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15 李舜臣の過去

 15 李舜臣の過去



 李朝から移籍し、会津王国軍の第一の大将軍として猛威を振るう李舜臣。

 彼の過去は李朝の武官であり、李朝の大将軍として側近のテイハツと共に数多の賊を討伐してきた。

 その武威は列国中に知れ渡り、大陸中にその名を轟かせていた。


「テイハツ、御苦労。後で褒美をやる」


「有難く」


 たったそれだけの言葉に副将であるテイハツは嬉しそうにした。

 そんな彼はいつしか、百戦百勝の軍神として崇められていた。

 しかし、他の将軍よりも著しく突出した武力を持っていたため、妬まれることも多々あった。


「李舜臣……武力だけしか能がない愚か者め」


「戦バカは治らないようだ」


 要するに足の引っ張り合いである。李舜臣は気に留めるほど、器が小さいわけではない。

 そんな将軍同士の牽制が、下らぬことに見えるほど、中央の情勢が良くなかった。

 李朝は永く平和を享受していたため、武官より、文官のほうが地位は上である。

 李朝の宮中は政治が腐敗し、ドロドロの政争が繰り広げられている。

 李舜臣は下らぬと一笑に付していたが、そういう権力争いが大嫌いで、それが移籍の遠因にもなっていたのかもしれない。

 幼い頃よりの盟友、李朝の宰相でもある柳成龍が、日の本に移籍すると李舜臣に相談を持ち掛けてきた。

 卓越した手腕で、李朝の宰相を務めてきた柳成龍でさえも宮中の政争にうんざりしていたらしい。


「李舜臣、私と共に来い」


 新天地で共に心機一転、見聞を広めようと。李舜臣は心が躍った。

 それに上手く日の本で仕官できればと淡い期待があった。

 それに明国もそれに呼応して日の本と国交を持ちたいと、万暦帝の愛娘である公主様を派遣するというではないか。

 あの明国随一の大将軍、李如松が公主様の護衛に付いての派遣。

 李舜臣は必死に日の本の言語を学び、満を持して上杉家に仕えることが出来た。

 だが、上杉景勝は良い御仁ではなかった。暴虐の限りを尽くし、民を虐げ、まるで三国志の董卓そのもの。

 李舜臣は急速に冷めていき、こんな主君の為に前線に駆り出されるとは夢にも思わなかった。

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