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もういない子だれだ  作者: 相生


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14-6

その日の夕方、健一は一人で母校を訪れた。都立桜丘高等学校の正門前に立ち、懐かしい校舎を見上げた。

門番の老人が声をかけてきた。


「卒業生の方ですか?」

「はい、20年以上前に卒業しました」

「そうですか。最近、卒業生の方がよく訪れるんですよ。思い出の場所ですからね」


健一は校庭に入り、図書室のある建物に向かった。窓から見える図書室には、現在の生徒たちが勉強している姿が見えた。

あの席で、優子と一緒に本を読んだ。SF小説について語り合った。彼女の笑顔、声、仕草。全てが鮮明に蘇ってくる。


「優子、雄介、美香、誠、絵里…」

健一は静かに名前を呼んだ。

「君たちとの約束、守ってるよ。人生を大切に生きてる。たくさん笑って、たくさん愛して、たくさん幸せになってる」

風が吹いて、桜の葉が舞った。季節は秋だったが、健一には春の桜の花びらが見えるような気がした。

「そして、素敵な人に出会った。君たちが教えてくれた愛を、今度は俺が誰かに伝える番だ」

健一は校舎に向かって深くお辞儀をした。


「ありがとう。本当にありがとう」

帰り道、健一のスマートフォンに瑞希からメッセージが届いた。

『お疲れ様です。今度の週末、一緒に美術館に行きませんか?新しい展示があるそうです。』

健一は微笑んで返信した。

『ぜひ行こう。美しいものを見ると、大切な友人のことを思い出す。君にも話したいんだ。』

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