ゾロダロン商会会長の老後
ロンダール南東地区が生まれ変わった。そんな話が街中で話題になっていたころ、ゾロダロン商会会長は、王都から離れ農業盛んな町にいた。
ロンダール南東地区完成3日前。
「将来は争いもない、のんびりとした田舎町で暮らしたいよね。」
高級店ムラシキのシルカと毎日話していた時にシルカの夢として聴いていた話に、会長も同意していた。
もともとゾロダロン商会を立ち上げ、仲間と共に田舎町からこの王都一番の商会として大きくするだけの手腕をふるっていたが、ここ最近思う様にいかなくなってきたのだ。
問題は、部下のゾロダロン商会の名前を使った犯罪行為などなど、会長の知らないところで問題が起こっているのだ。
ミランダレ商会が勢いがあるのは喜ばしいことだが、部下の裏切り行為に会長自身、問題視しているのだ。
「もう引退の時期なのかな、のんびり田舎で過ごすのも悪くないな。明日から来れなくなる。今までありがとう。」
ゾロダロン商会会長は、清々しい笑顔でシルカに別れを告げた。
翌日。ゾロダロン商会会長は辞任し、用意していた馬車で、生まれ育った田舎町に旅立った。
部下の誰もいない人間になったのだ。結婚しておらず、子供もいない独り身の60代男性だ。
「変わり無さそうだな。」
実家は町の中では一番の大きな家だが、使用人もいない家だ。王都で過ごしていても、実家だけは親のために町一番の大きな家をプレゼントしていた。その両親も高齢で亡くなっている。
町の人達に挨拶をして、懐かしい人も高齢になり若い人が活気良く農業を行っている。
町の面積の8割は畑になっており、森に囲まれた町だ。
強い魔物も少なく、若くして引退した冒険者が多くいる町で安心して生活出来るのだ。
「まずは食事か。料理でも初めてみようかな。」
ゾロダロン商会元会長の日常が始まった。
☆
「もうゾロダロン商会はお仕舞いだ。」
ゾロダロン商会の各地の幹部達は、会議の場で結論付ける。
創業当時の元会長の仲間達は全員て退職している。
王都はミランダレ商会に客を8割ほど取られ、なぜかゾロダロン商会直営の店長達が全てミランダレ商会の傘下に入ってしまったのだ。
それはロンダール南東地区で働いていた人達が全てミランダレ商会の店舗しか使わないし、ゾロダロン商会系列の店舗の評判を下げる情報工作を行った結果だ。
「ゾロダロン商会とは名ばかりで、もはや傘下の店なんて無くなってしまった。俺は一人で再出発する。」
一人の幹部が話す。幹部達は部下もいるため地方でも充分生活出来るだけの商才はある人達の集まりだ。
「会長も引退された。ゾロダロン商会は解体で反対はありませんね。」
全幹部達は賛成だ。
「それでロンダール南東地区について、どう考えますか?」
幹部達の話題は、ロンダール南東地区に釘付けだ。
「ミランダレ商会のサンクが代表と全面に出しているが、土地はリールと言うBランクの冒険者が全て保有しているらしい。」
一人の幹部が調べた事を話出す。
他の幹部達は驚愕している。地方の幹部達は、最近の王都の変化はしらなかったのだ。
「街に入るには資格が必要なのか。魔道具料金も高く無いし、街の安全性も他の地区以上だな、これは商人として見逃せないな。」
「仕入れに地方の名産品でも良さそうだな。」
幹部達は、次の商売について思い思い話す。
どうしたらリールに近づけるか?を幹部達は考えていく。
悪事を働いた者は全てリールに処分され、いま残っているのは真面目な商人達なのをリールは知っている。サンクから今後接触してくるであろう人、そして交流しても損はしない人達の情報は貰っている。
月日は流れ。
この幹部達は、ミランダレ商会に近づき仕入れ対象として関わる事となったのだ。
こうして王都一番の商会、ゾロダロン商会は自ら解体した。
10月2日朝7時に次話投稿しています。
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