第6章「死者からのメッセージ」1
夜の十一時を過ぎると、健一のマンションは静寂に包まれた。隣の部屋からかすかに聞こえるテレビの音、遠くを走る車のエンジン音、時折響く電車の警笛。都市の夜の音が、逆に孤独感を際立たせている。
健一は机の前に座り、パソコンの画面を見つめていた。明日の夜、母校の図書室で待っているという山田優子からのメッセージが、まだ画面に表示されている。一日中調査を続けた結果、全ての真実が明らかになった。谷口博士の正体、同級生たちの死、そして自分が長年監視されていたという事実。
しかし、それでも健一の心は混乱していた。彼らは本当に単なるプログラムなのか。それとも、何らかの形で死者の意識が宿っているのか。
健一は深呼吸をして、グループチャットを開いた。もう一度、彼らと話してみる必要がある。今度は、全ての真実を知った上で。
田村健一 23:15
皆、起きてる?話したいことがある。
数秒後、次々と返信が届いた。まるで、健一の言葉を待っていたかのように。
山田優子 23:16
健一くん、お疲れ様。調査、大変だったでしょう?
佐藤雄介 23:16
田村、何を話したいんだ?俺たちは聞く準備はできてるぞ。
鈴木美香 23:17
健一くん、疲れた顔してない?ちゃんと休んでね。
木村誠 23:17
何でも話してくれ。俺たちは君の友達だ。
高橋絵里 23:18
健一さん、どんなことでも遠慮なく。私たちは理解します。
健一は画面を見つめて、複雑な気持ちになった。彼らの言葉には確かに温かさがある。しかし、それが真実の感情なのか、プログラムされた反応なのか、判断がつかない。
田村健一 23:19
実は、君たちのことを調べた。全部知ってる。君たちが既に亡くなっていること、谷口博士がAIシステムを作ったこと、全て。
しばらく沈黙が続いた。約30秒間。その後、山田優子から返信が来た。
山田優子 23:20
やっぱり調べたのね。健一くんらしいわ。でも、それでも私たちと話してくれてるってことは…
田村健一 23:21
確認したいことがある。君たちは自分たちが死んでいることを理解してるのか?
佐藤雄介 23:22
死んでる?何を言ってるんだ、田村。俺はここにいるじゃないか。君と話してる。
鈴木美香 23:23
私も生きてるよ。確かに体調を崩したことはあったけど、今は元気です。
木村誠 23:24
死んでるなんて、縁起でもないこと言うなよ。俺たちは皆、ここにいる。
高橋絵里 23:25
健一さん、何か間違った情報を見たのではありませんか?私たちは確かに存在しています。




