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072_もうこいつだけでいいんじゃないかな?

シーン:馬鹿が戦車でやってきた、のではなくて戦車が馬鹿。主体が逆転しているように見えてそれが正解であった場合の観客がとる反応を予想せよというならば馬鹿なとか言うしかなければばかめと言ってやれと応えるが如し、はい、迷宮探索壊滅鏖殺小型戦車の活躍始まっているよー。


「冷やし中華始めましたの、騰じゃないんですから」呆れ顔の姿は幼女、その実色々と大人な女性の迷宮探索者にして武芸家、巨斧使いな斧野小町二十歳。



 荒野は続くよどこまでも、青い扇風が巻き起こるような迷宮内環境、別に三日たたなくともお前のものは俺のものにできる点が実はさらに野蛮なのではなかろうかとか思わなくもないけれどもそもそも迷宮内に侵攻して一方的に資源を搾取していると見ることができる、もしくはそうとしか言いようがない、迷宮探索者にとっては何を今更とか言うしかないのではないか?


「いやまあ、一応迷宮側も怪異やら怪物やら怪しげな罠やら厳しめの環境で探索者を殺しにきているからお互い様ではないかなとか思ったりもします」反論している小町。


 それもわざわざ富と名声を求めるために迷宮探索に血道を上げる探索者が、迷宮内に侵攻しなければこのような悲しく無駄で無情な争いは発生しないのではなかろうか、などと迷宮保護を声高に唱えるような平和団体がいたりもしますが。


「そもそもが逆で、迷宮そのものがその付近に住む人間を誘い込んでいる、もしくは喚んでいるから、そのような関係が始まっているのであり、さらに言うならばより多くの人間がそこに入り込むように常に誘っていると言うのが真実かそれに近いところと言うのが古来からの定説であり、そこを管理している、もしくは監視している、地方神やら精霊やらが広報している説明でもあるわけで、さらに言うならば、この国の中枢、尊き一族がかのように付き合うようにと託宣をくれていると言う現状もあるわけで、迷宮が生命体でありそれを保護しなければならないと言う観点があったとしても、その適切な付き合いは、このように積極的に探索者が迷宮内で侵攻活動することである、とかそのような仕組みになっているわけなんだよね、なので、迷宮保護平和団体の主張は最初から明後日の方向を向いているわけであり、その本来の役割は社会的に高い地位にある恵まれている迷宮探索者それも、高名で実力があり儲けている上級のそれ、に対する嫉妬を和らげるための息抜きとして運用されている、面があると分析されている、とか学校で習った覚えがあるなぁ」超口舌な小町、彼女は実は現役大学生でもある。


 ともあれ、岩国迷宮10層。

 

 迷宮の深部へ向かうためにはある程度の層ごとに特定のその周囲に出現する怪異より一回りか二回り脅威度が高いそれを、探索者が撃破しなければならないと言う法則があることが多く、この岩国迷宮はその例に漏れず、10の倍数ごとに発生する。


 相手は巨大な狒々、身の丈は成人男性の三倍ほど、硬い毛皮に覆われていて、四肢は成人女性の腰回りほどの太さで、怪力具合、俊敏さ、がまさに化け物級であり、猿よりは頭も回る。


 叫び声には聞いたものを恐怖に陥れ、身を固まらせる阻害効果があり、開幕にそれを放ち、怯んだ探索者を殴殺することを好む。


 単体で出現。複数の探索者で組を組んで囮役か盾役、近接攻撃を主体にするものを複数名で、その動きを抑え、遠距離攻撃、射撃手をこれまた数名用意することで、それほど苦労することなく狩ることができる。

 回復役、行動阻害系能力者、行動補助系能力者、攻撃系術者がいれば、安全度が高くなるが、いささか過剰戦力になることも多い。


 この怪異、巨大狒々を単独で狩ることができれば一端の武芸家を気取ってもそれほど文句は言われない、ある種の登竜門となっている。


「で、四肢は切り離され、胴体へは向こう側が綺麗に見えるくらいの穴が空いているのだよな、すでに」あきれ小町。


 車体を左右に揺らして勝利の勝ち鬨を上げている小型戦車。


 階層主、門番系強化迷宮怪異、が出現した瞬間、瞬時に小型戦車、その車輪を急激に回して間合いを詰め、0距離で四肢を単分子鋼線で切り落とし、その反動でくるりと間合いをとったのちに、前面やや天頂方向の装甲表面一部が鏡面となり、そこに、紋様が浮かんだかと思った瞬間、太めの熱線が狒々の腹に走り、肉を焦がすと言うよりは蒸発させて、綺麗な穴が穿たれる、


 巨大狒々は死ぬ。


「そんな熱線と言う遠距離武器が装備されているんなら、わざわざ近づかなくともよかったんじゃない?」もっともな疑問を述べる小町。

『動作試験も兼ねているから。熱線で遠距離攻撃だけだとそれだけで怪異処理の大半が終わっちゃうので、試験できないのですよ、姉様』


 戦車がしゃべった。


 その口調と声色は、小町の妹である向日葵、年齢は小学生、見た目は妖艶な美女で、ニンジャ、11歳であり、つまりはこれは迷宮の外から遠隔操作ができるようにしたニンポウ小型鏖殺戦車というニンジュツなのである、見事なオテマエ。





「うわあ、戦車がしゃべったー」棒読みで驚きをあらわにする淫魔。


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