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18 豪姫の真価と勝敗の行方(豪姫)

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登場人物のステータスとランクを書くのは中止しました。

 18 豪姫の真価と勝敗の行方(豪姫)



 豪姫は前田利家の娘にして備前宰相宇喜多秀家の正室。

 やんごとなき身分……その血筋の良さと器量は他の追随を許さない。

 人一倍恩義を感じている太閤殿下も一代の英傑であったが、その子……秀頼様も大気の片鱗を感じさせる逸材だった。

 そんな秀頼様に頼もしいと言われた。まだ年若い豪姫もそれには有頂天になっていた。

 冷静で聡明なる彼女も平静を装うのに必死だった。秀頼様の魅力は尋常ではない。

 戦場に出ることに抵抗はなかった。秀頼様の為に貢献できることは何でも嬉しかった。


 ――秀頼様の御為に李舜臣の首を献上する。


 狙いは勿論、直江兼続が王都最終防衛地点に後退した今、実質的な総大将は李舜臣だ。

 その武と軍才は凄まじく、飛将軍と謳われた呂布奉先に匹敵するだろうと噂された。

 強大な敵だが、豪姫は気後れもしない。いつもの豪胆な佇まいで馬を走らせていた。

 天下人である秀頼様に歯向かう有象無象を自慢の槍で駆逐していき、瞬く間に屍の山を築き上げる。

 神の如く……正に人外の武であった。細身の彼女からは想像できない突出した武力。

 数多の敵を平らげ、遂に前線にまで来た。秀頼様から借り受けた兵力五千の騎馬隊に豪姫の人外の武。

 その二つが合わされば絶大なる力が齎される。李舜臣の姿が遠目から見れた。

 しかし、予想外だったのは、李舜臣が只の猪武者ではなく、秀頼様を狙い撃ちしてるからだ。

 この兵力差を覆して、会津王国軍が勝利するには総大将である秀頼様を討ち取るしか道はない。

 意外にも李舜臣は物事の道理を理解しているようだ。

 だが、そんなこと自分はさせないと毅然とした覚悟で豪姫は奮い立たせる。

 豊臣軍の最大戦力と称された豪姫は天下無双の槍使い。

 相手が天下無双の豪傑、李舜臣が相手でも負ける気は微塵もなかった。


「李舜臣! 秀頼様が危うい……! お助けせねば!」


 震え声で李舜臣を見た。秀頼が、李舜臣に追い詰められている。

 豪姫は、それに割って入っていき、その自慢の槍と李舜臣の方天戟が打ち合う。


「とにかく、加勢せねば!」


 豪姫は駿馬を操り、槍を振るい雑兵を蹴散らしながら、猛然と二人に割って入る。


「豪姫か!? よく来てくれた!」


 秀頼様は思わぬ救援の到来に命拾いしたような顔をする。

 しかし、それを阻むものがいた。一騎打ちを見守る李舜臣の配下、会津釜山城城主テイハツである。


「我が名は釜山城城主テイハツ! 李舜臣様の配下! 助太刀はならん!」


 髭面の長身痩躯で丸坊主の男……テイハツは矛を振るい、豪姫に浴びせようとした。

 だが、豪姫は居に返さず、卓越した槍捌きを見せ、テイハツの心臓を貫いた。

 テイハツとて、名の知れた名将だが、若さと力のある豪姫の前では明らかに実力差があった。

 この機に乗じて、豪姫は李舜臣を討ち取ろうと意気込む。


「それはなりません。某が李舜臣を討ち取ると秀頼様から命を受けたのです」


 後ろから、若い青年の声がした。ひょろりとした長身の爽やかな佇まいをした御仁……小早川秀秋。

 小早川秀秋は豊臣軍の先鋒の一人として、前線にやってきたのか、と豪姫は見抜いた。

 それにはお構いなしに豪姫は李舜臣に槍の連続攻撃を放つ。李舜臣は新手の強者に狼狽えている。

 それも当然。只でさえ、『天空竜』と称される槍使い、豪姫に苦戦していたのだから。


「己……! 救国の英雄と謳われた大将軍である儂が手こずっているだと!?

 ありえん……! それならば少しだけ本気をだしてやろう」


 些か動揺しているが李舜臣はまだ余力を残していたようだ。李舜臣の本気の猛攻に二人の槍使いは息をのむ。

 だが、小早川秀秋も全身全霊を以て豪姫と共に槍を振るう。二人の槍捌きに李舜臣は次第に後退し、完全に押され始めた。

 列国に覇を唱えた李舜臣だが、相手が悪かった。大将軍級の武力を担う小早川秀秋と豪姫。

 どちらも洗練された技量を持つ槍使い……二対一では勝てる道理はない。


「この李舜臣が、押されている!? 二対一とは卑怯な……」


「卑怯ではない。李舜臣、貴方の負けです」


 冷静に状況を見据える李舜臣は判断が早い。やはり、大将軍という地位は伊達ではない。


「我は戦神! 李舜臣であるぞ!」


 李舜臣が咆哮を上げる。それは戦場全体に波及し、その轟雷の覇気に会津王国軍の士気は莫大となる。

 しかし、戦局は豊臣軍が会津王国軍を風前の灯火に追いやっていた。

 豪姫と小早川秀秋の獅子奮迅の働きと、その兵力差も相まっているからだ。

 次第に李舜臣は追い詰められ、隙を見せ始める。李舜臣は度重なる戦闘で疲弊し、先ほどまでの覇気は徐々に影を見せつつある。

 莫大な士気も一時的なものであり、遂に豪姫の槍の穂先が李舜臣の心臓を貫く。


「我が武運もここまでか……直江兼続殿、そして我が盟友、柳成龍よ、後を頼んだぞ」


 李舜臣は最後にそう呟くとその場に崩れ落ちる。この瞬間、戦いの雌雄は決した。

 戦局は完全に豊臣軍優位であり、会津王国軍は多くの屍を会津平原に晒した。

今回はここまで。

読んでくださりありがとうございます。

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