第三十七話
リリアはバラバラになった日記を、日付が書かれているページ、日付のないページ、押し花だけが貼り付けられたページ、ラフスケッチが描かれているページに分けて、一枚一枚ベッドの上に並べていった。
「綺麗……」
リリアは何枚かのラフスケッチに心を奪われた。
ラフスケッチのモデルは、全て同じ女性なのだろうか。
微笑んでいる姿や花で作った冠を頭にのせている姿、本を読んでいる姿や、眠っている姿……。
どの絵も細部まで丁寧に描き込まれていて、今にも動き出しそうだ。
ラフスケッチの女性には、全て背中に白くて大きな翼が描かれていた。
「天使なのかな……」
リリアはベッドの上で仰向けになり、ラフスケッチをかざしながら、絵の中の女性の姿を想像していた。
『ウォォー……、ン……』
ふと、窓の外から何かの音が聞こえた。
リリアは体を起こして窓の外を見た。
暗がりに猛吹雪で何も見えなかったが、確かに風の音に混じって、何かが聞こえる。
『オォォ……』
リリアは日記をナイトテーブルの引き出しの中に仕舞い込み、もう一度、窓の外の音に耳を澄ました。
『オォ……、ン……』
「……何だか悲しい音」
リリアは目を閉じ、窓ガラスに耳を当てて、しばらくその音を聞いていた。
音はだんだん小さくなっていき、やがて吹雪の音に掻き消されてしまった。
すっかり体が冷えてしまったリリアは、部屋の明かりを消して、ベッドに潜り込んだ。




