犯罪奴隷 デルモンド3
翌日午前8時。
リール、ユリカ、ユキの3人はロンダール南東地区にいた。
ミウロは冒険者として依頼を行うらしい。
「リールさん。昨日の兄ちゃんまだ来てないみたいだよ」
棟梁のドグラが話掛けてくる。
来たらドグラに挨拶する予定だが来ていないらしい、
「そうか。泊まってるホテルに行って見るよ」
リール達3人はホテルへ向かう。
ホテルの部屋に誰もいなかった。ホテルの職員も見た人はいないらしい。
「帰って来てないのか」
リールは呟く。
「ねぇ。大丈夫なの?」
ユキが心配そうに聞いてくる。
「さぁ?大丈夫でしょ。」
リールは無責任に答える。デルモンドを信用してはいないが、約束を破るほどではないだろうと思っている。
「何か事情があるかもしれないだろ?途中で盗賊にでも襲われたり、仲間に反逆されたりしてるかもしれないからな。気長に待つか、その街に行くかのどちらかだな。」
「そうね。連絡する手段が無いわね。通信の魔道具を買ったほうが良さそうね。」
ユキの実家なら通信の魔道具があるらしい。対になった魔道具で声を相手に送る事が出来るのだ。会話が出来るほど性能は、良くないらしい。
「そうだな。魔道具は後で購入するとして、デルモンドをどうしようか。ツクネトって近くの街に行ったみたいだからな。馬で3時間なら走れば30分くらいだろ?」
「え!走るの!」
ユキは嫌そうな顔で見ている。
ユリカは気にせず話を聞いている。
「急ぎたいから風魔法を使って一気に行くか。」
修行でもないなら、疲れる事はしたくない。
リール達は王都を出て、ツクネトの街へ向かう。
ツクネトは人口1000人ほどの街で、王都へ向かう人達の休憩場所として発展している。ホテルなどの宿泊施設が多い街だ。
リール達3人は、リールの風魔法に乗って向かっている。
土魔法で土の床を作り、床の上に座って風魔法で進んでいる。馬の10倍以上の速さで進んでいるが、遥か上空を進んでいるため、誰ともすれ違う事はない。風圧は風魔法で分散させているため、ほぼ感じる事はない。飛んだ瞬間3人とも風で飛ばされ、地面にダイブする失敗をしているのだ。
「これは楽ね!」
ユキが嬉しそうに景色を見ている。山だろうが、川だろうが、岩場だろうが、関係なく進んでいる。馬では通る事が出来ない場所でも、迂回することなく直進していけるのだ。
「そうだな。楽だが長い時間は難しいな。」
「そうなの?無理しないでね?」
ユキは心配そうに話す。
「6時間程しか持たないだろうな。」
「充分でしょ!アストロまで日帰り旅行出来るわよ!」
「本気になれば12時間は行けるが、余裕を持って6時間だな。何かあったら危険だからな。」
リールは自分の魔力の減り具合を感じているが正しい感覚とは言えないのだ。魔力効率が悪いが魔力量が膨大の為、力技でごり押ししている。
「今さら何言っても無駄よね。ひとまずツクネトの街にはすぐにでも着きそうね。今どの辺?」
「あれだろうな。」
リールは指を指して答える。草原の中に街の周りが石壁になった街ツクネトが見えている。
街から離れた場所で、近くに人がいないのを確認してから地面に土の床を音もなく落とす。
街まで5分程歩き門へ向かう。
「お前達はその服装で来たのか?」
門番の男性は不安そうに聞いてくる。
リール達は、防具も武器も装備しないで、普段着にマジックバックだけの格好できたのだ。
外には魔物もいるのに、村人のような旅人が来たため驚いている。
「そうだ。問題は無かったからな。それよりも左手に奴隷紋のある茶髪の髭の男を知らないか?」
リールはデルモンドの外見を門番に聞く。
「は!お前デルモンドと何か関係あるのか!」
門番は語気を強めて話す。
「デルモンドの契約者ですけど、何かしましたか?」
「何!お前がか!ちょっと待ってろ!」
やり取りを聞いていた他の門番が、4人の衛兵を連れて戻って来た。
「あなたがデルモンドの契約者ですか?」
衛兵4人の中で一番年配の男性が話掛けてくる。
「そうですけど、何かしましたか?」
「奴隷紋は確認したのですが、デルモンドが捕まったとの報告がありませんので対応に困ってまして。しかもあのデルモンドが奴隷になって街に来たなんて事件としか言えません!」
この街にデルモンドに勝てる人はおそらく居ないだろう。デルモンドが暴れたら誰も捕まえる事は出来ないのだ。
「皆さん何も言わないで付いて来て下さい。」
リール達は衛兵の後を付いていく。
厳重に警備されている建物の中に連れられていく。中は牢獄になっていた。
「こちらです。」
衛兵の男は一つの牢屋の前で立ち止まる。
「お前何やってんの?」
リールは呆れたように中にいた男に話し掛ける。
中にはデルモンドと気絶した10人以上の男達がいた。
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