第4話『ゼウス降臨』
「! グーファス、どうする?」ゾフォスがグーファスに聞いた。
「倒すしかないのう・・・(コイツらには、まだ荷が重いな・・・)」グーファスは涼しい顔で言った。
グーファスは、スプーン・フォークを構えながら歩き出した。
「下がっておれ、スキが出来たら援護してくれ」
「分かりました」とゾフォスが言った。ドプレクスも後ずさりした。
「ぐぅわぎゃおー!」6mほどもありそうなドラゴンがグーファスたちを威嚇して戦闘が始まった。
「ぶぅおん!」ドラゴンが2本同時の尻尾攻撃を連続してグーファスに叩きつけた。
「ばっちぃーん! ばっちぃーん! ばっしぃ! ばしーっ‼」グーファスがスプーンで尻尾を受け流した。
痺れを切らしたドラゴンは、体を反転させて高速の尻尾攻撃に切り替えた。
「ぶおっ! ぶぅおん! ぶぅおん! ぶおっ!」
「ばっしぃ! ばちぃ! ばっしぃ! ばっしー! ドガっ!」尻尾攻撃の隙を見つけて、グーファスはドラゴンの後頭部に一撃を加えた。
「頭がお留守じゃよ!」
「上手い! 尻尾攻撃を躱して後頭部に打撃を加えた」ゾフォスが言った。
「しかし、威力がないな。スプーンの攻撃では致命傷にはならない」ドプレクスが言った。
「グーファスのおやっさんは、いつも一人でドラゴンを倒しているのでやんすか?」プーパが疑問に思った。
「そうかも知れないわね。闘い慣れている感じだわ」クロマが言った。
「ぐぅわぎゃおー!」ドラゴンは、尻尾攻撃をやめて火炎を吐く態勢を整えた。
グーファスはスプーン・フォークの中心を持って扇風機のように旋回させた。
「グワーッ!」ドラゴンの口から吐き出された火炎攻撃を防御した。吐き疲れたドラゴンの首にフォークの一撃を浴びせた。
「ぐっぎゃー!」ドラゴンは痛みでのたうち回った。
「なるほど! これを繰り返してドラゴンを消耗させるのか・・・」ゾフォスが戦闘態勢に入った。
「隙はいくらでもありそうだな」ドプレクスがボキボキと指を鳴らしながら歩き出した。
「アッシも、加勢するでやんす」プーパが背中のワッペンを外した。
「アナタは、無理はしないでね」クロマが剣を抜きながら、ついて行った。
グーファスが6時の方向でドラゴンと対峙していた。ゾフォスが4時、ドプレクスが8時の方向に位置した。プーパが12時の方向で、クロマが2時の方向にいた。
「火炎を広範囲で吐かれたら厄介だ! 火炎攻撃だけ気をつけろ!」グーファスが叫んだ。
「はい!」
「押忍!」
「わかったでやんすー」
「分かりました!」全員が返事をした。
ドラゴンが、左の尻尾でクロマ、ゾフォス、グーファスを一掃しようとした。
「ぽてっ」プーパがワッペンを落として、左の尻尾を封印した。
「尻尾一本で手いっぱいでやんす~」
「でかした。充分だ! お前はそのまま、尻尾一本だけでもそのまま押さえつけてろ!」グーファスが叫んだ。
「わかったでやんすー!」
「雷撃槍!」ゾフォスが特大の雷撃槍をドラゴンの胸に突き刺した。
「旋風撃!」クロマもたて続けに斬撃を浴びせた。
「どす、べぎ、ばぎ、ぼぎ、・・・」グーファスは無数の打撃をドラゴンに浴びせた。
「ドッガっ!」ドプレクスは、立ったまま左肘と左ひざを合わせて右の尻尾攻撃を受け止めた。
「手足蟹型の構え! (お前の攻撃エネルギーを蓄積させてもらうぜ!)」
尻尾攻撃が使えないので苛ついたドラゴンが大きく息を吸い込んだ。
「火炎が来るぞ! 気をつけろ!」グーファスが叫んだ。
「! (習得した!)風障壁!」ゾフォスが咄嗟に、自分とクロマに術をかけた。
「(ちっ! 折角思い出したのに、こんな初歩的な術か・・・)」ゾフォスは不満だった。
風の障壁がドラゴンの火炎からゾフォスとクロマを守った。
グーファスはスプーン・フォークを旋回させて回避した。ドプレクスは、火炎が届かない位置まで退避した。プーパは尻尾を釘付けにしたままだった。火炎を吐き切って疲れたドラゴンにみんなで総攻撃をした。
「龍斬り!」クロマが強烈な斬撃を浴びせた。
「ざっしゅっ!」ドラゴンの左肩を斬りつけた。
「(あれ? レベルが上がっているかも・・・)」クロマは実感した。
「軟体甲殻拳・気迫撃!」ドプレクスはドラゴンの腹部に1ダースほどの打撃を叩きこんだ。
「ドガドガどが・・・!」
「(便利な技を習得出来たぜ・・・!)」ドプレクスは満足だった。
「どす、べぎ、ばぎ、ぼぎ、・・・」グーファスは無数の打撃をドラゴンに浴びせた。
「おらおらおらー! くんぬやろー! これでもがー!」グーファスの鼻息が荒かった。
「ぐぅわぎゃおー!」ドラゴンがひと際大きな雄たけびをあげた。
「ぶぅうん!」右の尻尾でプーパを叩こうをしたとき、プーパはスタコラ逃げて行った。
ドラゴンはダメージを受けていたものの、振出しに戻った。
「・・・やり直しか・・・、げほっ」ゾフォスは咳をした。
「もう一度行くぞ」グーファスが言った。
「あんた、コイツと何度も戦っているのかい?」ゾフォスが聞いた。
「あぁ、一体倒すのにいつも二日かかっている。三日かも知れんがの・・・」
「・・・厄介な相手だな・・・」
「そうでもないさ。今回は、お前さんたちがいるからのー」
「・・・なるほどね。一日で済みそうだ・・・」
「そうなることを願っているよ・・・」
「なんてこったよ・・・。こんなのが何匹もいるのか・・・」ドプレクスは冷汗をかいた。
「他の生きものたちに見つかる前に倒すしかないでやんす・・・」
「何かいい方法はないかしら・・・」
『ぐごぉぉぉーっ!』先ほどまでとは違うドラゴンの雄たけびだった。
「! マズイ! 何かを呼び寄せたようだ!」グーファスが叫んだ。
死獣が12匹襲い掛かって来た。
「死獣だ! 雷撃槍!」ゾフォスは術を唱えたが、MP不足で一本しか出なかった。一体は仕留めたが、三体に襲われた。ドプレクスとクロマに三体ずつ死獣が襲い掛かった。プーパには、二体の死獣が襲い掛かった。
「(今まで倒した三体のドラゴンとは違う! コイツには知恵がある!)」グーファスは、一対一でドラゴンと戦っていた。
「MP切れだ! 援護できん!」ゾフォスが叫んだ。
「俺は俺で何とかする! 気にするな!」ドプレクスが叫んだ。
「私も自力で何とかするわ!」クロマも叫んだ。
「アッシは逃げるでやんす!」プーパは走り回ったが、二体の死獣に追いかけられた。
死獣たちは、ドプレクスたちに襲いかからず牽制した。
「襲って来ないのか?」ドプレクスは身構えた。
「連携を封じるだけなのかしら?」クロマは訝しがった。
「ぐわっ!」ゾフォスにだけ三体の死獣が飛び掛かった。倒れたゾフォスの喉元に死獣の牙が付き去る寸前だった。雲の一部が光り雷が落ちてきた。
「ドッガっシャーン!」地面に雷が落ちると同時に、光が擬人化し2.5mほどの人間が現れた。そして、時の流れが突如緩やかになった。
「ゼウス! 何故ここに!」グーファスに衝撃が走った。
『お前は、グーファスとか言ったか? こんなところに飛ばされておったか・・・、くっくっく』一瞥をくれるとゾフォスに向き直った。
あたりの時間が止まっているかのようだったが、ミリ単位で動いていた。グーファスとゼウスとゾフォスだけが別の時間軸にいた。
「(・・・まさか、あの小僧はゼウスと通じていたのか・・・)」グーファスは動揺した。
『くっくっく。小僧、お前はこれで終わりか?』
「MP切れだ。術は使えないから仕方がない」
『カオティック属性の悪いところだ。他人を利用することしか考えていない。誰かの助けを待つつもりか?』
「・・・今の俺に何が出来る?」
『甘えるな! この俺さまが、たかが下僕を助けに来たとでも思ったか! MPがなければ、どうしなければならないか自分で考えてみろ!』
ゾフォスは今できる戦い方を考えてみた。すぐに考えがまとまった。
「・・・なるほど、忘れてたよ。俺は窃盗師だ!」
『その通り、俺さまは窃盗師に用がある。習得しろ!』
ゾフォスはいくつかの術を思い出した。
「懐かしいな。状態、索敵、地図・・・。すっかり忘れていたよ・・・」
『こんなところで簡単にくたばるんじゃない! さっさと来い! 待ってるぞ!』ゼウスは怒鳴り散らして消えてしまった。
「俺に何の用があるんだよ・・・、それに何処に行けばいいんだよ・・・。げっほっ」ゾフォスは立ち上がり、喉元に食いつこうとしていた死獣を蹴飛ばした。相変わらず、グーファスとゾフォスだけが別の時間軸の中にいた。
「お前は、『オリンポス山の神殿』でゼウスを引き当てたのか!」グーファスが興奮しながら質問した。
「あぁ・・・。でも、何もしてくれなさそうだけどね・・・。怒鳴るだけ怒鳴って行ってしまった・・・」ゾフォスは物足りなさそうだった。
「引き当てただけで十分だ!」グーファスの興奮は止まらなかった。
「さて、こいつらをとっとと始末しよう。そろそろ時間が戻りそうだ」
「あぁ、そうだな!」と言ってグーファスは、しこたまドラゴンをぶん殴り始めた。
時が戻ると同時にゾフォスの反撃が始まった。
「吸収!」自分に飛び掛かって来た三体の死獣のレベルを吸い取った。
「きゅ~ん」
「く~ん」
「わん」ゾフォスに触られた途端に力が抜けた死獣たちは、たじろいで逃げて行った。
即座にクロマに近寄り術をかけた。
「上昇!」クロマのレベルを10上げた。クロマはレベル108になった。
「え? 何したの?」訳が分からないまま死獣たちに斬撃を浴びせた。
「竜巻斬!」クロマは死獣たちを一掃した。
「上昇!」プーパのレベルを10上げた。プーパはレベル78になった。
「混乱の舞い!」プーパは目まぐるしい早さで踊り出した。プーパを追いかけていた死獣たちは判断を誤り嚙みつき合った。
「上昇!」ドプレクスのレベルを10上げた。ドプレクスはレベル128になった。
「気迫貫通撃!」ドプレクスの一撃は、三体の死獣を貫いた。勢い余って10m離れたドラゴンの腹に突き刺さった。
「よく届いたもんだぜ!」
「さぁ、あのドラゴンを倒しちまおうゼ!」ゾフォスが叫んだ。
「おう!」
「がってんでやんす!」
「えぇ、そうしましょう!」




