瞑想
「結局、女神様のお名前はわからなかったな…。」
もちろん、聞き忘れたわけではなかった。大事なことだから、自分で受け取らなければならない、そう思ったのだ。
前世で女神様と過ごした時を、僕は思い出せていない。名前すら覚えていない。
それでも彼女は…僕を護り続けてくれている。胸が潰されそうな程に切なくなる。
以前、
「自分に掛けている制限を外しなさい。」
そう白の魔女に助言をもらったことがある。
だが、それが何のことを指しているのか…僕は皆目見当もつかなかった。
だから取り敢えず、「自分に掛けている制限を外す。」と言い続けることにした。不思議なことに、それから自分も周囲も急激に変わっていったと自覚している。
だから、女神様の言葉を拒絶しているということは考えにくかった。
ならば考えられるのは、
『自分以外の誰かが制限を掛けている』
実はこれには心当たりがある。
僕の胸には、折れた刀の切先が埋め込まれている。
これは、僕を護っているのと同時に、霊性に制限を掛けている。
「まぁ…原因はこれだよな…。」
僕はこの切先を取り除くつもりもなければ、そもそも、取り除けるものでもない。
「他の方法を探さなきゃだな…。」
まあ、なんとかなるだろう。何となくそんな気がする…。
それに、探して揃えなければならないパズルのピースは全て揃っている。
30年かけて見つけ出した自分に必要なその一つ一つを、使わなければならない時だ。
人、古神道、陰陽道、體術、そして『繋がり』
見付けてはいたものの、使い方が分からなかったピースも、今なら全て解る。
後はやるだけ。
「…後は…やるだけ…だな。」
時間の猶予など、もう無いのだから。




