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【完結】死刑囚ギギラ・クレシアは禁術【武器化】で歴代彼氏を保管中  作者: アカアオ


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第45話 彼氏No69【不全能の短剣杖バラン】

 『あんた、今日も薬草納品??弱い男はこれだからダメよね』


 『うるっせぇな!!これでも最近剣の腕が上がっていた所なんだよ。ほっとけ』


 これは本当に最近の出来事。

 ギギラはフラッと立ち寄った町のギルドでバランと出会った。


 『せっかく使える混沌魔法もあんな威力じゃ使い物にならないものね。それで次は剣に手を出すの?どうせ上手く行かないわよ』


 『でも生活する為には必要だろ?だったらやるしかねぇだろうが』


 当時のアルチナにやんやとボロクソに言われていたバラン。

 嫌いなタイプの女が偉そうな顔をしてそんな事をしているものだから、ギギラは内心むかついたのだ。


 この町を出る前に、アルチナをギャフンと言わせてやりたい。

 そんな気持ちから、ギギラはバランに声をかけたのだ。


 『ねぇ君。ここ座っていい?』

 『うわぁびっくりした?!誰だお前』

 『ギギラはギギラだよ』

 『なんて?』

 『ギギラ・クレシア。それが名前って事』


 また変な奴に絡まれたなと思い嘆息するバラン。

 そのため息を気にすることもなく、当時のギギラは悪い顔でバランに問いかけた。

 

 『あの女クソだよね』

 『アルチナの事か?まぁ確かに嫌なやつではあるけど』


 『あのクソ女をギャフンといわせる方法があるんだけどさ。それには君の協力が必要なんだ』

 『あのアルチナをか??一体何するんだよ』

 『まぁまぁ、ちょっと耳貸してよ』


 珍しいことに、当時のギギラにはバランを彼氏にしようという考えは無かった。

 

 ただただ、アルチナに対する嫌がらせの共犯者としてバランを選んでいた。


 『ギギラと組んでから調子良くて笑そうだぜ。おい見たか、あのアルチナの顔?すっげぇ悔しそうでー』


 『まだ足りない。ああ言うタイプの女はもっと苦しめてやらないと』


 『おいおい嘘だろ。流石の俺もドン引きなんだが』


 『そう言ってぇ。バラン君だって楽しんでる癖に』


 当時、ギギラの彼女は68人。

 それなりに色んな男性と出会い、68回の恋愛をしてきた彼女にとって、バランはあまりにも平凡で、ありきたりな男だった。


 一目見ただけではその魅了を把握できない男。

 悪くいえば、パッとしない男。


 しかし、いやだからこそ、ギギラにとってバランは新鮮だったのだ。


 最初から男女の仲として見るのではなく。

 深く、熱い、情熱的な愛を育むのではなく。


 二人揃って碌でもない事をするだけの仲。

 そこから芽生えた友愛から恋愛に発展した恋。


 友達よりも先に彼氏を作り続けたギギラ・クレシアにとって、初めて出来た同年代の友達。


友達から恋人へと認識が変わる体験をくれた初めての人。


友達から恋人に間柄が変わっても、それを変に意識せずにいつもと同じでいてくれた人。


そんな人がついうっかり、他の女に目移りするものだから

 

『君が悪いんだよ。ギギラと言う物がありながら、他の女に色目使うんだから?』



つい衝動的に、彼を武器化してしまったのだ。



 「死ね!!死ね!!死ね!!」


 アルチナは金切り声を上げながら魔弾を撃つ。


 軌道?

 相手の動き?

 隙だらけの自分?


 そんなものを気にする必要は無い。

 だって全ては彼女の持つ杖、モーゼアロンが調整してくれるのだから。


 「アンタとバランだけなのよ。この私の心をかき乱すのは。私の人生を狂わせるのは」


 どれだけ自分の人生を振り返っても、汚点と言われるシーンにはこの二人、もしくはどのどちらかが確実にいる。


 なんでも言うことを聞いてくれる両親や取り巻き。

 自分を持ち上げる愚民。

 引くて数多の恋愛。


 それがあってなお、人生が満たされていないのはやはりあの二人のせいだった。


 バランが自分には出来ない混沌属性の魔法を使った時、プライドにヒビが入った。


 バランとギギラが付き合う事になって、二人の幸せそうな姿を見るたびに屈辱を味わされた。


 その幸せを切り裂くために人脈を駆使してハニートラップを仕掛けたと言うのに、待っていたのはバランが武器に変えられると言う意味のわからない結果だけが残った。


 「もう息も上がってるじゃない。動きのキレも悪くなってるじゃない。もうさっさと諦めなさいよ!!」


 今も、こんなにギギラを追い詰めていると言うのに。


 アイツは顔を上げ続ける。

 アイツは私の言葉に取り乱さない。

 圧倒的有利な状況なのに、心の奥で何かを恐れている。


 そんな焦りがアルチナの心で巡回している。


 「遅かったじゃんバラン君。もっと早いと思ってたよ」


 その焦りが氾濫し、爆発したのは、そのギギラの言葉を聞いてしまったからなのだろう。


 「お前なぁ。いつも話が急なんだよ」

 「だってさ、バラン君がそんな事考えてるなんて知らなかったんだよ?ギギラ悪くないよね」


 傷だらけの宿敵が武装を解除する。

 それと同時に聞こえた来たのは、憎くて仕方ない幼馴染の声。


 「それに、バラン君ならやってくれるって信じてたから」

 「はいはい。そりゃどうも」

 「あれ~?照れてる?」

 「照れてねぇわ!!」


 微笑ましそうに会話する二人。

 それを見たアルチナの心には怒りと恐怖が湧き出ていた。


 またこの二人に自分のプライドを粉々にされるのではないか。

 またこの二人に自分の世界を壊されるのではないか。


 方やただの狂った犯罪者。

 方や取るに足らない凡人のなれの果て。


 そんな二人に才能をもって生まれた恵まれている自分が負けるのではないか。

 そんな嫌な予感が脳裏によぎったのだ。


 「彼氏No69、【不全能(ふぜんのう)短剣杖(たんけんじょう)バラン】」


 ギギラ・クレシアが声を上げる。

 その声に答えて勢いよく開くゲート、そこから飛び出したのは小さな杖。


 彼女はその杖を慣れた手つきで掴んで、尋常じゃない魔力を注ぎ始めた。

 バランの周囲に魔力がほとばしる。


 「これしてる最中は喋れねぇし動けねぇから丁寧に扱ってくれよ」

 「大丈夫、大丈夫、任せてよ」


 その色は赤でも青でも黒でも黄でもない。

 一定に染まらず、変化し続ける虹の色。


 各属性の物でもなく、混沌の物でもない、誰も知らない魔力の塊がバランを包んだ。


 「何なのよ……私、知らないわよ。そんな魔力」

 「だろうね。バラン君が必死に編み出して作った新しい魔力なんだもん」


 それは、バランが編み出したもう一つの可能性。

 自力で喋り、自力で動き、全属性を扱え、射程距離も長く、接近戦も出来る、器用貧乏な性能を一つのリソースに一転突破する新奥義。


 「限界超えろ!!【|万能の杖は破壊の短剣へ《モードロック・オルタゾット》】!!」


 狂愛の禁術使いが愛用したサポート適正100点の万能の杖は今、全てを破壊する短剣へと生まれ変わる。

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