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【2000PV達成】『レムリア戦記』「失われた6つの大陸」  作者: ヒルキ 将
第三章『王都炎上編』

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第五話『ニュートラル代表歓迎式典』

王と将軍は並んで北側に座った。リカルダスは二人に対面して南側に座った。イストリアは契約を円滑に進めるべく東側に座った。

「それでは、正式な契約に入る」イストリアが言った。

「よろしくお願いします」リカルダスは頭を下げた。他の者たちには長椅子が幾つか用意され、遠巻きに契約の様子を見守った。

「お主たちに依頼する仕事は、失われた大陸を探し継続的に我々が訪問できる環境を整えることである。間違って貰っては困るが、失われた大陸を侵略することを目的にお主たちを派遣するのではない。飽くまでも、文化的な交流が目的である」王が言った。

「承知致しました」リカルダスは仕事を引き受けた。

「失われた大陸では、優れた精神文化や優れた物質文化が栄えていたという。我々の目的は、それらを学び我々の生活に役立てることである。お互いの国から使節を派遣し合い、文化を学ぶことが目的である。そのことを根本的に理解してほしい」イストリアが説明した。

「承知しました」リカルダスは言った。

「それでは、報酬の話に入ろう。リカルダス君、何が望みかな?」王がたずねた。

「それでは、ギリシャを頂きます」リカルダスは、堂々と言った。

「ほぅ。このギリシャを欲しいかね?」王は聞き返した。

「私が欲しいのではありません。ここにいる、エルピーダ、アスタル、ベルダッドの誰かが望むのであれば、旅の報酬として渡すつもりです」

と、言われたので王はそれぞれの顔を見た。

「エルピーダとやら、お主がこのギリシャを治めるのかね?」

エルピーダはカブリを振った。

「滅相も御座いません。私は一国の王になる器では御座いません。誰かにお仕えして能力を発揮するタイプです。お断りします」

王は次に、アスタルに聞いた。

「アスタルとやら、先ほどは災難だったの。お主がこのギリシャを治めるのかね?」

アスタルは否定した。

「おことワリします。ワタしは、せんジョウでヒカるにんゲンで、す。こんカイのニンムがおわれば、コウシンのイクセイにはげみま、す」龍の顔なので、滑舌が悪く、喋りにくそうだった。

王は、オヤオヤと言う顔をした。将軍もイストリアも不思議に思った。

「・・・」クロマ将軍は黙って話を聞いていた。

王は、ベルダッドに聞いた。

「ベルダッドとやら、お主がこのギリシャを治めるのかね?」

ベルダッドが言った。

「報酬は、リカルダスさんから頂く約束だからね。頂けるなら頂くわ。ただし、私ではなく伴侶(パートナー)に治めさせるの。私は、その日食べる分があれば、それで満足だわ」

「くすっ」とクロマ将軍は笑った。

「はっはっは。お主はクロマと同じことを考えておるの~。やれやれ、ここにいる者たちは欲がないわ。さすがローフルの代表だ」将軍は笑いながら言った。

「よかろう。お主たちの働き次第で、このギリシャをくれてやろう。クロマにせよ、お主たちにせよ、きっとこのギリシャに善政を敷いてくれるに違いない」王は、心の底から安心した様子だった。

「それでは、スパルタ軍と休戦協定を結んで頂きたいです。いずれ我々の地になるのですから、無益な戦争は即座にやめて頂きたい」リカルダスは直訴した。

王は、静かに言った。

「そうだのう・・・。休戦調停をして、すぐにワシを幽閉してくれ・・・。眠ると自制が効かん・・・」ギョロリとリカルダスを睨んだ。

「・・・それでは、『永久凍土(ペルマフロスト)』で暫らく眠って頂くというのはどうでしょうか? 我々が、王の魂を安寧させる方法を見つけ出してきます」リカルダスは提案した。

「・・・うむ、悪くないのう」王は、提案を受け入れた。こうして一時的に、ギリムシュー将軍を国王代理とし、その補佐官にイストリアが就任することが決まった。こうして、ローフル代表の歓迎式典は終わった。長い長い12月8日が終わった。


12月10日。リカルダスたちは使者として、スパルタに休戦調停の提案をしに出掛けた。万が一の事態に備えて、ローフル代表のクロマ将軍が付き添った。

出発した日が、ニュートラル代表の歓迎式典の日だったが、国王代理とその補佐官、そしてフェーザ将軍、スクートム将軍も式典に参加した。

ニュートラル代表の歓迎式典も、謁見の間で開かれた。

四人の宮廷楽団員が歓迎式典序曲を演奏してニュートラル代表を迎え入れ、歓迎式典は厳かに始まった。

ローフル代表の式典と同じように、宮廷歴史家のイストリアが話し始めた。

「まずは、『地下迷宮探検競技』における優勝を褒め称えたい。おめでとう!」

「恐悦至極に存じます」「ありがとー」「どーもねー」「ありがとうございますぅ」呀龍たちは、それぞれに返事をした。

「・・・」あまりのまとまりの無さに、一瞬イストリアがたじろいだ。そして、気を取り直して話を続けた。

「諸君らには、これから壮大な大陸探しの旅に出て頂きたい。レムリア大陸、アトランティス大陸、ムー大陸はいずれも、かつて存在していたという幻の大地である。レムリア大陸は、高度な精神文明が栄え魔術の研究も盛んであったという。アトランティス大陸は、高度な物質文明が栄え武器や兵器の研究も進んでいたという。ムー大陸は、精神や物質の次元を超えたあらゆる生命体が共存し、あらゆる望みが叶う奇跡の石のお陰で繁栄していたという。いずれの地でも、ここギリシャでの常識が通用するものではない。諸君らの中には、『神々の試練』を受けた者もいるだろう。神々のご加護は、大陸でこそ大いなる恩恵をもたらすものでもある。諸君らを多いに助けてくれるであろう」話終わったイストリアがは、それぞれの反応を見てみた。

「なんと! 壮大なる旅の始まりでは御座らぬか! 任務で御座るか?」

「俺が行きたいのは、ムー大陸なんだよねー」

「グルルルル・・・」

「莫大な財宝があるところならばお供します。もちろん、MPは使いませんが・・・」

「(・・・このまとまりの無さで、大丈夫だろうか・・・?)」イストリアは不安で一杯だった。

「(もちろん、行くさ・・・。こいつらに付き添って、さんざん利用するだけだがな・・・)」黄色と白の色が映える虎をイメージした鎧を着た体格の良いフェーザ将軍がほくそ笑んだ。

「(どこでもいい、大陸にたどり着いたら別行動だ・・・。こいつらとは、お別れだ・・・)」熊をイメージした黒い鎧を着たスクートム将軍がニヤケた。

「それではお主たちの任務だが、失われた大陸に辿り着いたら、定期的に確実にギリシャと往復できる方法を探し出して欲しい」イストリアが話した。

「なんと、やり甲斐のある任務では御座らぬか。引き受けたで御座る」

「まぁ、行き来できれば便利だからねー、いいよー」

「グロロ・・・、グルルルル・・・」

「お前は面倒だと喋れない振りをするよねー」

「ガルル・・・」

「珍しい品々を持ち帰れば、大儲けですねー」

「((なま)(ぐさ)だのー。戒律を守らんのか・・・)」イストリアはベレーザに嫌悪感を抱いた。

「それでは報酬の話に入るが、権利が良いか? 土地が良いか? それとも金貨が良いか? リーダーにお訊ねする」とイストリアは言って、呀龍を見た。

「え? 拙者で御座るか?」

「そうでござる」と言われたので、呀龍は皆の顔を見た。

「好きにしていーよー」

「ガルル」

「あなたから、むしり取ります」

「・・・むふむふ」と、しばし思案したが、すぐに結論を出した。

「それでは、金貨を所望するで御座る。皆で分けれるのが揉めなくて良いで御座る」

「うむ。それでは、働きに応じて、1000万ドラクマルクまで準備いたそう」

「! 破格で御座る!」呀龍は歓喜した。

「俺は別にいらないけどねー」

「ガルル・・・」

「報酬を頂かぬで御座るか?」

「(ふっふっふ。と言うことは、私が三人分頂きます・・・)」ベレーザはどす黒い笑みを浮かべた。それを見たイストリアは虫唾(むしず)が走った。将軍も、ベレーザが考えていることが分かったので、顔をしかめた。

「何も知らない奴らだね・・・。大陸って三つだけだと思っているのか?」

「グルルルル・・・」

「そうだね。知らない方が良いこともあるもんだ」

「・・・(彼ら二人は、ムー大陸の出身だ。やはり、古文書の記述は正しかったのか・・・)」イストリアはベスタとトロのやり取りを黙って聞いていた。


ぶつくさ男は、アーヴィンとカバロ、マイムー、サロス将軍を伴ってオリンポス山の山頂にある選ばれた者にしか見えない神殿の前にいた。

瘦せた門番が、ぶつくさ男たちに気付いた。

「! これは、これはヒドランジェルさま。お久しぶりです」ぶつくさ男は返事を返した。

「ちがう、俺はヒドラリアン。俺はヒドラスタ。ヒドラブリは俺。他にもいるよ。誰でもいるよ。どーでもいーよ」

「(本当にどうでもいいよ)先日は、10万ドラクマルク頂きまして、ありがとうございます」もみ手をしながら頭を下げた。

「また誰か紹介しろ。金やるぞ。使える奴な。よわかすいらん。つよかす欲しい。特訓する」と言って、神殿の中に入って行った。神殿の中に入ると、奥の間にいたシントリスタに話しかけられた。

「ん? お前たちは、『神々の試練』に合格したじゃないか? 他に誰か受けるのか?」

「アーヴィンは特訓する。サロス将軍が受けるよ。カバロも受けるよ。負けてもいいよ」ズカズカ奥の間の先へ進もうとした。

「まてまて、そこから先は立ち入り禁止じゃ」ヒドラリアンは、ジロリとシントリスタを睨んだ。

「ここは、イストリアが担当していた時から俺が自由に使っていい部屋だ」いつもは、ぶつくさ外野がうるさいが、この時ばかりは野次が聞こえてこなかった。

「なぁに~?」シントリスタには、意味が分からなかった。

そこへ、瘦せた門番が入ってきて耳打ちをした。

「シントリスタさん、ここはヒドラリアン様の私物のような土地なのです。好きにさせた方がいいです。イストリアさまも、何も言いませんでした」こそこそ教えた。

「そうなのか? なにも引き継いでいなかったが・・・」

「この方は、とても面倒な方なのです」と言って手を出した。シントリスタは1000ドラクマルクを渡した。

「(あの方が来ると、金になるな~)」瘦せた門番は小躍りして外に出て行った。

「よろしい、先へ進んでよい」一応、許可の形にした。

「よろしい。いーよ。いいんだよ。いいのげ。いいのだ。ったりまえだ」そしてヒドラリアンたちは、奥の間の先にある『ジーランディア大陸の部屋』に入った。

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