14 援軍(宇喜多秀家)
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援軍到来で、一気に戦局が動きます。
14 援軍(宇喜多秀家)
豊臣軍左翼――。
開戦して二日目。ようやく左翼に援軍が到来した。秀頼様の指示だろう。
その数、完全武装の騎馬隊五千。しかし、驚いたのは援軍の大将だ。何と秀家の正室であり、太閤殿下の養女である豪姫。
これには流石の秀家も驚きのあまり開いた口が塞がらなかった。
豊臣秀吉の養女が、危険な戦場に駆り出させるなど持ってのほかだからだ。
だが、秀家は豪姫の実力を誰よりも知っている。
あの太閤殿下が、豪姫が男子であれば豪姫を関白にしていたと。
「秀家。太閤殿下の養女であるこの豪が参りました」
前田利家の娘であり、太閤秀吉の養女である豪姫はキリっとした利発さと猛った切長の瞳を持った女性だった。
秀家の正室だが、豪姫は豊臣秀吉の養女であるため、立場は豪姫のほうが上であり、頭が上がらない。
しかし、意外にも仲は悪くはない。お互いに傑物であるため、話が合うのだ。
「豪姫殿……危険な戦になど何故?」
秀家は女子の身の豪姫が戦場にやってきたことを暗に咎める。
確かに豪姫は女子の身ながら、並ぶ者のない才覚を持つ。
前田利家の娘でもあり、幼き頃より武家のたしなみとして武芸を修めていた。
女子の身で、その軍才は凄まじく『天空竜』と称される程だ。
それに彼女が纏っている覇気に当てられた秀家は彼女は李舜臣を凌駕しているかもしれない淡い期待もあった。
「既に秀頼様から出陣の許可は得ています。
天下人の一族に仇なす者はこの私が葬り去る。明石全登が討ち取られたと聞きました。
そして利長が暗殺されたことも。私が前線に打って出ます。
まず討ち取るのは『上杉四天王』筆頭、李舜臣!」
豪姫は高らかに会津王国軍の大将軍である李舜臣を討ち取ると豪語した。
説得しても無駄だと察した秀家は諦めたように豪姫に任せることにした。
本当は自分の正室を危険な前線になど立たせたくはないが、豪姫の武勇は天下に鳴り響いているからだ。
懸念はある。秀吉からも認められた才覚を持つ豪だが、決定的な弱点があった。
「上杉軍の要である李舜臣を狙うとは大きく出たな。豪姫殿、お前に致命的な弱点がある」
秀家は苦言を呈する。それに豪姫が苛立ちを募らせる。その弱点を豪姫自身が自覚しているからだ。
「秀家、その心配は無用です。私は強い。私は前田利家の娘ですから」
強気に出る豪姫と冷静に分析を始める秀家。両者の間に火花が散る。
それを見かねた側近たちは不安に駆られる。間に入ろうならば、切って捨てられる。
止められるもの等、この場にはいない。明石全登がいたならば話は別だが。
「豪姫様。ご出陣なさるならば、この宇喜多直盛をお使いください」
『宇喜多三人衆』の直盛が豪姫に打診した。豪姫はフッと微笑を浮かべ、
「良いでしょう。私の露払いとしてついてきなさい。秀家殿、戦勝報告をお待ちください」
豪姫は副将として直盛を伴って、完全武装の騎馬隊五千の兵と共に前線に出る。
天下人の一族としての自信と誇りを胸に豪姫は獅子奮迅の活躍を見せることになる。




