第15話 混浴再び。そして『アンデッド三段活用』
「うがぁーーー! といやぁーーー!」
翌朝から私は、レベルアップの影響もあって恐ろしい早さで家に水道を引く作業を進めた。
裏山の水源から、町で手に入れた大型貯水タンクに水を溜められるように配管を引く。
水道管や工具は、すべてショッピングモール内や町の専門店で手に入れている。
大型貯水タンクの設置は、『アイテムボックス』とレベルアップの恩恵ですぐに終わった。
あとはこれを家の水道管に繋いで、水漏れがないかを確認。
十年以上放置していたので心配だったが特に問題なかったので、これで家の中で水道を使えるようになった。
「水道が通ったから、これと給湯器を繋げば湯船にお湯を直接入れられる」
こうして無事に、水道とお風呂が使えるようになった。
「というわけなので、これからは交代でお風呂に入ることにしましょう」
美少女との混浴は、おじさんの私からすると、嬉しいけど心臓に悪い。
たとえ向こうが、私を父親のように思っていてもだ。
「年長者である私が、こういうことはしっかりとコントロールしないと。それにしても、お風呂はいいよなぁ……」
そう思いながら今日も湯船に浸かっていると、風呂場のガラス扉の向こうに人影が。
まさかと思っていたらガラス扉が開き、昨日に続き二人がタオル一枚で前を隠しながらお風呂場に入ってきた。
「あれ? もうお風呂を入れる手間が軽減されたんだから、一緒に入ることは……」
「幸三さん、ガスは有限なんだから追い焚きは禁止にした方がいいよ。これも節約だから」
「瑠璃さんの意見は正しいと思います。それに日本は混浴文化です。幸三さん、私たちは気にしませんから」
「(私が気にするんだ!)」
結局その日も二人の裸を見てしまった私は、また夜に悶々とする羽目になってしまった。
レベルアップと若返りのせいで、余計にそうなっているのだろう。
「(楓さんは、ガスの節約のためだと言っている。向こうは、私を父親みたいに思っているんだ。だから、そういう邪な気持ちは封印するぞ!)」
どうやら混浴は避けられないようなので、別のアプローチから解決を試みることにした。
私が恋人や奥さんでもない二人の裸を見ても、興奮しなくなればいいのだ。
私は、異世界で魔王を倒した勇者だ。
魔王退治の道中で、魔族にハニートラップを仕掛けられたことだってある。
ゆえに努力すれば、自分を律することは十分に可能だった。
「(二人は私の娘のようなもの。そう、娘だ!)」
父親と娘が一緒にお風呂に入っても、別におかしなことはない。
たとえ、ちょっと娘の年齢が高くてもだ。
レベルアップも必要かな?
それならば……。
翌日私は二人に留守番を任せ、学校近くの町へと車を走らせた。
二人には、町で使えるものを拾ってくると言ってあるし、それも事実であったが……。
「いたな! ゾンビとスケルトン!」
学校がゾンビに落とされた影響で、町からは人が消え、学校と近隣の町はゾンビとスケルトンで溢れていた。
スケルトンが増えたのは、数日前に私が多くのゾンビを倒したからだろう。
ゾンビ→スケルトン→レイスと、同じ個体が倒されるごとに進化というか強くなっていくので、私は『アンデッド三段活用』と呼んでいた。
勿論例外も存在するけど、大半のアンデッドは三回倒さないとその個体が消滅しない。
だからアンデッドは厄介なのだ。
「レベルが上がったから、装備を変更してっと……」
レベルアップのおかげで、レザー装備からは卒業だ。
銅のチェーンメイル、銅の兜、銅の盾、銅のブーツが使えるようになったのでこれを装備する。
「武器は駄目か……」
ミスリルソードが使えれば、魔法も通りやすいんだけど。
ただ、その場合はミスリルソードに聖魔法か治癒魔法を纏わせてから攻撃しないとアンデッドは倒せない。
銀の剣はそのまま攻撃するだけでアンデッドにダメージを与えられるけど、銀製なので攻撃力が低いのが難点だな。
「その分、手数を増やすしかない」
水鉄砲に入れた聖水、『ヒール』なども駆使しつつ、私は特にレベルが上がりやすいスケルトンを狙って倒し始めた。
やはり、昼の方が少し弱いな。
アンデッドは夜に強くなる。
一昨日の夜はやむを得ない事情があったが、今後はできる限り昼に倒していこう。
今は昼なのと、昨晩の戦闘経験とレベルアップのおかげで、スケルトン相手でもそこまて苦戦しなくなった。
だが油断は禁物であり、私は一人だから常に周囲に気を配りながら多数に囲まれる事態を防がなければならない。
町中を常に移動して、ゾンビとスケルトンが集まるのを阻止しながら戦いを続けつつ、途中で役に立ちそうなものを拾っておく。
「長時間は無理だな」
やはりパーティを組んでいないと、戦える時間に限界かある。
帰りの時間もあるので、私はまだ日が高いうちに切り上げて車に戻り、帰宅の途につくのであった。




