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26 戦後処理

ブックマークありがとうございます。

戦後処理で戦国の日本はどう変わるのか。

 26 戦後処理



 大勢は決した。豊臣と上杉を巡る戦は豊臣方の圧勝。

 真柴は関白の位を継いで、その数日後に太閤秀吉が没した。

 会津王国の有力者の一族の全員が宇喜多秀家の独断により、生き埋めとなった。

 それを真柴は見て見ぬふりをした。宇喜多秀家に自らの正体を見破られたから。

 そして、宇喜多秀家は会津戦役の最大の功労者でもあるからだ。

 最早、会津民族の血を継ぐ者は上杉家の唯一の生き残り、上杉三法師唯一人となった。

 捕らえた上杉四天王、『神算の知将』柳成龍は囲碁の名手としての技能に目を付けられ、囲碁を嗜む徳川家康に仕官した。

 豊臣家の威勢は瞬く間に高まり、太平の世に住む者は誰もが、真柴に跪くのであった。


 ――思い通り! 全ては我が意のまま! 秀吉も上杉景勝も李舜臣も邪魔な者達は全員が居なくなった!


 とある日の夕暮れ。豪華絢爛を極めた太閤秀吉の墓の前で真柴はガッツポーズをする。

 八歳の幼子が、親の墓の前で気分良くする様は異様である。

 勿論、誰にも姿を見られないよう人払いをしているので抜かりはない。


「一つの懸念は……我が妹、上杉三法師。織田秀信の幼名と同じで紛らわしい事この上ない。

 大方、淀殿が織田家再興の当てつけで名付けたのだろう。戦国一の愚か者だな。

 まあいい、新たな名前を兄である私が名付けよう。

 母親である淀殿の以前の名前、茶々と名付けよう。うん。それが良い」


 真柴は上杉三法師の新たな名前に淀殿の以前の名前、茶々と名付けた。無難な名付けであろう。

 その後、真柴は戦後処理を開始。最大の功労者である宇喜多秀家に内大臣の位を授けた。

 そして上杉家を滅亡し、残った会津百二十万石だが、異例の抜擢で徳川家康次男、結城三河守秀康に授けた。

 内情を知らぬ者は首を傾げる采配だが、これには訳がある。

 上杉三法師……名を改めて茶々の事だ。茶々を養育するのは大変難儀なことだった。

 目の前で親を亡くしたトラウマ。茶々の父方の実家、上杉は滅亡しているので、茶々を支える家族が少ない。

 ならば……真柴は思い切って結城秀康に嫁がせる事を計画した。

 年がかなり離れるが、結城秀康は若くて、かなりのイケメン。

 それに仮想敵である関東八国二百五十五万石を領する徳川に恩を売れる。

 当然、結城秀康には正室も側室もいるが、真柴は強権を行使して離縁させた。

 そして茶々に仕えさせる側仕えも黒田家から後藤又兵衛などの武将クラス。

 更に真田信之の正室、小松姫などの大名の奥方クラスを豪華に揃えさせた。

 正に権力の暴力。董卓のようには成りたくはないが……。


「前途洋々たるイケメンの結城秀康に嫁がせれば茶々の将来も安泰だな」


 腕を組んで目を瞑り、茶々の事を思い描く。

 両親を亡くした分、茶々には幸せな未来を味合わせてあげたい。


「秀頼様! ここに居られましたか! 黒田官兵衛でございます」


 真柴の腹心、知恵袋である『相国』黒田官兵衛が、秀吉の墓の前で真柴に平伏す。

 漆黒の衣装に身を包んだ黒衣の宰相と呼ばれる男だ。


「官兵衛か。上杉三法師……新たに私が今、名付けをした茶々の輿入れを全てお前に託す」


「万事お任せを……妹君の輿入れは準備万端でございます。

 しかしながら、結城秀康に会津百二十万石をやる等、秀頼様は思い切っていますね。

 ですが、これで徳川に恩を売れます。それが狙いなのは分かっていますが、一つ懸念が……」


「何だ? 申してみよ」


「ええ。会津百二十万石を徳川に与えると、徳川家単独で十万を超える兵力が動員できます。

 正に虎に翼を与えるようなものです。秀頼様ならば、その辺の事情は当然看破していると思いますがね」


「当然だ。その辺は勿論、看破しておる。

 だが、結城秀康とは何度か会った事があるが、清廉とした貴公子という印象を受けた好青年だった。

 豊臣を……茶々を不幸にさせる人物とは到底思えぬ。それに今の豊臣家は徳川家とも友好を結んでおる。

 家康殿とは何度も食事を共にした中だ。徳川家が豊臣家に牙をむくなど断じてない!」


 真柴は断じてないと言い切った。それに本当に徳川家康は真柴に好意的に接している。

 結城秀康も中々の好青年。茶々を不幸にするような人物ではないと真柴は確信を持っている。

 後は輿入れの前日に真柴と、茶々、徳川家康、結城秀康で会食を行う予定だ。


「もう一つ懸念が……」


「何だ?」


「石田三成が討ち死にしたことで近江佐和山十九万四千石が空いています。

 三成の子は五人いますが、まだ年若く、大領を御する力は御座いますまい」


「勿論、憂慮しておる。石田三成……惜しい人物を亡くした。

 だが、急いで決める問題でもあるまい。適当な代官でも送って治めさせる。

 まずは我が妹……茶々の輿入れを万事滞りなく収めることだ」


 真柴は問題を先送りにした。茶々の身を案じる事に意識を割いているためだ。


「御意!」


 それを汲み取ったのか、黒衣の宰相、黒田官兵衛が、片膝付き臣下の礼を取る。

 真柴はもう誰も自分に歯向かうものは居ないと、心の中で満足しながら、夕日が沈むのを見た。

今回はここまで。

読んでくださりありがとうございます。

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