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088_貴女のお家へダイレクトエントリー。

シーン:玄関を蹴り破りこんにちはお嬢さんを頂きますと宣言して突入してくる彼氏さんとかどうなんだろう?ちょっと乱暴だけれども男らしくてその荒々しい求愛に胸が高鳴ったりするのでしょうかおそらくそれは理解不能な存在を眼前にした恐怖の震えではないでありましょうか?しかし吊り橋での落下恐怖からの動悸を恋の始まりに錯覚するくらいには脳みそが愚かである人類であるならば十分それは戦略として組み込めるのではないでしょうか、これってちょっとした無駄知識の調査に値するのでは?森田さん調べてみてください。


「森田さんって誰?!」真っ当な突っ込みが今日も今日とて冴えわたる、見た目は幼女その実色々と大人の女性、最近妊婦になりました、迷宮探索者にして武芸者の斧野小町、二十歳。

「お昼休みに胸躍らせてtelevisionへ皆を視線を釘付けにするちょっと素敵な初老の男性?最近は国営放送でのんびりと散歩をしながら地理地形の話題を振り撒いている界隈では有名なcomedianですね」若者文化に詳しいのはそれは当たり前、現役小学生児童、見た目は魅惑の人魚姫みたいなちょっと露出が高い服が似合うおねーさんな小町の妹、斧野向日葵、11歳。

「あー迷宮内でここの地層はですねとか言いながら歩いていた隻眼のおじさまですね、撮影班やら専門家やらとぶらぶら歩きつつ片手間に迷宮怪異を処理していました、結構腕きき」退治される側の迷宮怪異にして斧野小町さんのお腹の子の父親にして淫魔にして保険の外交員、筋肉質な肢体をちょっときつめの背広に隠した色黒肌の竿役青年、見た目は二十代後半、田沼イチロー、多分偽名。


「さてなし崩し的にと言いますか、結構自然な流れで自宅にご招待したわけですが、どうしましょうか?ちょっと父上に挨拶していきますか?」さらりと何気なくうっすら汗をかきながら伝える妊娠初期というか見た目では全くそうとはわからない小町。

「目と目が合った瞬間に殺し合いというか一方的な殺戮衝動が襲いくるような状況になりそうではありますね、遠慮してもよろしいですか?」わざとらしい笑と共に無責任男ぽく、それはまあ淫魔らしいといえばその通りである、イチロー。

「流石に男の人を連れてきて紹介するくらいではそうはならんやろう、いやなっとるやろがい、という流れになりそうではあるという、想像が容易にできてしまうわけではありますが、こう、いつでもそうならば今やらない理由もまたないわけではないでしょうかね」ちょっと物見遊山気分で焚き付けてみる正しく野次馬的立場の妹、向日葵。


「どんなに機嫌良い時に伝えても婚前交渉で妊娠した愛娘の前にその相手が彼氏として紹介されたらうちの父上なら悪速斬な勢いで巨斧を振るうことは間違い無いわけですが、そうれても十分対処ができるからこその正面突破を図ることはそう間違いではないわけです、あと、こういう報告は早ければ早いほど後での修復時間が多く取れるので良いと思うわけですよ」ふんふんと鼻息を荒くして持論を展開する小町。

「私が悪かそうじゃない方かというならば明確に悪側ではありますが、淫魔ですもの混沌にして悪な性質であることを否定するわけにはいけないわけですし、所属特性ですし、いや普通に面倒臭いなぁという気持ちと、いっそそういうふうに怒り狂う男親を見て揶揄ってみたいという気持ちがあります、揶揄いたい気持ちが九割ですが」深い笑みを浮かべる愉悦な淫魔、こう口だけが大きく影の中で目立つような表情。

「趣味が良いですね!私としても慌てふためく父上を見てみたくないか?と問われると否定し辛いところがあります、けれどもそれはそれとして大げんかというか果し合いというか、殺し合いになった時に舞台を容易して維持管理することがちょっと面倒臭いなぁという気持ちもあるのでもう少し穏便に話を持って行っても良いのかもしれません、ああ、いえ、父上の気質というか斧野家の家風としては結構無理筋でしょうか?」首を傾げながらひどいことを言いつつ向日葵。


「うちの家風ってなんでしたかね?」そんなものあったかなと小町。

「うちの家風は、脳みそも筋肉です。まずは暴力で解決しよう、そしておそらくそれで解決してしまうので、それ以外の方策を知る由もないという、議論なんて野蛮なことはやめて平和的に殴り合おう、と真面目な顔で言うのが父上です」ちょっと正確ではない表現ですが、と向日葵。

「ああ、やりそうではありますね、いや実際にやってるのか」納得する小町。

「正確ではないとは?」気になる淫魔。

「何も言わずに殴りかかってくる可能性が高いので最初の問答すらないと言うのが正確でしょうかね?」母上方面が取り仕切る諜報方はまた違うのですが、と続ける向日葵。

「野蛮じゃない?」迷宮怪異が引くほどに。

「理不尽に襲いくる迷宮怪異に言われるなら父上も本望かもしれない」なぜか感心する小町。



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