22 猛吹雪
22 猛吹雪
豊臣軍十八万は会津王国の王都『景勝』を完全包囲した。
真柴は手始めに物見の兵を放ち、敵の概要を把握する。
すると、敵方六万という数値をはじき出した。だが、真柴は冷静に状況を捉えており、的確な判断を下す。
自らの忌まわしき過去を乗り越えた真柴は大きく成長していた。
多少の事では動揺せず、物事を鋭く分析する術も身に着け、大将軍級の戦略眼を身に着けている。
「敵方六万とはいえ、恐れるに足らず。上杉景勝は女子供老人を総動員して兵力を稼いでいる。
烏合の衆の極みだ。我らは一気に敵を殲滅し、上杉景勝を捕らえる。宇喜多殿!」
物見の兵の情報によると上杉景勝は女子供老人を総動員して兵力の増強を図っていた。
全て、計算通り……参謀の直江兼続も万策は尽きたようだ。
「はっ! 秀頼様、このまま一気に攻め切るべきです。
先鋒隊の豪姫と小早川殿に一斉攻撃の下知を下しましょう」
宇喜多秀家はすぐさま行動に移した。その時、真柴は一滴の雪が手に落ちるのを見過ごさなかった。
「雪だと……? 不味い! 雪国の会津で猛吹雪が来ると兵站が崩壊する。
宇喜多殿! 後方の石田三成に伝令を飛ばせ!」
真柴は後方の会津釜山城で兵糧の運搬や兵站を担う石田三成に伝令を飛ばそうとする。
それと同時に会津釜山城からの伝令が、豊臣本陣の天幕に到来。
「報告! 秀頼様! 会津釜山城が突如、参戦した真田一族に乗っ取られました!
石田三成殿、討ち死に! 兵糧も真田一族が奪い取りました」
その報告に真柴は顎に手をやる。成程。
会津釜山城は難攻不落の城だと真柴は思ったが、初見では気付けない穴があった。
それに真柴が気付いたのは陥落させた後だから無意味だと考えたが、真田一族は穴に気付いたのだ。
流石は真田一族だ。素直に称賛に値する。自分にはそこまで読めなかった。
「秀頼様、真田一族が何故、上杉などに加勢するのですか?」
豊臣本陣の天幕に続々とやってきた大名衆が、秀頼に質問する。
それに真柴はふう、と息を吐いて、大名衆を見渡し、言葉を切り出す。
「真田一族……奴らは常に弱きものに付き、名声を得たいがために、不可解な動きをする連中だ。
物事を合理的に考える我らとは違う。奴らの考える事は理解しがたいだろう。
それでも真田昌幸は天下一の名将……我らにとって脅威となりえる。
猛吹雪を利用する軍略をこれから奴らは仕掛けてくる。対策を立てるしかあるまい」
真柴は諸大名に警戒するように命じた。その日の夜から猛吹雪が到来する。
それも局所的に大雪が積もり、会津王国を守るように大雪が会津釜山城と王都『景勝』を覆った。
豊臣軍は大雪で挟まれて孤立無援となり、一刻も早く王都『景勝』を攻め落とせなければならなくなった。
「これよりは、この私と直江兼続の知恵比べだ。奴は……直江兼続は猛吹雪を読んでいた。
奴は大いに牙をむいてくるだろう。如何に上杉景勝が暗愚と言えども、奴らは長い付き合い……。
主従の鎖は頑丈に絡めあっている。やはり、ここで奴ら二人を地獄に送る」
真柴はどれだけ上杉景勝が暗愚でも、直江兼続は裏切らないと読んでいた。
離間工作も考えたが、主従の結束は固いと。ならば纏めて葬るだけだと。
「秀頼様。真田一族が立てこもる会津釜山城に軍勢の一部を送るべきです」
宇喜多秀家が冷静に進言する。当然、真柴も同様の事を考えていた。
真田一族は会津釜山城で兵站を担っていた石田三成軍六千を破った。
その兵力は恐らく一万強は固い。それも只の一万ではない。
軍略の天才と謳われた真田一族当主、真田昌幸が率いている。
既に上杉と真田……豊臣軍は二正面攻撃を迫られている為、兵を送るしかないのだ。
「当然だ。前田軍は前田利常が率いているのだったな。
前田利常軍二万と長曾我部盛親軍六千を会津釜山城に送れ。
会津王国を包囲する我らは一気に畳みかけるぞ! 出陣!」
真柴の号令により豊臣軍は猛吹雪の中、一気に会津王国に雪崩れ込んだ。
過去を乗り越え、大将軍級の戦略眼を手に入れた真柴と直江兼続との知恵比べが幕を開けた。
今回はここまで。
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過去を乗り越えた主人公は大きく成長しました。




