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天上戦隊シェンレンジャー  作者: LÉO LIMA


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エピソード5:ロンウェイとフェイフォン①昔の番組が未来を変える!?

夕陽が砂漠を赤く染める中、フェイフォンのバイクは砂丘を駆け上がる。気温が急激に下がり始めた。


「ねえフェイフォン、いつまで走るの?」


「あと少し。この方向に水場があるはず」


「え? どうしてわかるの?」


「あの遠くを飛んでる薄灰色の鳥、見える?あれは巴勒斯坦鴿(バーラスィータンガー)っていうの。

砂漠で水を見つける能力がある鳥よ。

あいつらの向かう方について行けば、そのうち夜を過ごせる水場にたどり着けるわ」


「わあ! こんなにいろいろ知ってるんだね」


――――


20分後、フェイフォンが単眼鏡で水平線を確認する。


「ほら言った通りでしょ。これ、見てみな」


「何これ?」


「単眼鏡よ。遠くが見える道具。もう片方の目はつぶって使って」


ロンウェイは走行中のバイクの後ろから立ち上がり、単眼鏡をのぞき込む。遠くには池が見え、そのまわりにヤシの木や岩が並んでいる。


「うわぁ…この『たんがんきょう』、すごい!」


「あなた、池より単眼鏡に感動しすぎよ…」


――――


5分後――

小さなオアシスに到着。巴勒斯坦鴿(バーラスィータンガー)が岩陰に逃げる。直径4mの澄んだ池を前に、ロンウェイが両手で水をすくって飲む。


「あー、やっと水浴びできる!」


「水、冷たいよ、フェイフォン」


「そういえば、最後に風呂入ったのいつ?」


「んー、シュエジューを出てからだから……」


「つまり6日間! さっさと服脱いで池に入りなさい。あと8日も臭い子と旅するなんて無理だわ」


ロンウェイは服を脱ぎ、池に飛び込む。フェイフォンはバッグから石鹸とシャンプーを取り出し、投げ渡す。


「せめてこれの使い方くらい知ってるでしょうね?」


ロンウェイはむっとした顔で振り返る。


「山育ちだからってバカにしないでよ! 石鹸も風呂も知ってるんだから!」


ドボン! 深く潜った後、浮上するロンウェイ。一方フェイフォンは地面に布を敷いて座る。


「フェイフォンは入らないの?」


「あんたと一緒? ありえないでしょ」


「え? なんで?」


「男の子と女の子でしょ」


「それがどうしたの?さっきもう見たじゃない」


「はぁ……それでバカだと思われたくないとか、よく言えるわね」


ロンウェイはさらに不機嫌そうに、池の中央へ移動する。


「……おじいさんと二人きりだったの? 他に知り合いはいないの?」


「うん。どうして?」


「じゃあ、女の子は初めて見たの?」


「からかうつもりなら、もう返事しない」


ロンウェイはふてくされながら、さらに離れて水浴びを続ける。フェイフォンは黙って考え込む。


『…今までの行動は本当に子供そのもの。無邪気すぎるくらい。

あたしに対して下心もないし、服を脱ぐのも躊躇わなかった…見た感じ、まだ思春期にも入ってないみたい。

そもそも竜人(ロンレン)に陰毛は生えるんだろうか?』


『それに…竜人(ロンレン)が人間の女性に『興味』を持つのかもわからない。

8日間の旅だし、トイレや水浴びの問題もある…ま、こいつが本当に【無害】なら楽でいいけど……。

もし変なことしたら、蹴り飛ばせばいいだけね』


フェイフォンは覚悟を決めて服を脱ぎ、ロンウェイに近づいて水に入る。彼はそれに気づいて振り返るが、まだ皮肉っぽい調子で話しかける。


「結局、体が違うからってだけ?」


「そうよ。あんた、あたしの体に『惹かれる』?」


「『ひかれる』? 磁石みたいに?」


フェイフォンは吹き出し、ロンウェイはまた不機嫌に背を向ける。フェイフォンは苦笑しながら、シャンプーを手に取ってロンウェイの頭にかけ始める。


「あんたの祖父も竜人(ロンレン)だったの?」


「いや、人間だよ。僕は半竜人(バンロンレン)。母さんが人間で、父さんが竜人(ロンレン)なんだ」


「へぇ〜、なるほどね。最初見たとき『ちょっと違うな』って思ってたのよ。

竜人(ロンレン)ってもっと竜っぽい見た目だって聞いてたけど、あんたは尻尾と小さい角くらいしかないもんね。

人間と竜人(ロンレン)の間に子どもができるなんて、知らなかったわ。それで、両親は?」


「僕が赤ん坊のころに亡くなったんだ。竜人(ロンレン)の一族は、黒暗皇帝(ヘイアンホワンディー)っていう奴に襲われて滅ぼされた。父さんは一族を守るために戦って、母さんと僕を逃がしてくれたらしい」


「でも、母さんも逃げる途中で致命傷を負ったんだ。

彼女は僕を、母さんの師匠であり養父みたいな人──バイシエンに託した。

それで僕は彼を祖父って呼んでる。母さんは死ぬ前に彼に全部話したらしい。

助けようとしたけど、間に合わなかったって……」


フェイフォンはその話を聞いて、呆然とする。情報が多すぎて、頭が追いつかない。


「ちょ、ちょっと待って!黒暗皇帝(ヘイアンホワンディー)とかバイシエンとか……どういう関係なの、あんた!?」


「知ってるの?」


「そりゃ知ってるわよ!バイシエンは世界でも有名な武術家よ。

竜の拳(ロンジーチュエン)流の宗師で、天竜門(ティエンロンメン)の師範でもある。

あんたがその弟子なら、若いのにあんなに強いのも納得ね。

それに、黒暗皇帝(ヘイアンホワンディー)は今もっとも強い妖怪(ヤオグァイ)だって噂よ。

世界の北半分を支配してるって話じゃない」


「うん。だからこそ、僕はジュウラオを探してるんだ。祖父が言ってたんだよ。

彼は天の宝珠の秘密と、その力を完全に覚醒させる方法を知ってるって。

僕は仲間を集めて、悪を浄化できるヒーローチームを作りたいんだ。『天上戦隊シェンレンジャー』。

僕は黒暗皇帝(ヘイアンホワンディー)を倒して、両親が果たせなかった平和をこの世界に取り戻したいんだ」


「『天上戦隊シェンレンジャー』?それ、昔の子ども向けヒーロー番組みたいな名前じゃない?たとえば──五行戦隊竜レンジャーとか」


ロンウェイは目を輝かせて勢いよく立ち上がり、フェイフォンの方を向いた。


「知ってるの!?」


「うん、聞いたことあるわよ。でも……まさか、その物語みたいなチームを作るつもり? ちょっと……子どもっぽくない?」


ロンウェイは真剣で自信に満ちた表情で答える。


「もしそう思うなら、きっと知ってるよね。

大災厄の前、五行戦隊竜レンジャーは子どもたちの間で大人気だったんだ。

カラフルなスーツ、特別な力、決めポーズや名台詞……彼らは子どもたちに夢と希望を与えてくれた。

正義と平和のために戦う勇気、仲間を信じて共に立ち向かう大切さを教えてくれたんだ」


「今こそ、世界にその『力』が必要なんだよ、フェイフォン。

あんたが言った通り、人々は恐怖の中で生きてる。

今日を生き延びられるかも分からない。水も食料も、病気ひとつで失うかもしれない。

悪党の群れに襲われ、奪われ、殺されるかもしれない。そんな時代だからこそ──」


「人々には『本物のヒーロー』が必要なんだ。五行戦隊竜レンジャーのような、あの明るくて前向きな力をもう一度思い出させる存在が。

子どもたちが昔、テレビの前で感じたあのワクワクと希望を、大人たちが今もう一度感じられるように──そういう光を、僕は作りたい」


フェイフォンはしばらく黙り込んだ。ロンウェイの言葉を思い返しながら、その純粋な情熱に心を揺さぶられていた。


『あたし、この子がこんな世界観を持ってるなんて、思いもしなかったわ。あの純粋さと無邪気さの裏に、こんなに深い知恵が隠れているなんてね』


『ヒーロー物語はもう残ってない。大破局前の世界を研究してるような奴らくらいしかその存在を知らないだろうけど……それでも、人は一度は夢見たはずよ。

飢えや渇き、盗賊から救ってくれる、強くて優しいヒーローのことを』


『昔のヒーロー物語は、当時の人々の逃げ場だったの。悪や欲、腐敗に疲れた人たちのね。大破局の後、そうした【悪】は剥き出しになってしまった』


『ヒーローというのは、人の心に根ざす【正義】という理想の具現化よ。

ロンウェイは――本人は自覚してないかもしれないが、無意識のうちにそれを理解している。

あの子は、その理想が現実でも意味を持つことを分かっている。ロンウェイは…正しい』


「……今回は、あんた、笑わなかったね」


「ああ。あたし、あんたを甘く見てたわ。無邪気さも子供っぽさも――本当は貴重なものだったって気づかされたのよ。あんたは、多くの人がもう信じられなくなった“道”をまだ見ているんだ」


「じゃあ、僕と一緒にやってくれる? 仲間になってくれる?」


フェイフォンはためらった。ロンウェイに共感し、賛同はしている。しかし、それが自分も加わるべきことか、あるいは本当にうまくいくのかは別問題だ。


それでも、シンドゥーの人々から受けた感謝の声が、まだ彼女の胸を揺さぶっている。

あれほど多くの人のために自発的に動いたのは初めてだった――

たとえそれが偶然の産物であっても、その経験が彼女の心を動かしていた。


「……まあね。人にはそれぞれ道があるのよ、ロンウェイ。あたしの道があんたのチームに加わることかどうかは分からない。でも、何かしら力にはなれるかもしれない」


「あたしは技術考古学者よ。失われたテクノロジーを探して世界を旅し、見つけたものを修理して糧にしている。必要になりそうな品物が見つかったら、そのときはあんたたちに提供してやるわ」


ロンウェイはフェイフォンの曖昧な返事にも気にせず、にっこり笑った。


「うん、いいんだ。どんな形でも、助けてくれるなら嬉しいよ。世界はみんなの力で変わるんだし、それぞれのやり方があるからね」


「で、その『チーム』って、どうやって作るつもり?通りすがりの人に『仲間になりませんか』って聞くの?そんな都合よくいくわけないでしょ」


「うーん……僕は、他の天の宝珠の守護者を探そうと思ってるんだ。まだ四つ残ってて、どれも宝珠に選ばれた『ふさわしい人』が守ってるはずなんだ。だから、その人たちを見つけて仲間にしたいんだ」


「でも、もし宝珠が『ふさわしくない奴』の手にあるとしたら?その時どうするの?」


ロンウェイはフェイフォンをじっと見つめ、少し考え込んだ。そして、真剣な顔で言った。


「……その時は、僕が倒して宝珠を取り返すよ。そして本当にふさわしい人を見つけて託す。――しかしたら、あげてもいいかもね」


フェイフォンは思わず笑った。


「ふふっ。意外と現実的で、頭いいじゃない」


「じゃあさ、どっちがいいと思う?『天の暴れ馬の宝珠』と『天の荒猪の宝珠』、フェイフォンにはどっちが似合うかな?」


「そんな動物も属性も、五行(ウーシン)には存在しないでしょうが!!」


パーン!


フェイフォンはシャンプーの瓶を思いきりロンウェイの頭に投げつけた。

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