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25 上杉景勝の末路(上杉景勝)

ブックマークありがとうございます。

遂に豊臣と上杉の戦いは決着を迎えました。

 25 上杉景勝の末路(上杉景勝)



 上杉景勝は頼みの綱の李朝軍が敗れ、戦線が崩壊したのを知って、地下空間に逃げ込んだ。

 宇喜多秀家が、毒兵器を用意しているのを知って地下空間を作り上げたのだ。

 地下空間から王都を脱出して、淀殿と娘、上杉三法師と共に逃げる為である。


「どいつもこいつも役に立たないえ! 何が上杉四天王だ!

 千金を払って手に入れたのに……李舜臣は倒れ、柳成龍に至っては敵に捕らわれただと!?

 地下空間の事が秀頼の小僧にバレる……不味いぞ……脱出口で待ち伏せされる危険がある。

 どうして儂がこんな目に。兼続! 最早、お前が頼りだ!」


 長年の運動不足が祟り、ゼイゼイと息を荒くする景勝。全て自業自得なのだが。


「大王様、まだ希望がございます。日の本を脱出し、明国で再起を図るのです」


 隣の直江兼続も焦りの色を覚えていたが、彼は敏いので既に覚悟を決めている様子であった。

 命辛々脱出口に辿り着いた四人は驚愕する。

 一人の長身の若い女性が一人で待ち伏せしていたのだ。

 背中に刀を携えている。そして瞳が爛々と輝いているが、少々無表情だ。

 その人物に景勝は見覚えがあった。何と、太閤殿下の側室……加賀殿だ。

 前田家の姫であり、太閤殿下の側室になったが、余りにもその身に宿す才覚が惜しいために、側室から外された。

 今はあの憎き秀頼の小僧の側近。卓越した身体能力と動体視力、剣の腕を持つ。

 あの秀頼の側近だが、常人の倍の視力を持つ。秀頼への忠誠心が高い。

 そして、先を読む力が抜群で、相手の動きの未来が見えるという……どこまで本当か分からない。

 そんな事はどうでもいい。直江兼続を捨て石にして命を拾うか、景勝は算段を付けていた。


「加賀殿! 頼む! 見逃してくれ! 死にたくない! 死にたくない!」


 いつしか景勝は恥も外聞もなく、無表情の加賀殿の前で土下座していた。

 しかし、加賀殿は背中の刀を抜き、景勝の右腕を斬って切断した。


「ぐあああ! 儂の腕が……!」


 しかし、 残りの三人は冷たい目で景勝を見ていた。


「お前たち! 儂が腕を切断されて大量に血を流しているというのに何だ!?」


 そして、後ろから、新たなる敵……秀頼の小僧と、その側近、宇喜多秀家、そして豪姫。


「……秀頼様。上杉景勝の腕を斬ってしまいました」


 無断で景勝の腕を斬ってしまった加賀殿が秀頼に無表情で頭を下げる。

 秀頼はやれやれと言った様子で謝罪を受け入れている。


「まあ良い、どのみち上杉景勝は助からないのだ」


「己……! 秀頼の小僧! 兼続! こやつを斬れ!」


 景勝は側近、直江兼続に秀頼達の抹殺を命じた。

 直江兼続は会津釜山城での戦で、自らの手で宇喜多軍の最大戦力であった明石全登を討ち取っている。

 合理的な判断だ。直江兼続も刀を抜く。神速の踏み込みで、一気に秀頼の間合いに入った。


「「「秀頼様!」」」


 豊臣の臣下たちは秀頼の身を案じる。

 それを見て、景勝は大きく項垂れる。ようやく気付いたのだ。秀頼と自分の大きな違いに。

 直江兼続は秀頼の間合いに入ったが、瞬時に加賀殿が身を翻し、空中で回転しながら、直江兼続の首をはねた。


「流石は加賀殿だ。さて、上杉景勝は最早、どうでもよい。淀殿……貴女の処遇はどうしてくれよう」


 項垂れる景勝には一瞥もせず、その隣で怯えながら、幼子を抱える淀殿に目を向けた。

 景勝は項垂れながらも事の一部始終を把握しようとしている。


「秀頼……母からの最初の頼みだ。この子はお前の妹、上杉三法師という。

 私と三法師の命だけは助けてほしい」


 淀殿は頭を下げて秀頼に助命嘆願をする。

 景勝はあれだけ、贅沢をさせた淀殿にさえ、見捨てられるのかとまたしても絶望した。


「愚か者め! あれだけ民を虐げる片棒を担いだ貴女が生き残ろうとするのは笑止千万!

 加賀殿! こやつを斬れ! 女狐はお払い箱だ! だが、我が妹には傷一つ付けるな!

 子供に罪はない。妹は大切に私が責任をもって育てる!」


 景勝は正直、娘の命は助かると思い、そこだけは救いだった。

 打って変わって淀殿は狼狽し、背中を見せて逃げようとする。


「秀頼様……本当に良いのですね?」


 加賀殿が秀頼に最終確認を行う。秀頼は瞑目し、大きく息を吐く。

 これは彼にとっても大きな決断だったに違いない。何しろ、淀殿は秀頼の血縁上の母だからだ。

 だが、それでも一切、忖度しない秀頼は器が大きいと景勝は項垂れながら思った。

 逃げようと背中を見せる淀殿の背中を加賀殿は俊敏な足さばきで追い詰めて突き刺した。

 それを見届けた上杉景勝は徐々に意識が遠のく。出血多量の為だ。


 ――何処で儂は間違えたのか?


 そんな思いが逡巡しながら、景勝は意識を失い、倒れ、絶命した。

 これにて上杉と豊臣の戦いは終幕を迎えるのであった。

今回はここまで。

読んでくださりありがとうございます。

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