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翠憶を求めて  作者: ラーナ
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蒼い手紙。雨の記憶

蒼い空は白い雲を求める

昔から私は聞かん坊の悪戯娘。


自分が決めたら、意地でもソレを貫き通してきた。


もっと他人の言う事を聞きなさい、なんて、何度怒られた事かわからない。


そんな性格だったからなのかは、わからないけど

親戚の白姉とは凄く仲が良かった。


お淑やかで、物静かで、綺麗な人。


私は、その瞬間まで、白姉がどうしてそう言う性格になってしまったのか、わかってなかった。


「ねぇ、その話……本気で言ってるの?」


きっかけは、親戚一同が集まっていた時に大人達が話しているのをたまたま耳にした事。


私達の家系は、何百年も前から続いている伝統を重んじる家系だった。

その伝統のおかげで、財を成した。なんて

小さな頃から自慢げに話している両親や、親戚の叔父さんたちを見てきた。


そんなお家柄で育ってきたから、多分私もワガママな所が多かったんだと思う。


でも、これはワガママじゃない。


「なんで白姉だけ、一族から追い出すなんて言えるの!?」


それは私が知らなかった決まり事。


『アルビノの血は穢れている。一族を滅ぼす力を持っている。本来なら、産まれた時に処分しておくべきだった』


訳のわからない理屈に私は初めて、本気で怒りを覚えていた。


穢れている? あの優しい目を見ても同じことが言えるの?

処分? 白姉はお前達から見たら、そんな道具みたいな存在なの?


「そんな事で……そんな決まり事に縛られ続けているんなら、こんな一族……滅んじゃえばいいんだ!!」


頭の中が、物凄く熱くなって、気付いたら私は叫んでいた。

叫ぶと同時に、雷が外を明るく照らしていた。


『やはりこのガキも穢れた血が混ざっていたんだ!』

『瞳だけならと見逃してはならなかったのだ……』


私の言葉に、大人達の怒声が舞う。


だけど、そんな事知らないよ。

そもそも、お前達を私は知らない。


サラサラと降る雨の音色しか、私の耳には入ってこなかった。


この一族は、覚えきれないくらいに人が多い。


そんな中で、綺麗なくらい真っ白な髪と、真紅の瞳を持つあの人だけが

私の中で色濃く存在していたんだ。


イタズラばかりする私を初めて本気で叱ってくれたのだって、あの人だった。

初めて本気で褒めてくれたのも……


私に一番の愛情を注いでくれたのは、家族よりも、一族の誰よりも、白姉だったんだ!


「……だったら、そんなに言うんなら私もこんな一族から追い出せばいい!」


目頭が熱くなる。だけど、涙は絶対に流さない。

これは、白姉の待遇に気付けなかった情けない私の意地だ。


私の代わりに空が泣いてくれている。

そう思うと、涙は流さなくて済んだ。


怒りに任せて、近くにあった大きな花瓶を蹴っ飛ばす。

家宝の一つとか言われてた記憶があったから、大人達の激情を更に煽ってやる。


ガシャンと、花瓶が砕ける音。

大きくなる、大人達の怒声。


それでも私の耳に入ってくるのは、雷鳴と優しい雨の音だけ。

こいつらの言うことに耳を貸すなって、そんな風に背中を押してくれているように感じていた。


そこから先はよく覚えていない。


気付いたら私は、本当にいとも簡単に一族から追い出されていた。


わかってる。家宝を壊したとか、理由はそれだけじゃないって事くらい。

白姉程、綺麗な赤い瞳ではないけれど、

私の目も赤を秘めている。


白姉と、本当の姉妹になれたような、そんな証のような気がして、小さな自慢だったんだけど……


それが大人達には気に入らなかったみたいだ。

私の知ったことではない。


白姉の行き先は聞いてある。


胸を張って、会いに行こう。



…………会えたら、今度は本当のお姉ちゃんになってくれるかな?

本当に、お姉ちゃんって呼んでも、怒られないかな……

あぁ、いや、その前に私が一族から抜けた事に怒りそう。

 

ちょっと不安だけど、それ以上の期待を胸に。


やってみなきゃわからないんだから、私はなんだってチャレンジする。


『白姉と一緒に住む事になったから向かうね』


面倒な話は苦手だから、一言だけの簡単なお手紙を白姉に出した。


雨はもう、止んでいて

何処までも続くような蒼い空が見えていた。

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