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【完結】悪役令息の従者に転職しました  作者:   *  ゆるゆ


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抱っこして




「……ん……」


 ぽやぽや、目が覚める。


 修繕の進む農家の倉庫にしつらえた、ふかふかのベッドで、ふかふかの布団に包まれて眠っていることにまだ慣れなくてびっくりした透夜は、腕のなかにロロァがいることに、もっと、びっくりした。


「……わがきみ……?」


 寝るときは、確かひとりだったはずだ。


 儚くなったことにされているとはいえ、セオを襲いに来る暗殺者がいるかもしれない。

 よい子の隠密団は交代で、夜も見張りに立っている。もちろん透夜も。


 昨夜は明け方まで見張りに立って、起きてくれた空と交代したはずだ。

 ロロァを起こしてはいけないと、ひとりでベッドに入った。──と思うのだけれど。

 腕のなかでロロァが、やすらかな寝息をたてて眠っている。


 あまりの愛らしさに、顔が溶けた。


 起こさないように抱きなおし、包みこむように抱きしめる。


「ロロァさま」


 そっと、おでこに口づけた。

 それだけで、顔が燃える。


 体中から汗が吹きだしそうで、こんなの絶対スパダリじゃないと思うのに。

 うろたえて、情けなくて、照れくさくて、はずかしい、走る鼓動も、熱い頬も、ぜんぶ『あいしてる』だから。


 きっとロロァは、赤い頬で笑ってゆるしてくれるから。



「だいすきです」



 燃える頬でささやいて、抱きしめる。



 ふわふわの髪が、頬をくすぐる。

 ロロァの幼くあまい、とろけるような香りを包みこむ。



 皆が起きるまで、もうちょっと、このままで。



 あなたを、抱きしめさせてください。











 透夜が、いそがしい。

 ロロァは、ぷくりと頬をふくらませる。


 大変なのは、わかってる。


 セオとじぃじ、魔道具に繋がれていた魔導士の皆だけじゃない、洗脳されていて戻る場所のない闇衣の皆まで引き取ることになったから、皆の療養場所の確保と治療計画のための倉庫の増築や、いっぱい人が増えたので折角なので『よい子の冒険団』創設のこと、バギォ帝国の暗部告発とセオとミィを暗殺から守り抜いたことに対するバギォ帝国とエゥリケ王国から支払われた莫大な報酬の受け取りとか、借金はもちろんさくっと完済したよ! とかくるくる働いていて、ちっともロロァを構ってくれない。


 がんばって治癒魔法を使っているのに『なでなで』も、求めないとしてくれないなんて──!


 せめて一緒に眠ろうとしたのに、夜中も見張りに立っているなんて──!


 あんまりだと思う。



 ぷっくり、ふくれたロロァは、ふくらませたほっぺをつねって眠いまぶたを押しあげて、見張りを終えて轟沈するように眠った透夜の寝台にもぐりこんだ。


 ……あったかい。

 透夜の、涼やかなのにほんのりあまい、とろけるようないい匂いがする。


 もぞもぞ透夜の胸に顔をうずめたら


「……ん……」


 抱き枕と勘違いしたのか、抱っこしてくれた。



 ふわふわ熱い頬で、ロロァは笑う。


「とーや」


 いそがしくても、大変でも、ちょこっとでも傍にいたい。



 髪をなでて、抱きしめて


『だいすき』


 笑ってほしい。




 皆が大すきな透夜を、ひとりじめするのは、あきらめるけれど。



 いい子でいるから、ちゃんと、なでて、笑って、抱きしめて、かわいがってね。



 してくれないと、お布団にもぐりこんで、抱っこしちゃうんだから。



 きゅう









ずっと読んでくださって、ほんとうに、ありがとうございます!


他のお話も読んでくださった方には、重複のお知らせとなってしまい、誠に申しわけないのですが、活動報告にもお書きした『もふもふ獣人に転生したら、最愛の推しに溺愛されています』というお話が、選んでくださった編集部の皆さま、ご尽力を賜った編集者さま、皆さまの応援のおかげで、本にしていただけることになりました! イラストは、サマミヤアカザさまです!


web版3人称から書籍1人称になり、骨折した肩で(笑)ほぼ全文を書き直し、新しいエピソードがたくさん入って376Pで、web版は5月17日まで無料です!


プロフのウェブサイトのHPから飛べるので、もしよかったら!


無料のうちにweb版を楽しんでくださったら、とてもうれしいです。


応援してくださった皆さまのおかげで、本にしていただけることを、とても、とてもしあわせに思います。

心から、ありがとうございます!


透夜とロロァのことを可愛がってくださって、ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございました!


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