終わりの、その少し前。(王太子目線)
この作品は生成AIを使用して作成しています。
王太子アルヴェルトは、無能ではない。
むしろ聡明で、冷静で、国を誰よりも愛していた。
だが――
彼は知ってしまった。
エリシアの魔力が「国家を滅ぼしうるもの」であることを。
それは単なる強大な魔力ではない。
感情と結びつき、暴走すれば周囲を“侵食する”異質な力。
そして王家には、代々伝わる“記録”があった。
かつて同じ力を持つ者が――
一夜で一国を消し去ったという記録が。
彼は最初、彼女を守ろうとした。
だが宮廷魔術師たちは進言する。
「封印するか、排除するしかありません」
そして決定的だったのは――
エリシア自身が、制御に苦しんでいる姿を見てしまったこと。
彼女は笑っていた。
だがその背後で、空間が歪んでいた。
その瞬間、王太子は理解する。
「これは……人ではない」
婚約破棄は、感情ではない。
選択だった。
国を守るか、彼女を守るか。
その選択に、父である国王は何も言わず、ただ息子の選択を待っていた。
そして彼は――国を選んだ。
だがそれは同時に、
彼女を裏切ることであり、
彼女を“怪物”と認めることをも意味していた。
彼は気づいている。
愛する彼女を地獄に落とすことになることを。
それでも彼は止まれない。
なぜなら――
「私は王族の一員として、国を護らなければならないのだ…」
あの日、アルヴェルトは一人で記録庫にいた。
埃をかぶった古文書。
王家のみが閲覧を許された禁書。
そこに記されていたのは――
“同じ力”だった。
「感情に呼応し、世界を侵食する魔」
そして最後の一文。
「これを愛した王は、国と共に滅びた」
アルヴェルトは、目を閉じた。
思い出すのは、エリシアの笑顔だ。
誰よりも気高く、誰よりも優しかった少女。
(……違う)
彼は首を振る。
(あれは――まだ、そうだっただけだ)
やがて変わる。
必ず。
記録がそう語っている。
「……俺が、止めなければならない」
声は、震えていた。
それでも彼は立ち上がる。
王になる者として。
一人の人間としてではなく。
「王とは、王族とは、人ではない。
国を守るための部品にすぎないのだ…」
婚約破棄の場で。
彼は一度も、彼女の目を見なかった。
見てしまえば、終わるからだ。
決意が。
覚悟が。
すべて崩れる。
「――婚約は、ここに破棄する」
言葉は、冷たく響いた。
その瞬間。
彼の中で、何かが死んだ。
牢獄に落とされたと聞いた夜。
アルヴェルトは、誰もいない部屋で吐いた。
震えが止まらなかった。
「……これで、よかったんだ」
何度も繰り返す。
だが答えは返ってこない。




