12 会津釜山城攻城戦(明石全登)
12 会津釜山城攻城戦(明石全登)
黒光りする甲冑に身を包み、駿馬に跨る宇喜多軍武将明石全登は長年、宇喜多軍の武を象徴してきた。
宇喜多秀家に最も信頼され、数々の華々しい戦功をあげてきた。
特に城攻めに対する拘りは尋常ではなく、数々の攻城兵器を所有している。
目の前の巨大な山城会津釜山城を見上げて、明石全登は薄ら笑いを浮かべた。
「これが、釜山城城主であったテイハツが再び日の本で築き上げてきた城か。
中々に攻略のし甲斐がある。この明石全登様の力を日の本に知らしめてくれる。
攻めるぞ! 攻城櫓を前に押し出せ!」
攻城櫓……中国に似た攻城兵器があるが、それを研究し、日本式に改良に重ねた明石全登の切り札。
巨大な車輪の付いた櫓が、前線に躍り出る。城壁に張り付き、足軽が城に突入。
会津釜山城の中は阿鼻叫喚となる。火の手が上がり、一気に落城へと繋がるかのように見えた。
しかし、明石全登八千の軍勢を一軍が脇腹を突いた。
「むっ! 何処の軍勢だ!?」
明石全登が旗印を確認すると何と、直江の文字。直江兼続。
敵の総大将だ。だが、知将である直江兼続が自ら一軍を率いてわき腹を突いてくるとは予想外だった。
「直江兼続……所詮は内政しか能がない文官……戦場に自ら出てくるとは!
面白い! 仮にも奴は総大将! 討ち取れば第一功となる。
直江兼続の首はこの明石全登が取る! 出てこい! 直江!」
明石全登が吠える。それに呼応したかのように直江兼続は駿馬を走らせ電光石火のごとく明石全登に接近した。
「言われなくても出てきますよ。私が直江兼続です。貴方の首は私自ら取ります。一騎打ちです」
「望むところよ! 我が槍捌きを見よ!」
明石全登は槍を操り、凄まじき槍捌きを見せる。しかし、それを直江兼続は涼しい顔で受け流す。
所詮は文官にすぎぬと高をくくっていた明石全登であるが、次第に焦りの表情を見せる。
「何という事だ。長年、宇喜多軍の武を象徴してきた明石全登様が押されている。
直江兼続という男は一体……!?」
明石全登の側近たちも驚きの表情で見守る。そこで直江兼続の反撃。直江兼続の剣戟が明石全登を切り裂く。
「馬鹿な……この明石全登様が。惰弱な文官などに……直江兼続、日の本一の武将なり」
捨て台詞を吐いたのちに馬上から転落し、命を散らせる。
ここに宇喜多軍の武を象徴し、秀家から信頼されていた明石全登は呆気なく直江兼続に討ち取られた。




