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【2000PV達成】『レムリア戦記』「失われた6つの大陸」  作者: ヒルキ 将
第三章『王都炎上編』

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第四話『ゾフォスの襲撃・アスタルの悲劇』

「! 曲者(くせもの)!」宮廷楽団員の一人が叫んだ。

「意味のない契約中に失礼するよ~、げほっ」ゾフォスがプーパとヴィズを連れて、ふらっと入って来た。

「! ゾフォスじゃないか!」リカルダスは驚いた。

「リカルダス兄さん、久しぶりだね~、げっほっ」

「? 今度は、弟弟子か?」王がたずねた。

「はい、ロードス島でともに修行した仲です」

クロマ将軍が、ゾフォスの前に立ちはだかり質問した。

「お主は、カオティック代表であろう。何用じゃ?」

「(ゾフォスはカオティック代表だったのか・・・。剥奪師に昇格するまで、属性なんか分からなかったからな~・・・)」リカルダスは不思議に思った。

「・・・今ここで、その兄を倒します」ゾフォスは間をおいて質問に答えた。

「今、取り込み中だ。帰りなさい」クロマ将軍は素っ気なく言った。

交換(カンビアス)」と呪文を唱え、クロマ将軍と自分の位置を変えた。

「!」クロマ将軍は不意を突かれた。

ゾフォスは、何事もなかったように話し続けた。

「ダメです。私は大陸探しに興味がありません。今必要なのは、兄が大陸に行く前に、この場で兄を倒すことなのです」ゾフォスは身動(みじろ)ぎもせずに言った。


王は、ヤレヤレと言った表情で返事をした。

「自分勝手な男じゃのう。わしの目の前で、今この場でそれが出来ると思うておるのか?」王は、威圧しながら野太い声で言った。

「出来ますよ~、来い(カムイン)!」指をパチンと鳴らした。

「ぼわっ!」「ぼわっ!」「ぼわっ!」ヤギの頭と黒い翼を持った悪魔が三体現れた。

「既に悪魔を召喚しておるのか。闘う気満々じゃの~」ギリムシュー将軍は動じなかった。

夜想曲(ノクターン)!」宮廷楽団員は、曲の演奏を始めた。

「悪魔の力を弱める曲だね。楽団員は魔術師だらけか。げほっ。悪魔の力は半分出れば、今はいいよ。襲撃(いけ)!」悪魔は、王と将軍とエルピーダに突撃した。

「プーパ、金髪を頼む」

「へい!」プーパはヴィズをけしかけた。

「うおぉおおぉぉぉー、俺を操るなぁあぁぁぁぁー!」ヴィズは嫌がりながら、アスタルに突進した。

「! ヴィズ? なぜここにいるの? 首と右腕が龍じゃない?」ベルダッドが不思議に思った。

突進してくヴィズにアスタルが立ち向かった。

プーパは、肩のワッペンを外してアスタルの方向に落とした。

完了(プレファティオ)!」

「ダメだ! アスタル! そいつを斬るな!」リカルダスは叫んだが間に合わなかった。ゾフォスがリカルダスめがけて無数の火炎魔法を放った。

火炎矢槍(ランチャ・デ・フレチャ)」火炎の矢と槍が立て続けにリカルダスを襲った。

「ちぃっ」リカルダスは舌打ちをしながら、氷の盾で応戦した。

氷盾(スクートム・グラシアーレ)」飛んできた矢や槍の威力を受け止め地面に落とした。

「ぼと、ぼとっ、ぼと・・・」矢と槍は、炎を消しながら次々と地面に重なっていった。


悪魔の一体は、王の前に立ちふさがり王を威圧した。

悪魔の一体は、将軍に殴りかかった。

悪魔の一体は、エルピーダに突進したが、無数の岩をぶつけられてよろけた。

「!? 体が勝手に動くぞ!」そしてアスタルは、ヴィズの首と右腕を斬ってしまった。

「ぐぎゃー! 痛くねぇけど、痛ぇよー!」同時にアスタルの首と右腕も斬り落とされた。

「! アスタル様ー!」ベルダッドを押しやって、アマールが現れた。

「落ち着け、アマール!」リカルダスが叫んだ。

「アマールさん、落ち着いて! アスタルは死んではいない!」エルピーダがアマールに向かって叫んだ。

「アスタル様ーーー!」アマールには聞こえなかった。

「男前の顔だぁぁあ! 腕も使い勝手がいいぃいいぃぃ」ヴィズは行動するのをやめてその場で喜んでいただけだった。


王の目の前に、クロマ将軍の名もなき部下が立ちはだかり悪魔に斬りかかった。

しかし、一撃で悪魔にぶっ飛ばされ気を失ってしまった。

「ふっふっふ」悪魔は、そのまま腕組みをしながら王を威圧した。

「良い部下を持ったものだ」王は満足気だった。そしてそのまま悪魔を威圧仕返し行動不能にした。

「舐めるなよ! 悪魔如きワシの威圧でどうにでも出来るわ!」座ったまま拳で一撃を繰り出し、風圧だけで悪魔を粉砕した。

「ぶっわっ!」悪魔は霧のように消えた。


将軍は、悪魔の拳を素手で掴み殴り返した。

「弱体化していなくても、お前ごとき敵ではないわ!」

「ごわきぃ! ずっどーん! ふにゅ~っ」悪魔は風船が弾けるように飛んで行って消えた。


エルピーダは、悪魔を岩で押しつぶし行動不能にすると、とどめの一撃を叩きつけた。

「どがどがどが! どっがっ! さらさらさ~」悪魔は砂塵となって消えた。そしてアマールに駆け寄った。

「アマールさん、落ち着いて! 鎮静(セダシオン)!」アマールに魔法をかけた。

「アマールさん、落ち着いてください。アスタルさんには、保険をかけてあります。大丈夫です。今、捕縛しなければいけないのは、あの道化師のような男です」

「分かったわ」アマールは一息つくと、落ち着きを取り戻した。

「(ちょっと、あいつヴィズじゃないの?)」

「(ベルダッド、それは後にして!)」

「(・・・)」ベルダッドは、しぶしぶと引っ込んだ。


エルデムが、プーパの前に立ちはだかった。

「おやおや、お美しいお嬢さんじゃないでげすか」プーパは突然目の前に美女が現れて驚いた。エルデムは、プーパの目の前で一本の棒を取り出し地面に突き立てた。それをクルリと一周すると、プーパの視界からエルデムの姿は完全に消えた。棒はパタリと倒れたが、エルデムの姿は何処にもなかった。

「? 何じゃ、あの娘は? 消えおったぞ・・・」戦いを客観的に見ていたイストリアは、不思議がった。

「おや? どこに行きなすった?」プーパは混乱した。直後に背後から床に押し倒された。

「ぐっげっ!」

捕縛(カプトゥーラ)!」アマールが、プーパを捕縛した。エルデムがプーパを縛り上げた。

「お手あげでやんす」プーパは観念した。


「三体の悪魔は、一瞬でやられたな。道化師の仲間も戦闘不能だ。もう片方は、喜んで踊ってばかりだ。戦意はないらしい。ゾフォス、どうする?」

ゾフォスの放つ無数の炎の矢と炎の槍を氷の盾で弾き返しながら、リカルダスは聞いた。

「負けだねー。タイミングが悪すぎたよ。げっほっ」

「相変わらず、喘息(ぜんそく)は治らないのか?」

「諦めたよ。何もかもね・・・げふっ。状態(シーツアシオン)!」

「面白いものが、見えたか?」

剥奪師(プランドラー)? レベル52? 窃盗師(スティーラー)ではないのか?」

「アーヴィンを倒したからな。レベルが一気に上がったのだ」

「アーヴィンを?」ゾフォスは訝しがった。

「アテネに到着すると同時に襲撃されたから、撃退したよ」リカルダスは涼しげに言った。

「ちぃっ!」ゾフォスは舌打ちをして作戦を変えた。

火炎矢槍の攻撃を止めると呪文を唱え始めた。

引力(グラベダ)!」プーパを回収したが、ヴィズは回収出来なかった。

「ん? 来ないのか? 置いて行くぞ! 瞬間移動(テレポスタティオ)!」

ゾフォスが去ると同時に、辺りは静まり返った。


王の前に(ひざまず)き、頭を下げた。

「お騒がせしました」リカルダスは(うやうや)しく言った。

「難儀な兄弟を持ったものだのぅ」王は同情してくれた。


喜んでいるヴィズにベルダッドが話しかけた。

「あんた、ヴィズじゃないの?」

「うおぉおおぉぉぉー、ベルダッドぉぉおっぉ~。久しぶりじゃないかぁあぁ。俺はついに男前になったぞおおおぉぉお。お前に、あいたかったぁあぁああぁあぁ」

「それは、私の仲間の顔と腕だよ。返してやりな」

「うおぉおおぉぉぉー、勿体ねええええぇぇぇぇ。ことわりてぇぇぇええ」

「勝手に人の物を取っちゃダメだよ」

「うおぉおおぉぉぉー、わかったあぁぁぁああぁ!」

「それにしてもあんた、臭いわね~。どうしたの? 今まで何処にいたの? 何故、ここにいるの? それに、なんでそんな喋り方をしているの?」ベルダッドが畳みかけて質問した。

「あーなって、こーなって、そーなったぁあぁぁ」ヴィズは、()(つま)んで(つまび)らかに説明した。

「まったく、馬鹿やってんじゃないわよ」

「ごめぇんんんんん」


「うん、死んではいない。が、これは問題だ」倒れているアスタルの様子をリカルダスは伺った。

「命の保険が効きました。ベルダッドさんたちと、ムー大陸を探さなければいけませんね」エルピーダが言った。

「そうね、これは『ムー大陸案件』ね」ベルダッドが、ヴィズをリカルダスのもとに連れてきて言った。

「ムー大陸に連れて行けば、治るのか?」

「私がフィリアさんから学んだ知識だと、それしか方法がありません」

「・・・」アスタルは、横になったままようやく目を開けた。そして黙って話を聞いていた。

「まぁ、どうせ行くしな。よし、ムー大陸を目指しアスタルを助けよう!」

「はい!」

「・・・」アスタルは何も言えなかった。そしてジワリと涙を流した。

ベルダッドは、ヴィズの正体をリカルダスに説明した。

「そうか・・・、ならば連れて行くか?」

「そうしてくれると助かるわ。何もかも世話になって悪いわね」

「まぁ、乗りかかった船だ。構わんよ。それにしても臭いな。召喚獣にしよう」

「ありがえてぇぇぇぇえええ!」こうしてヴィズが仲間に加わった。ヴィズは、リカルダスの召喚術の書に封印された。それは、ラクシャスの次のページだった。

「ん? 新入りか? 少し臭いぞ」ラクシャスが言った。

「ごめええぇんん。俺はヴィズだぁあぁぁ、よろしくなああぁぁ。出身はムー大陸だぁあぁぁあ」

「俺は、ラクシャスだぁぁあ。よろしくなぁあ。出身はアトランティス大陸だぁぁあぁあ」

「ノリがいいじゃねぇえぇかぁああ」

「ひまだからなああぁぁ」

「・・・」

「・・・」

「・・・」

「お前、アスタルに似ているなぁあぁあ」

「かくかくしかじか、まるまるうまうまだぁあぁあ」

「そいつは難儀だなあぁぁああぁ」

「迷惑かけてるわぁぁああ」

「・・・」

「・・・」

「ごそっ。がさっ」リカルダスの召喚術の書が賑やかだった。

「リカルダスさまの、書物が賑やかですね」エルピーダが訝しがった。

「まぁ、ケンカしている訳でもあるまい。放っておこう」リカルダスは気にしなかった。


ベルダッドが引っ込むと、アマールが出てきた。

「アスタルさま・・・、私は、あなたがどんなお姿でもお慕い申し上げております・・・」

「・・・」アスタルは、何も言えなかった。ムクリと起き上がり、ぼ~っとしていた。

「大丈夫だ、アスタル。ベルダッドもヴィズもいる。きっとキミをムー大陸に連れて行って元に戻すよ」リカルダスは優しく言った。

「ありガトウございま、ス。そのオコトばだけでジューブンまんぞクで、ス・・・」アスタルは力無く言った。

「アスタル~。元気出しなよ~。アタシの彼もあんな感じだけど、きっと元に戻してみせるわ。みんなでがんばろー」ベルダッドが明るく言った。

「がんバリま、ス」少しだけ言葉に力が戻っていた。そして、アマールはアスタルに深々とフードを被せた。

「ムー大陸に行けば、全て解決できます」アマールの言葉は力強かった。

「・・・う、ん」アスタルは力無く返事をした。

「このパーティーでどこまで戦えるか分からんが、連携の確認が必要だ」リカルダスが言った。

「はい。うちのパーティーには、心強いラクシャスさんという絶対的な盾がいます。禁断のヴィズさんもいますが、不用意に召喚するのは考え物です」エルピーダが言った。

「そうだな。下手に召喚すると、アスタルの顔と右腕を失ってしまうかもしれん」リカルダスとエルピーダは、ヴィズとアスタル抜きを想定していた。


「うむ、皆の者が落ち着いたら、契約を再開しよう」王は、みなの様子を伺いながら静かに言った。

「さきほど現れた、棒を持った女性はどなたかな? あの道化師を捕獲した娘さんじゃ。ギリシャ人ではないように見えたが?」イストリアはリカルダスにたずねた。リカルダスはギクリとしたが平然を装った。

「さぁ、知りませんね。そんな人いましたか? なにかの見間違えではありませんか?」リカルダスはすっとぼけた。

「おかしいのう、確かに見たんだが・・・」イストリアは混乱していた。

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