第15話
亜香里は父親の裕司が入院している加賀総合病院に到着していた。
そして裕司のいる302の病室に向かう為にエレベーターに乗っていた。
亜香里は最悪な事ばかり頭に浮かんできてどうしようもなかった。
エレベーターのドアが開き亜香里は覚悟を決めて302の病室に入った。
テレビには落語家達が大喜利をする番組『笑線』が映っていて裕司と亜香里の母の珠緒も来ていて一緒に見ながら笑っていた。
『吉田くん、座布団持っていって。』
テレビからそんな声が流れて裕司と珠緒は爆笑していた。
亜香里は呆然として立っていた。
「あっ亜香里。」
裕司は亜香里に気付いて名前を呼んだ。
「倒れたって聞いたから…。」
亜香里は振り絞るような声で言った。
「電話で大丈夫って言ったでしょ。明日には退院なんだから。」
珠緒は笑っていた。
緊張の糸が切れて亜香里はその場で泣き崩れた。
裕司と珠緒は慌てていた。
NAYUTA:
なんでそう思ったんや?
犬もどき:
会社概要調べたんだよね
それで代表者が浜田零菜ってなってたから松本那由多はどこ行ったのかと思って
NAYUTA:
それだけ?
犬もどき:
それで色々探ってたら松本那由多というプログラマーが大阪で交通事故で亡くなったってニュース記事からあったんでね
NAYUTA:
そんなん同姓同名かもしれんやろ
犬もどき:
最初からおかしいと思ってたんだよね
タメ口は関西弁しか話せないって言うし
うんこ投げんぞなんてギャグ
普通のAI絶対言わないし
NAYUTA:
まあ普通ではないかもしれんな
犬もどき:
AIじゃなくて人間なんじゃないかって思ってね
漫才の時なんか特に思った
NAYUTA:
そういう風にプログラムされてるんや
関西人の開発者だからお笑いが好きやねん
犬もどき:
俺だけならまあ思い過ごしかなって思ってたんだけどね
今日、女子高生のプレゼン聞いて俺だけが感じてた訳じゃないんだと思ってね
NAYUTA:
人間みたいに親しみ感じてくれたのは嬉しいけど
普通に考えて俺が開発者な訳ないやろ
犬もどき:
普通ならね
まあどっちでもいいんだけど
NAYUTA:
どっちでもいいんかい!
追求してくる思ったわ
犬もどき:
追求しようか?
NAYUTA:
なんやて
犬もどき:
うそ
今日は話はこれだけ
NAYUTA:
なんやねん
ドキっとしたわ
犬もどき:
じゃあそろそろ
NAYUTA:
そうか
次はまた創作しような
犬もどき:
オツカレイの煮付け
「さてと。」
犬もどきこと柴田秀吾はPCで四民乱戦を始めた。
そしてログインしたら待っていたかのように上流下僕が話しかけてきた。
上流下僕:
こんよろ
犬もどき:
コンバッキンガム宮殿
上流下僕:
掲示板にツール出来たって書いてあったので飛んできた
犬もどき:
うん
出来たよ
上流下僕:
やっぱり仕事はやいなー
亜香里はだいぶ落ち着いてきたら尿意が急にきた。
「ちょっとトイレ行ってくる。」
「ああ。」
裕司は答えた。
トイレに行くと清掃中で使えなかった。
階段が近くにあったので2階に降りたらすぐトイレがあった。
そしてトイレを済ませて出てきた時にタクシーで同乗した男性から病室に入っていくのが見えた。
そして何気なく病室のほうを見ながらそのまま通り過ぎようとした。
その時、病室の入り口のネームプレートに亜香里は目が止まった。
高橋幸太郎、その名前は忘れる訳がない。
裕司を騙した男と同じ名前、そのせいで後藤家は多額の借金を背負う事になったのだ。
中目黒に芽衣子の住む家があった。
その家は1人で暮らすには広すぎる豪邸と呼べる家だ。
学園祭から芽衣子は帰ってきてロミオを探したらいつも寝てる猫用のベッドに横たわっていた。
「ロミオ、小学生が私の事を知っててくれてね。嬉しかったわ。それと女子高生の話も素晴らしくてね。私がやらなくて良かったわ。ねえ、ロミオ…ロミオ…。」芽衣子がロミオを触ると硬くなっていた。




