索敵
「…うわ、寝坊しちゃった!!う…気持ちわる…何で酒なんか飲むんだろう…。」
窓からは、もう朝日と呼べない程の日が差し込んでいる。時計を見ると、既に9時近くなっていた。
急いで身支度を整えると、車で5分ほど離れた畑に向かった。
「山の神様 龍神様 大山祇命様 いつもありがとうございます。
土さん 野菜さん いつもありがとうございます。
鳥さん 虫さん 動物さん 病気さん いつもありがとうございます。」
いつものご挨拶を終えると、今日予定していた小豆の刈取り作業を始める。週末しか畑に来れないから、晴れの日の予定をずらすわけにはいかなかった。
作業を進めながら、まだ見えぬ敵について考えを巡らせてみる。
先ずは考えられる『敵』になり得る国、団体、個人、又は神。
国…可能性があるのは隣国だろう。現在USAは、この地域を狙う程の力を、もう持ち合わせていない。
となると、中国、ロシア、韓国、北朝鮮だな。
団体…主に国内の政府機関…だよな。余り考えたくはないけど、一番現実的な『敵』だと思っている。若しくはUSAの情報局が主導する、国内団体、又は政府機関。
個人…はっきり言って、個人レベルでは無いと断言してもいいと思う。勿論、個人レベルの対立は数え切れない程あるだろうけれど、誤差の範囲だろう。
神…この可能性は…ある。神の使徒となった個人、又は団体。国までは行かないだろう。この場合は、かなり厄介な相手となりそう。術や想念に対しては防御が難しい。
ここまで考えると、実際に対峙するのは国内の政府機関、バックはUSA、又は中国の情報機関…殺すのは同じ日本人って事だな。
何とも馬鹿馬鹿しいお話だ。目の前の敵を倒せば終わりとはならないからな。
では、その仮定で考えて行こう。
USAがバックにいる場合。
日本の政府、政治家のほぼ全てと官僚。実行するのは警察、又は雇われた個人、もしかしたら暗部の様な組織があるかもしれない。
中国がバックにいる場合。
北海道の政治家、警察、企業、潜入している工作員。
こんなところか。
これは僕個人じゃ対処出来ないな。
なるほど…対抗する為には組織が必要だな。
次第に日も高くなり、気温も上がって来たので、木陰に入り休憩する。
いくつかのミニトマトを採って口にする。乾いた體に染みる様に、何かが広がるのを感じた。
「皆んな仲良く生きてくれないかなぁ…。」
こんなに美味い野菜を食べたら、幸せな気持ちになれるだろうにな…。




