第3話「優しさに媚びる」
レオン、ミレイと3人でギルド街に到着した翌朝。
宿の食堂で朝食中、ミレイが依頼書を広げる。
「この街に聖女ルナがいるらしい。回復特化の転生者」
「パーティに回復役がいないとキツイからな」
レオンが頷く。
(聖女タイプか。媚びやすそうだな)
優しい人間は、「感謝される」のが好き。
そこを突けば即落ちる。
ギルド前広場で、ルナを見つけた。
薄金髪の少女。白いローブ。20歳前後。
怪我した冒険者を無料で治療中。
周囲に自然と人が集まってる。
「大丈夫ですよ、もう少し安静に…」
柔らかい笑顔。癒し系そのもの。
(完璧なターゲット)
戦闘力ゼロでも、「パーティの精神安定剤」になれる。
治療が一段落した隙に近づく。
「ルナさんですよね?さっきの治療、見事でした」
控えめに称賛。押し付けがましくない距離。
ルナが少し驚いた顔で振り返る。
「え?私のこと知ってるんですか?」
「評判を聞いてて。街の冒険者みんな感謝してますよ」
**「みんな」の名の下に褒める。個人攻撃じゃない。
ルナが照れ笑い。
「そんな大したこと…ただ治してるだけです」
(来た。自己評価低いタイプ)
こういう人間は、「気づかせて」あげれば信頼する。
「でも、さっきの骨折治療。あの速度は普通の僧侶じゃ無理です」
具体的に褒める。技術面を押さえる。
「転生者なんですか?」
ルナが逆に聞いてくる。
「はい。職業選択で時間切れして、人間です」
いつもの弱み出し。
「ええ!?それでよく生き残って…!」
ルナの目が心配そうに。完璧な反応。
「レオンさんとミレイさんが守ってくれてます。
でも回復役がいないんで、いつもヒヤヒヤしてて…」
「守られてる俺」+「不安を共有」。
優しい人間は「助けたい」心理を刺激される。
ルナが少し考えてから言う。
「よかったら、私もお手伝いします!」
即決。
レオンとミレイが後ろでニヤニヤしてる。
「本当ですか!?光栄です!」
深くお辞儀。感謝を大げさに。
ミレイが横から一言。
「ルナは優しすぎるから、ちゃんと見張っててね」
ルナが慌てて手を振る。
「そんな!みんなで助け合えばいいんです!」
その日の依頼はゴブリン中規模討伐。
戦闘中、俺は後方で観察。
レオンの突進、ミレイの範囲魔法、ルナの即時回復。
完璧な連携。
ゴブリン群れが予想外に増えた瞬間、
「ルナさん!レオンさんを優先で!」
的確な指示。ルナが即応。
戦闘終了。初勝利。
夜、宿屋の食堂。
ルナが上機嫌で料理を振る舞う。
「これからもよろしくお願いしますね!」
レオンが酒を飲みながら言う。
「お前がルナ引き込んだおかげだな。戦闘力が段違いだ」
「運が良かっただけですよ」
謙遜しつつ、全員に視線を配る。
(パーティ4人完成)
俺の役割は明確。
戦わない。観察して指示を出す。媚びて繋ぐ。
ルナが笑顔で言う。
「あなた、戦えないのに一番大変そうです…!」
その一言で、確信した。
優しさに媚びれば、必ず味方になる。




