第14話 混浴
「ふう……。やはり風呂はよいなぁ……」
お風呂場の掃除が終わり、お湯を入れ終わったので早速ひとっ風呂浴びていた。
ただ、現状お風呂に関する課題は多い。
まず水道が使えないので、お風呂に入るには庭にある井戸から水を汲まなければいけなかった。
私の場合、『アイテムボックス』から出したポリ容器に水を入れてお風呂場まで運べば手間もかからない……いや、実は『アイテムボックス』を使っても、そこまでお風呂をいれるのが楽になるわけでもないから課題は多いのか。
この村やその周辺には水源も多いので、どうにか配管を通して水道を引くしかない。
次にお湯を沸かす方法だ。
町や店舗から集めてきたガスボンベと、ホームセンターで手に入れた新型の給湯器の設置は終わったのだが、これも水道が使えないと試験ができない。
それでもお風呂に入りたかったので、水は頑張って井戸から汲み、レベルアップで覚えた『火炎』を調整して湯船に溜めた水をお湯に温めた。
「電気、水道、ガス。なくなるとこんなに不便だなんて……」
異世界でそんなものに縁がない暮らしをしていたにもかかわらず、この世界に戻ってくるとその便利さを思い出してしまう。
それだけ便利であることを体が覚えてるのだ。
「とにかく頑張って、この家のインフラを回復させよう」
私がこの家で静かに落ち着いて暮らすために頑張らないと。
これでも電気工事とガス管工事は経験があるので、家の裏にある山から水源を引っ張ってきて、簡単にお風呂を沸かせるようにしたい。
水道管とガス管。
同じようなものだと思って挑戦していこう。
「お風呂に入るのに手間がかかると、お風呂の頻度を減らさないといけないからなぁ……」
この村での生活は、俗にいうスローライフの一種であろうが、実はスローライフは意外とやることが多い。
他にもやらなければいけないことが多く、毎日お風呂をいれることに時間をかけていられないからだ。
「なによりこのお風呂、大きいんだよなぁ……」
久しぶりに確認してみて思い出したのだが、祖父さんはお風呂が大好きで、風呂場も湯船も大きかった。
五人くらいなら余裕で入れそうな大きさなのだ。
両親が言うには、自分たちが住んでいた頃にはそんなにお風呂は広くなかったそうなので、祖父さんが自分が楽しむために改装したんだと思う。
「水汲みが大変だから、裏山の水源から水道を引くのが最優先……」
「お風呂、お風呂ぉ」
「失礼しまーーーす」
「ええっ!」
そんなことを考えながら湯船に浸かっていたら、なんと瑠璃さんと楓さんが風呂場に入ってきた。
当然だが二人は裸で、タオル一枚で前を隠しているだけの状態だ。
「二人は、私の次って決めてなかったっけ?」
私はレディーファーストの観点から、先にお風呂に入る権利を譲ったのだけど。二人が『水汲みもお湯を沸かしたのも幸三さんだからお先に』と言われたので、『それならば……』と先に入ったのだけど……。
「このお湯、魔法で沸かしたのなら早く入らないと冷めちゃうから、一緒に入った方がいいよねって話になったんだ」
「私たちのために、再び『火魔法』でお湯を沸かし直すなんて非効率ですから」
そう言いながら、洗い場で体を洗い始める二人。
私からは、綺麗な桃が二つ……。
楓さんの方が大きい……じゃない!
お湯で逆上せたわけでもないのにクラクラしてきたが、きっと二人は私を父親代わりくらいに思っているはずだ。
そうでなければ、嫁入り前の若い娘さんが、彼氏でもないおじさんの前で裸になるわけがないのだから。
「ボディーソープもシャンプーもリンスもあって最高!」
「もう何日もお風呂に入っていなかったので、女性としては気になってしまいますからね」
まだお風呂場の蛇口からお湯が出ないので、二人は体を洗ったボディソープとシャンプーを洗い流すため、湯船にお湯を汲みにくる。
当然体を隠していないので、私はその度に目を逸らすことに集中した。
「(胸は楓さんの方が……。瑠璃さん、ウエスト細いなぁ……。じゃない!)」
極力見ないようにしようと思いつつ、なぜか見てしまうのは男の性というか……。
二人も、上手く大切な部分を隠しながら洗面器でお湯を汲み、体を流すのは不可能か……。
「このお風呂場とこの湯船、広いですね」
「民宿のお風呂くらい広くて、これなら毎日三人で入れるよね」
「これからも?」
この状況はよくない。
本能では『ラッキー!』だと思ってしまいそうだから余計にだ。
「これからも、労力とエネルギーの節約のために三人で入った方がいいと思います!」
「でも、二人は嫁入り前の若い女性……」
「今はそんなことを言っている場合じゃないと思います」
「減るものじゃないからね。それはそうと幸三さんって、脱ぐとマッチョだよね。なんかイケオジって感じ」
それは、異世界で五年も戦っていたせいだろう。
不思議と年を取らず、レベルアップの影響で体も若返っていた。
この世界に戻ってきた時にレベル1になってしまったので再び老化してもおかしくなかったのだけど、なぜか私は若返ったままだった。
その辺の仕組みは、向こうの世界の王様も教えてくれなかったなぁ……。
若返ったとはいっても、白髪交じりの髪などはそのままだったし、私がおじさんという事実に変わりはなかったけど。
「お肌も綺麗ですね。いいなぁ……」
「本当だ」
「ああっ……」
二人もとレディーなんだから、気軽におじさんの体に触らないで!
そうでなくても、両隣が裸の美少女なので、色々と昂ぶってくるのを懸命に我慢しているのに!
「(これは混浴の温泉みたいなもの……みたいなものなんだ! とにかく一秒でも早く、水道を通さないとなぁ……)」
すでに枯れたアラフィフだと思っていたのに、美少女二人と混浴してしまったために、その日の夜は興奮してしまって寝るのが遅くなってしまった。
急ぎ労力がかからず、交代でお風呂に入れる体制を構築しなければ。




