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冒険したくない冒険者〜生涯賃金を稼いだら冒険者辞めてもいいよね?〜  作者: 茄子の皮
第2章 王都編 ③貧困街改造計画
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ロンダール南東地区の貴族様1

 リールとサンクはロンダール南東地区の代表として、領地を治めている貴族ソノマン・ユートリアに呼ばれ貴族街にある屋敷へと向かっていた。


 豪華な外観に2人の門番のいる一般的な家10軒分ほどの広さがある屋敷だが、思ったよりも大きくないとリールは感じていた。土地が広く無いためしょうがないのだろう。


 サンクが門番にユートリア家の家紋のついた招待状を見せると、執事の男性に案内される。


 光沢のある石造りの廊下を歩き、階段を上り木製の黒い扉を執事は開ける。

 中には黒い動物の皮で作られた椅子に金髪の60代の男性が待っていた。壁際に武装した騎士たちが並んでいる。


 執事の男性がサンクとリールの説明を行い、ソノマンの正面のソファに座るよう促す。


「初めて私ミランダレ商会本店副店長のサンクと言います。こちらが補佐のリールと申します。」

 サンクは話し、頭を下げる。


「私はユートリア家の当主ソノマン・ユートリアだ。私が担当の王都の土地で変化があると報告を受けてな。詳しく聞かせてもらおうか。」

 ソノマンは椅子にもたれかかり話す。


「以前の土地の所有権を買い取りましたので、街の建物の建築を行っております。街で問題となっていた犯罪者や、浮浪者達の対応も終わり新しい街として発展していくでしょう。ソノマン様には土地の代表として、報告とさせて頂きます。」

 サンクは報告する。


「そうか。それは素晴らしいことだと思うが、今の土地の所有権はミランダレ商会が保有しているのか?以前はデルモンド商会だったと思ったが。」

 ソノマンは執事に目を向けて話す。


「はい。正式な書類として土地の名義変更は、行われております。ソノマン様の確認も済んでおり、所有者のリール様がお持ちだと思います。」

 執事は話す。ソノマン・ユートリアのサインと家紋が書かれた土地の権利書は、サンクに頼んで申請され受理されている。不正な取引も無く、正式な手順で行われた名義変更として。


「そうか。正直今までのゾロダロン商会のやり方は、好きではなかったのだが、税収は入るが強くゾロダロン商会に言えなかったのだ。裏の人間達が武力を持ってしまうのはいかんな。」

 ソノマンは憤慨だと言わんばかりに話す。税収で良い思いをしてきて、街の治安悪化、住民の激減、統治力不足を王様に報告せず、他の3貴族達に文句を言われていたのに無視してきた貴族は、自分には非がないとばかりに話している。

 屋敷の使用人達からの信頼も無く、お金のために働いているのだろう。


「そうですね。今後はそのような事が内容にしていきます。」

 サンクは不機嫌に話している。

 リールは内心楽しそうに見ている。ここまでろくでもない人間を見るのは、久しぶりなのだ。権力があるだけ達が悪い。


「それでは今後の税収の話に移ろうか。」

 ソノマンは執事に指示を出し紙とペンを渡す。


『今後店の売上60%を税収として納める事。土地の所有者として毎月中金貨5枚の納税を義務する。』と言った内容だ。

 ゾロダロン商会は、賄賂として渡していた内容だが、不当な内容になっている。王様に訴えれば解決できるが、王様に相談など普通は出来ない。


「これはこれは厳しい内容ですね。」

 サンクは頭を抱えながら話す。

「そう言えばご子息のマルコス・ユートリア様がおりましたな。ぜひ意見を聞かせてもらえませんか?」

 サンクはソノマンと執事を交互に見ながら話す。


 マルコス・ユートリアは、王都の統治には関わらないで、偏狭の土地の統治を任されている。偏狭の土地でも最善の統治を行い改善まではいかなくても問題を改善する努力をしているのを屋敷の使用人は知っている。

 執事の男性は、笑顔でマルコスを呼ぶように騎士に伝える。ソノマンは必死に止めるが言うことを聞かないで呼びにいく。


 サンクの思惑に気がついたのだろう。


「お父様、マルコス・ユートリア呼ばれ参りました。」

 30代の金髪の爽やかな男性が部屋に入ってきた。部屋にいた騎士たちの姿勢が伸びる程、緊張が見える。


 執事がソノマンの隣に椅子を用意し、税収の内容の紙を見せる。


「これは本気ですか?」

 マルコスは残念そうにソノマンを見る。

 ソノマンは無言でマルコスを見る。


「もう終わりですね。執事やメイド達から相談されておりました。お父様の統治能力が衰えて来たと、王都の我が土地通称貧困街などと言われていると。私が王都を離れ15年。なぜこんな事になっているのですか!先月15年ぶりにみた土地なぞ護衛無しには入れないほど荒れていました。」

 マルコスは涙ながらに話す。父の行いがかつて人々が笑い合っていた土地はもう、無くなっていたのだ。


「お父様。もう終わりにしましょう。老後の生活の面倒は最低限見ます。不自由の無い生活は、約束します。領地の運営から手を引いてください。」

 マルコスはソノマンを見つめる。


 ソノマンは黙って頷く。これ以上何を言っても無駄だと悟ったのだ。最悪殺される覚悟をしないといけなくなる。マルコスは自分の息子だけあり、出世欲がずば抜けているが、実力が伴わない人間だと知っている。


 パン!

「よし!それでは当主交代の書類を用意しよう!」

 マルコスは手を鳴らし執事達に指示を出す。執事達はあらかじめ用意していた書類をマルコスの前に置く。


 ソノマンは黙って流れ作業のように記入していく。そのなかに小金貨10枚を持たせ遠くの田舎の村へ移り住む契約書もあったが、内容を見せないで全ての書類に急かしながら書かせている。


「それではお父様お疲れ様でした。」

 ソノマンはマルコスに退場させられた。







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