集う5人
「うーん…たったの3人だけー?」
アイは体を右に傾け、不満げに声を漏らした。
(ま、当然の反応だよな…)
いきなり見知らぬ施設に閉じ込められて、半強制的に未知の怪物との命懸けの戦いを要求されているんだ。
そう簡単に納得できるわけがない。
残りのメンバーのほとんどが「頼むから誰か名乗り出てくれ…!」と祈るような視線で周囲の顔色をキョロキョロと窺っていた。
そんな中、後ろに立っていた一人がスッと静かに手を挙げる。
「私が戦うよ」
小林だ。彼は注がれる14人分の視線を一身に受けながらニコっと微笑んだ。
まるでレッドカーペットを歩く有名人のように、ゆっくりゆっくりとこちらに歩く。
「やれやれ。本当は運動なんて苦手だし、戦いたくなかったんだけどねぇ…」
俺と肩が触れ合いそうなほど至近距離に立った小林は、小さくため息をはくも、うふふと柔らかく笑った。
「アイちゃんのことはまだ疑ってるけど…。まぁ、ここは可愛い君たちのためだと思って」
目を細め、うっとりとした表情で全員の顔を舐め回すように見る小林。
その様子に若干ひいたので俺はそっと一歩横へと距離を取った。
「4人かー…もう1人くらいはほしいとこだけど…ギリいけるかなー…?」
アイは頭の両側に人差し指を当て、うーんと唸りながら悩み込む。
「…戦えばいいんでしょ?」
人混みの奥から、凛と通る芯の強い声が響いた。
「全く、この私が悪人の命令に従うなんて煩わしいこと仕方がないけど…」
カツカツと硬い靴音をたてながら、カラスの羽のように真っ黒な髪を靡かせて上京寺が前へと躍り出た。
「襲いくる敵から逃げるような真似、私はしたくないの」
上京寺はサラリと髪を掻き分け、ツンと澄ました表情で俺たちを見据える。
「ありがとな」
俺が素直に微笑みかけると、感謝を言われるとは予想していなかったようで、上京寺はカアッと少し顔を赤らめた。
「なっ…!当たり前よ!」
いつも凛々しくてツンケンとしている彼女だけど、意外と可愛いところがあるのかもしれないなーーなんて俺は思うのであった。
「よし!5人いれば最低ラインだね!じゃあ急ごう!侵攻獣に攻め落とされる前に!」
アイは「おー!」と元気に腕を高く突き上げる。
俺たち5人は、軽快に走り出した彼女に先導されるがまま、残りの10人を残し部屋を出るのであった。




