24 竜の尾を踏む
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24 竜の尾を踏む(真田昌幸)
会津釜山城
真田昌幸は天下一の策略家を自負している知将である。
武田二十四将に数えられた真田幸隆の血を受け継ぎ、日の本一の軍略を持つ。
決して、時勢に流されて上杉に与しているわけではない。
神懸かりの神童と持てはやらせている太閤殿下の子……豊臣秀頼と刃を交えてみたかったのだ。
秀頼に恨みがあるわけではない。強者と相まみえるのに心躍らせていたのだ。
――血沸き肉躍る。この戦国末期でここまで自分を沸かせて来るのだからな。
上杉に塩を送るわけではない。
真田の武名を天下に轟かせるのに意味があるのだ。
小柄でしわがれた壮年の昌幸の隣で快活な青年、子の真田信繁が、立っていた。
「父上、勝算がおありで?」
「何を言う……勝算がなければこんな所に居るわけはないわ。
我らはこの城で豊臣軍十八万の兵站を担っていた石田三成を破り、兵糧を奪った。
兵力を維持するためには兵糧が肝……豊臣軍の敗着は濃厚。
この戦、我らの勝ちだ。王都で豊臣軍と雌雄を決する上杉と共に豊臣軍を挟撃するぞ! 全軍出撃!」
昌幸は一万の兵力と共に会津釜山城から打って出た。
だが、敏い昌幸は進軍先で違和感を覚えた。巨大な砦が築き上げられていたのだ。
「何だ!? あの砦は!? あのような砦は見たことも聞いたこともない」
昌幸は肉眼でその砦を見据えて、狼狽えた。
天下一の名将、真田昌幸の眼を以てしても、目の前の砦は異常過ぎた。
とりあえず昌幸は物見の兵を送る。そこで昌幸は気付いた。
「上杉……上杉四天王……大将軍……李舜臣……李朝……明国!
成程な! 李如松の兵、五千か……! だが、兵力は此方が勝っておるわ! 全軍、突撃!」
「流石は父上、敵の概要の看破、お見事です!」
昌幸は異形の敵の概要を容易に看破した。
自ら先頭に立って、兵を鼓舞し、駿馬を操り、砦に向かった。
しかし、思いもかけない事が起こった。砦の外壁の上に立っている年若い少女が、弓を引き、矢を昌幸に射掛ける。
「何だ? あの小娘は? あの距離から矢が当たるわけがない。馬鹿め!」
一笑に付す昌幸であったが、何と少女から放たれた矢が、恐るべき飛距離と共に昌幸の脳天を貫通した。
「父上!」
子の信繁も父、昌幸に駆け寄ったが、少女の放つ二撃目の矢に脳天を貫通されて、討ち死に。
将を失った真田軍は一瞬にして崩壊したのだった。
今回はここまで。
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