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冒険したくない冒険者〜生涯賃金を稼いだら冒険者辞めてもいいよね?〜  作者: 茄子の皮
第2章 王都編 ③貧困街改造計画
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自由になったデルモンド

 デルモンドは王都の門を出た。


 時刻午後7時。


 リールから受け取ったマジックバックに服や食べ物など大量に入っている。銀貨もあり不自由ない生活が出来るだろう。


「奴隷とは思えない対応だな。俺が特別ではなく、リールが特別なんだろうな。」

 デルモンドは犯罪奴隷とは思えない待遇をリールに与えられている。奴隷なんて一般市民以下が当たり前なのだが、今のデルモンドは、辺鄙な街なら裕福とさえ思える待遇なのだ。


 ツクネトの街に向かってデルモンドは走る。身体強化してガンガン進んでいく。


「何が最高かってもう怯える必要が無いことだな!」

 デルモンドに罪を擦り付けた商人から刺客として高ランクの冒険や、賞金稼ぎの実力者が狙ってきたのだ。

 全員返り討ちにしてきたが、懸賞金が0になったら狙われる心配が減ってくるのだ。

 もともと世間一般的な犯罪行為は全くしていないため、デルモンドの価値観はまともなのだ。


 そんなデルモンドを慕って部下達は、ツクネトの街を拠点に集まっている。


 デルモンドは意味もなく飛び跳ね、大きな笑い声を上げながらツクネトへと向かっていた。

「俺達を嵌めやがった商人どもを潰すための準備は出来た!リールは、野心がないが力と理解がある奴だ。最悪リールと揉めれば一発で潰すだろうな。」

 デルモンドは心の中で思っている。実際リールは、安全の為なら余裕で潰すことも出来るだろう。

 リールの力はもちろん、ミランダレ商会の力が合わさればそこらの貴族以上の影響力があるのだ。資金力では上位の貴族ですら敵わないだろう。


 デルモンドは走り続ける。

 草原を走り、森をぬけ、山を飛び、崖を下る。

 道とは言えない道を進んでいく。


 夕日も落ちかけ、薄暗い森をぬけていく。


 走っていると一台の馬車が見えた。

 外装は、商人にしては細かい細工がされた模様が施され、周りを警備している男達6人は、立派な統一された装備でかためられている。

 馬車は進みが遅く、舗装とは言えない道を進んでいた。



 デルモンドは無視して走り過ぎ様かと思ったが、気分が良かったため、走る速さを抑えた。


「何者だ!」

 警備の男達が声を上げた。

 デルモンドがすぐそばに近づかないと気付けない程の強さだ。


「ただの旅人だ。悪い奴らには見えないからな。ちょっと聞きたい事があってな。」

 デルモンドは左手の奴隷紋を見せないように近づく。刀や防具も着けない旅人何て普通はいないが。


「何だ!要件を言え!」

 男は警戒しながら叫ぶ。護衛達に緊張がはしる。


「中の人が誰かは知らないが、大丈夫か?おそらく10人以上に囲まれているぞ?」

 デルモンドは当たり前の様に話す。


「嘘をつくな!俺達のサーチは完璧だ!近く100メートルには魔物もいない!」

 男達は探索魔法を使って周囲を警戒している。もっともデルモンドが目の前に来るまで気付けないほどだが。


「なら良いさ。邪魔したな。」

 デルモンドは走ろうと足に力を入れる。


「お待ちください。デルモンドさん。」

 馬車の中から身なりの良い青年が声をかける。中の護衛対象を守る為に、中で待機しているのだろう。


「俺の事を知っているのか?余計な事を言わないでもらおうか。」

 デルモンドは男を睨む。


「もちろん知ってますよ。噂と簡単な情報程度ですが、強い事はわかってます。なぜあなたが忠告してくれたのか不思議ですが、善意は受け取りました。」

「12人に囲まれてますね?」

 青年は話す。


「いや。14人だろうな。後ろの2人は離れて様子を見ているのだろう。」

 デルモンドは探索魔法を使えない。たまたま見かけただけなのだ。相手が気配に気付かないだけで確認済みだ。


「そうですか。困りましたね。正直外の護衛は強くありませんので最悪殺されてしまいます。私も逃げる訳にもいきませんし。」

 青年は考える。


「簡単だろ?」

「お前ら!居るのはわかってる!出てこないならすぐに潰すぞ!」

 デルモンドが大声で叫ぶ。


「ちょっと!」

 青年が慌てて声をあげる。



「お!来たぞ!」

 デルモンドが嬉しそうに辺りを見る。


 馬車に向かって火のついた矢が飛んで来ている。


 デルモンドは矢を素手でつかみ火を消す。護衛の男達は剣で矢を叩き落とす。


「中の奴らは殺すなよ!他の奴らは皆殺しだ!」

 盗賊のリーダーの男は、声を張り上げる。どこからか盗んだであろう防具と短剣を身につけている。


「あれは俺が貰う!」

 デルモンドは全速力でリーダーの男に突撃する。


「ぐふぉ!」

 リーダーの男は、デルモンドの肘鉄を腹にくらう。

 防具はぼろぼろに砕け、男は動かなくなった。


「準備運動にもならねぇのか!」

 デルモンドは激昂した。せっかく戦えるチャンスなのに相手が弱すぎた。いやデルモンドが強すぎるのだ。

 犯罪奴隷なのに100%の力を使わせるリールがおかしいのだ。縛りが無いって恐ろしい。


 護衛達は盗賊相手に善戦している。相手の盗賊は冒険者ならCランクほどだから弱くはない。


「せっかくの戦闘が。こんな張り合いもない奴らが。」などと、ぶつぶつ言いながらデルモンドは盗賊達を気絶させていく。


 全ての盗賊達を気絶させ、縄でまとめていく。


「ありがとうございます。」

 青年はデルモンドにお礼を言う。


「怪我が無くて良かったな。」

 デルモンドは答える。


「主がお礼を言いたいそうだ」


「いやいい。これは貰っていくぞ。」

 デルモンドは盗賊達を抱える。


「そうか。イメージよりも良い人なんだな。捕まるのが惜しい人だな。」


「大丈夫だ。心配いらない。気にするな。」

 デルモンドは左手の奴隷紋を見せて、走り出す。


「そうか。犯罪奴隷になったのか。悪い契約者じゃなさそうだな。」

 青年は馬車に戻り護衛任務を続ける。




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