ヒドイわ!せっかくヒロインに転生したのに

攻略できなくなったじゃない!!」


『え~?私の人生、主役は私よ。

ヒロインなんて早い者勝ちでしょ?』×12

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